新着情報:ビンテージクロスフェア開催

 気が付けば今年もあと2ヶ月。
一日、一週間、一ヶ月と時間が過ぎるのは早いですね。
時の流れを早く感じられる事は幸せな事だと思う今日この頃ですが、ホームページをご覧頂いている皆様如何お過ごしでしょうか?
今年も残り2ヶ月となり、年末に向けてお財布のヒモが緩くなりほどけてくる季節ですね!?
さて、お財布のヒモがほどける前の企画と致しまして、過去に開催させて頂いておりました大人気企画「ビンテージクロスフェア」を、約3年振りに開催させて頂きます!!
なぜ、今回3年振りにヴィンテージフェアを開催することになったかと言いますのも...
それは...
毎度ご愛顧頂いております多くのお客様から「ビンテージ企画はもうやらないのか?」、「ビンテージの生地で仕立てたい!」などのお問い合わせを頂いた為、そのようなお客様のお声を反映させるべく今回開催させて頂くこととなりました。
そして、フェアを開催するにあたって、先輩方からの意見を頂き、今回のビンテージ企画では各年齢層にオススメするスタイルをスーツの歴史と共にご紹介させて頂く事となりました。
今回は春夏生地、秋冬生地を合わせてご用意しております!
現代の色柄、風合いとは一味違った生地を是非この機会にお試しくださいませ!

開催期間

東京店 11月 7日(金)〜11月16日(日)

大阪店 11月21日(金)〜11月30日(日)

価格

シングル上下    57,000円(税抜き)

補足事項 ビンテージクロスのため、着分のみの在庫となります。
その為、ご体型によってはご注文をお受け出来ない場合もございます。(特にベスト、スペアパンツ)
フルオーダーご希望のお客様は、スーツ上下+57,000円(税抜き)

生地の在庫に限りがございますので、品切れの際はご了承下さいませ。

 さて、ビンテージクロスと聞くと大昔に織られた古臭い生地で、現代のビジネスシーンでは着る事が難しいのではとお考えのお客様もいるかと思います。
ビンテージクロスは今から約30年以上前の昭和30年〜40年代に織られた生地ですのでそのようにお考えになられるのも当然かと思います。
しかし、現代のすっきりとしたスタイルや、ディテールを取り入れるだけでも、一味違ったスーツスタイルを充分にお楽しみ頂きながらご着用出来ますので、是非この機会に古き良き時代の生地をご着用と共にご堪能してみてください。

 それではここで、ビンテージクロスの特徴をご紹介させて頂きます。
コストや生産性を求める現代の高速織機で織り上げられた薄くて機能的な生地とは異なり、低速織機特有の、縦糸と経糸の目の詰まり具合が密で丁寧に織り上げられた厚みのある質感がビンテージクロス独特の風合い、また、経年変化によってウール自身が持つ脂分が抜けた質感もビンテージクロスならではの特徴です。
現代では目新し生地の風合い、色柄が魅力的な雰囲気を醸し出しております。
着込む程に味わいが深くなるビンテージクロスを今回は各年齢層に合わせてオススメのスタイルをご紹介させて頂きます。

これまでのビンテージクロスフェアでは1930年代〜1940年代初頭に流行した英国的なスタイル「イングリッシュドレープスーツ」通称30'sスタイルをご紹介させて頂きましたが、今回も改めて30'sスタイルをオススメさせて頂きます。
では、なぜここまで30'sスタイルをオススメするのかと言いますのも...
実は、このスタイルは現代のブリティッシュスーツの原型ともいえるスタイルで、スーツの歴史の中でも、現代のビジネスシーンに最も取り入れやいからです!
普段何気なくご着用しているスーツの原型がこの「イングリッシュドレープスーツ」と言っても過言ではありません。
それではここでイングリッシュドレープスーツの歴史を少しだけ紐といてみます。

時は1920年代後半。
アメリカニューヨークでは株価暴落を引き金に世界大恐慌が起こり、日本では大正から昭和へと年号が変わり始めたころ、イギリスにて「イングリッシュドレープスーツ」が生まれました。
イギリスのサビルロウに店を構えていた職人ショルテ(伊達男として有名なウィンザー公爵もこの職人の店で仕立てていたそうです。)が打ち出したスタイルで、修業時代に将校の制服を仕立てていた際、コートをベルトで締めて腰を絞った時に出来るドレープを見て、そのドレープに男らしさを表現出来る事に気が付いたそうです。
そして、このドレープをスーツに反映させるべく研究に研究を重ねて生まれたのが「イングリッシュドレープスーツ」です。

● オススメ仕立て:40代〜50代
このスタイルの特徴と致しましては、パットなしで胸回りをゆったりとさせ、胸部にボリューム与え男らしさを強調、ウエストは絞り腰にフィット。
ベントは基本的にはノーベント、もしくはサイドベンツ。
シングル2ボタンor 3ボタン。ダブルで更なるダンディズムを演出するのも素敵ですね。そしてラペルを広めにとり、更なる男らしさを演出。
パンツは股上深めでツータック入りのゆったりとしたシルエットが特徴ですが、この点に関しては現代のスッキリシルエットを取り入れワンタックにて適度にゆとりを加えるのもオススメです。
上衣からパンツにかけての優雅なドレープは現代のスーツスタイルにはないエレガントさがありますので、このようなスタイルは、大人の色気や貫禄、余裕を兼ね備えた40代、50代の方々へオススメです。
また、「イングリッシュドレープ」の特徴である胸部から腰にかけての美しいドレープ感を演出するためにもイージーオーダーでは限界があるため、フルオーダーでのお仕立てをオススメ致します。仮縫いにてウエストの絞り具合等ご確認し合いながらワンランク上の男らしさ、周りの同年代の方々と差を付け、ダンディズムを演出してみては如何でしょうか?

