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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!

 イージーオーダー版自転車スーツ
 まだまだ寒い日が続きますが皆さんお元気でしょうか?
この時期はスーツの下にはユニクロのヒートテック、スーツの上には肉厚コートで過ごす、、、なんて寒がりの方も多いのではないでしょうか?
でもそんな中、最近の健康ブームで頑張っている人もいらっしゃいます。

それは...昨冬このお客様コーナーでも紹介したようなサイクリストの皆さん。
ご参考:お客様いらっしゃ〜い 最近流行の自転車通勤に
    お客様ありがと〜う 自転車通勤ジャケットの出来上がり


陽気が良くなったら自転車通勤で、、、なんてミーハーな方も多いですが、そこは武士は喰わねど高楊枝
寒い中、元気に自転車通勤するのがカッコイイ!というストイックな方も多く、今月ご紹介するAさんは、まさにそんな方でした。

そして、Aさんとのやり取りはこんな所から始まりました...
それは昨年の11月初頭の頃の出来事でした。

Aさん HPの自転車スーツを見たんだけれど、出来ますか?
私: HPはお客様コーナーに掲載したMさんの自転車スーツをご覧になったんですか?
Aさん えぇ、そうです。茶系のクラシックな柄はありますか?
私: それではビンテージクロスはどうでしょうか?(当日はビンテージクロスフェアの最中でした。)
お値段が、59,800円ですが、Webで紹介したようなフルオーダー仕様ですと12万円ぐらいになります。
Aさん う〜ん、、、ちょっと予算オーバーかな。
もう少し安く出来ますか?
私: それではHPに掲載したフルオーダーではなく、イージーオーダーをベースにしてそれに自転車アイテムを後からハンドメイドでお付けするようにしましょうか?
Aさん えっ?!そんなこと出来るの?
私: 大丈夫ですよ。それなら基本の料金59,800円に7,000〜10,000円位Upするだけで済みますから。
Aさん それではイージーオーダーをベースに進めて貰えますか?
で、その場合どんなアイテムが付けられますか?
私: ○○や▲▲、□□etc、フルオーダーとはちょっと違う部分もありますがこんな風にできますよ...

 ・・・とこんな感じでご注文が進みました。
(ご来店は下見を含めて2回に渡りましたので少し省略してご案内しています。)

こうして2度もご来店いただき打ち合わせをしたIさんのご注文ですが、前述の○○や▲▲、□□をまとめてみますとこんな感じのご注文となりました。

■Aさんのご注文内容(イージーオーダー版自転車スーツ)■
 画像は前回ご紹介したフルオーダーのMさんを使用しています。
□上着□
生地
ビンテージクロス茶系ストライプ柄
基本デザイン
シングル3つ釦上2つ掛け

>>>最近は多くないスタイルですがVゾーンが狭いので防寒対策としてこのデザインに。
腰ポケット
フタツキ

>>>上着の外見はあくまで普通に、、、
ベンツ
サイドベンツ
自転車仕様1 脱着(移動)式の襟タブ&チンフラップ

>>>普段使いでは上襟にアクセントとなるタブが付いている程度の見せ方。
でも、そのタブの取り付け位置を移動し、襟の反対側の釦と合わせれば、運転時の風防用チンフラップに早変わり。
更に、フラワーホールを完全に開け、そこにも襟の反対側に釦を付け留められるように。
こちらは前回フルオーダーで付けたアイテムです。
自転車仕様2 上着の前裾を捲って留めるボタン付き

>>>運転時は前屈みのため上着の裾が足に当たりがち。
これを防ぐため、前裾の裏にタブを付け、また腰ポケットの裏に釦を付け両者を留めることで、前裾のバタ付きを解消するようにしました。
こちらも前回フルオーダーで付けたアイテムの1つです。
自転車仕様3 背中にアウトポケット

>>>運転時には前屈みのため上着の腰ポケットは使い勝手が悪くなるもの。
そこで左腰(背中側)にアウトポケットを付けることにしました。
フルオーダーでは両玉縁の切りポケットでしたがイージーオーダー版なので簡略化して
アウトポケットにすることに。
※画像はフルオーダーのMさんのものですので、アウトポケットではありません。
自転車仕様4 ノーフォーク仕様

>>>ノーフォークとはハンティングジャケットなどに多い仕様で、脇が蛇腹になっている仕様。これにすると腕を前に出す時その分ゆとりが出て楽になります。
これは自転車を乗るときにはピッタリだろうということでご提案したところAさんも大喜びでした。
・・・と、ここまでが上着のオーダー内容。
いかがでしょうか?
以前フルオーダーの仕上がり例で紹介したMさんの仕様と比べても全く遜色ない内容です。
※:後述しますがディテールを厳密に見るとフルオーダーと全く同一ではなく、イージーオーダーでは工程の関係から縫い跡などが表に出てしまう部分もあります。

それではボトムの方はというと...
□ボトム□
基本デザイン
股上の浅いノータック仕様

>>>スポーティーですからね。好みですがノータックで股上を浅くするのは必須でしょう
自転車仕様5
ニッカーボッカー仕様

>>>一番のアクセントはやはりニッカーボッカー仕様。
こちらはシルエットをやや太めにして、丈を短く仕立て、その後三久服装で丈の調整、ニッカボッカー仕様の作成をいたしました。

具体的なディテールは...というと

ディテール1:ヒザ位置でのタック
>>>自転車は前屈み、しかも足が前に出やすいようにしなくてはいけません。
そこでヒザにタックを入れ、パンツ全体を前屈みに立体的に仕立てることにしました。


ディテール2:脇のスリット&裾のベルト
>>>自転車を乗るときには意外と運動のため筋肉が張り太さが変わりやすいもの。
そこで丁度良い位置で裾を固定できるようベルトを付けました。
いかがでしょうか?
引用した画像は前回フルオーダーでご注文頂いたMさん仕様でしたから、今回のIさんのご注文のイメージはちょっと分かりにくかったかも知れません。

それでは遅ればせながらIさんの出来上がりをご紹介いたしましょう。
項目毎にオプション料も掲載しましたから興味のある方は参考にしてみて下さい。

イージーオーダー版自転車スーツの出来上がり
< 全体像 >

 全体像いかがでしょうか?
Vゾーンがやや高いシングル3つ釦上2つ掛け。
これなら2つ釦よりは走行中風が入ってこなくて良さそうですね...

でも、一番のポイントは何だと思います?
それは・・・
見た目が全く普通のスーツ(上着)と変わりないこと。 です。

上着だけ見ていると普通に営業としても着れるでしょ。
タブだけが普通と違いますがこれはアクセントで、これがきっかけでこのスーツ凄いんだゼなんて話が出来たら最高ではないでしょうか。

< 前裾のロールアップ > 費用:3,150円


 前裾は捲って留めるとこんな感じ。でも普通には分かりませんから普段使いも問題なし。
狙いは、、、襟のタブから話題が自転車スーツになって、前裾はこんなんだゼという話の展開です。
これなら彼女もビックリ!
裏地も少し派手目にするのがポイントでしょう。

< 背中のアウトポケット > 費用:4,200円

 背中のアウトポケットだけはちょっと普通ではないでしょう。
でも、オーダーですからキチンと柄を合わせて仕立てていますから違和感出ませんよね。

画像では敢えてチーフを挿しているため目立ちますが、普段使いでは後ろの人から「これなに?」って言われるかも知れませんが、これもまた話題作りの許容範囲ではないでしょうか。

< 風防用可動式タブ&チンフラップ > 費用:3,150円


今回のご注文ではこのタブは共布で仕立てましたが、例えばここだけもっと暖かい素材で作ったり、場合によっては反射材などで付ければ交通安全にもつながります。
こんなオプションも面白そうですよね〜。
ここまで3つのオプションをセットにしたサイクルジャケットのオプションはセットで7,350円です。

加えて、フラワーホールとそれに対応する場所の釦を留めれば、風防効果は倍増します。
なにより見た目、カッコ良くありませんか?

上着の小粋なアクセントであり防寒状重要なのが可動式タブとチンフラップ
全体画像でほんの小さなアクセントに過ぎない襟のタブ。
これが襟を返すとこんな作りになっているんです。
それは ...
タブの取り付け位置を少しずらして、首周りのゆとりを作ってあげてから襟の反対側のボタンで留めると、、、
ホラっ、首元の風をシャットアウトする風防のチンフラップに早変わり。

< ノーフォーク仕様 > 費用:4,200円

ここまでは可愛い自転車アイテムを紹介しましたがここからがディープな本格自転車アイテムです。
ノーフォークとは脇を蛇腹状にして腕を前に出しやすくした仕様。
どうでしょうか?
これなら前傾姿勢で腕を前に出した時の窮屈感はかなり解消されます。

普通に立っていれば蛇腹部分は閉じていますから見た目に違和感もありませんし、なかなか良いアイテムではないでしょうか?

< ニッカボッカー仕様 > 費用:5,250円

続いて、ボトムに移りますと...こちらの一番のポイントは丈の短いニッカーボッカー仕様でしょう。

さすがにこのパンツですと普段使いのスーツ(パンツ)としてはNGですが、スペアパンツをニッカボッカーにすれば、ニッカボッカーで通勤し、会社で普通のパンツに履き替えるなんて面白くありませんか?
あるいは、ニッカーボッカーを汎用性の利くグレイ無地やグレンチェック柄で仕立てれば着回しも良くなると思います。

で、ディテールをもう少し見ると・・・

< 裾の処理 > 費用はニッカーボッカー仕様に含みます。

裾の処理はいかがでしょうか?
スリット(切れ込み)を入れ、そこにベルトを付けて太さを調整できるようにしました。
画像では分かりづらいかも知れませんが、結構手の込んだ良い仕事をしています。

さてさて
こんなイージーオーダー版自転車スーツ、サイクリストの皆さんいかがでしょうか?
ジャケットだけならトータルのオプション料10,000円程度で他にはないサイクルスーツ(ジャケット)が出来るかと思います。

それはさておき、実はご注文を通じ、Aさんからこんなことを言われました。
(Aさんは後から教えて頂いたのですが某報道関係にお勤めです。)
『吉村さん、このスーツ、自転車の展示会サイクルモード)に出品したら・・・?』
聞けば、出展料20〜30万円なのだそうですが、Aさんとしてはサイクルスーツの需要はあるから是非展示会に出るべきだとい言われるんです。
読者の皆さんはどう思いますか?

私は、Aさんの局で取材してくれるならOKです!と思わず応えてしまいました。(*^_^*)

ふ〜っ、、、こうして今回のIさんのご注文も無事お渡しが出来ました。

年始から色々と大変なご注文でしたが、当店は今年も既成のオーダースーツの概念にとらわれず色んな事にチャレンジしたいと思います。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。