 そして!  20代〜30代のお客様へオススメ致しますスタイルは1950年代アメリカへの憧れと、自国への反骨精神によって生まれイギリスで流行した「テディボーイルック」、通称「テッズ」です。
ではなぜ、この年齢層にこの年代のスタイルをご紹介させて頂くのか?
スーツの歴史の中でもまだまだご紹介させて頂きたい年代のスーツはたくさんあります。
10年代「サックスーツ」、20年代オックスフォード大学の学生が伝統からの脱却の為始めた「オックスフォードバッグズ」、40年代アメリカ黒人の反発精神から生まれた「ズートスーツ」、60年代テッズの進化型「モッズスーツ」等々。
このようにスーツの歴史を辿って行くと一つの共通点があることに気が付きました。それは...「反発」です。
過去の伝統や流行、現在の状況などに反発、反抗を繰り返して新しいスタイルが生まれる。現代のファッションシーンにおいても同じ事が言えるのではないかと思いました。

 さて、かなり話が脱線してしまいましたが、今回この年齢層にこの年代の「テッズ」スタイルをご紹介する理由と致しましては...
一つは、モード界の異端児エディ・スリマン率いるサンローランの14-15年A/Wコレクションにてサンローラン流テディボーイが発表され、注目を集めているのでこの機会に便乗しようという魂胆です。(笑)
コレクションでは、髪型をリーゼントにし不良少年に扮したメンズたちがサイケな音楽と共に会場を闊歩し、中にはステップを踏んでいるようなメンズもいたりしてとても魅力的で刺激的なコレクションです。ご興味のある方は是非YouTubeでご覧下さい!
ちなみに、楽曲はオムニコードの音色と12弦ギターの豊な音が特徴的な「froth」というアメリカの4人組サイケバンドです。
是非音楽と共にサンローラン流「テッズ」をご堪能してみては如何でしょうか?
また、日本のロックバンド「THE BAWDIES」や、映画「BLACK KISS」では劇中衣装として、映画「17才の肖像」では劇中のワンシーンで不良少年を示す言葉として「テディ」とされ、あらゆるジャンルで扱われております。
さらに、この「テッズ」が進化したとされるスタイルとして60年代に流行した「モッズ」があり、映画では「さらば青春の光」、音楽では「THE WHO」、 そしてモッズリバイバルとしてブームを巻き起こした「ポールウェラー」、日本からは「ミッシェル・ガン・エレファント」などなど。
この「テッズ」が元となり生まれたカルチャーは魅力以外の何者でもありません!!!
20代から30代の影響された方々も少なくないのではないでしょうか!?

  また、今回このスタイルをご紹介させて頂きます理由と致しましてもう一つ。
「テッズ」のシルエットの特徴としての、ウエストラインが絞られた上衣に、細めのパンツのスタイルがまさに現代のすっきりシルエットスーツに取り入れやすい為今回ご紹介させて頂きました。
テディボーイスタイルの特徴と致しましては、上衣の衿、ポケット、胸ポケット、袖部分が別生地(サテンやベルベット生地)になっており、胸ポケットは通常の箱形ではなく、両玉ブチ仕様やフラップが付いています。
また、狭い肩幅に袖口の折り返し、極端に長い上衣丈、細めのパンツに厚底のラバーソールで構成されています。
このスタイルをお仕事着として取り入れるには、ご職場の雰囲気などによってはかなり?難しいですが、普段着に少しアクセントをつけたジャケットスタイルや、パーティー用、またはスーツとしてご着用の際は、上衣丈は現代風にやや短めにし、全体的に現代のスッキリシルエットにし、ディテールの部分で胸ポケットを両玉ブチ仕様にしてさりげなくテッズ要素を取り入れてみては如何でしょうか?

 それでは30年代に続き、テッズの歴史も少し紐といてみます。
1950年代イギリス。
イギリス下町の労働者階級の若者達や、不良少年達の間で流行した「テディボーイルック」、通称テッズ。
このスタイルは、1940年代後半にイギリスのサビルロウのテーラーがエドワード7世時代の紳士服(細身のシルエット)を現代にリバイバルしようとして、別生地の衿や、極端に長い上衣丈の「エドワーディアンスタイル」を打ち出しました。
しかし、ビスポークの上流階級の顧客にはヒットせず、中産階級の若者の間でエドワーディアンスタイルが広まり、50年代半ばに入ると、労働者階級の若者達に渡り、「テディボーイ」とされました。
この「テディ」とは、エドワード7世の愛称だそうで、そこからこのスタイルが名付けられたそうです。

 さて、長々とお付き合い頂き誠にありがとうござまいます。
今回の「ビンテージクロスフェア」では、30年代「イングリッシュドレイプスーツ」、50年代「テディボーイルック」を脱線しながらもご紹介させて頂きました。

上記日程の期間中、店頭にてスタイルサンプル服や、当時のスタイル写真の書籍などもご用意しておりますので、少しでもご興味のある方は是非足をお運び下さいませ!