真のノーフォークジャケット
“天高く馬肥ゆる秋”とは正しく今日のような天候の事を言うのでしょう。(10/10)
空気も澄んで、非常に気持ちの良い一日となりましたが,,,,私はひっそりと静まり返った店内で、しかも休日返上でこの原稿を作成しております(泣)
世間は3連休ですから行楽やレジャーを満喫されていらっしゃる方、この時期は各地で秋祭りなども多いですから、そちらに参加されている方もいらっしゃる でしょう。
あいにく私はこれまで住んでいた地区はことごとくお祭りとは縁が無く、毎年参加される方のお話など聞くと羨ましくて仕方ありません,,,,
ただ先日も香川や大阪で事故があり、お亡くなりになられた方もいらっしゃるようですから、ご参加される方はくれぐれもお気を付けください。
さて、今回は大阪店の古~いお客様でいらっしゃるHさんのフルオーダージャケットをご紹介したいと思います。
こちらのHさん、かなりの海外旅行好きでいらっしゃって、それも玄人好みする国をお選びになられ、私が聞いただけでもスイス、カナダ、トルコetc,,,,
見た目は非常に温厚そうで、お話してもそのままでいらっしゃるHさん、海外旅行に対するアグレッシブさは敬服するばかりです。
そんなHさんが何故今回ジャケットをフルオーダーで仕立てることになったかと申しますと、先日アイルランド!にご旅行に行かれた際、現地でアイリッシュドネガルツィードの生地を非常に安くお買い求めになられましたが、そのツィードが何と目付推定800g!!はありそうなボリュームのある生地で、買ったは良いものの何を作ろうか、散々悩んだ挙句、かねてより欲しかったノーフォークジャケットに行きついたという訳です。
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先日その生地を持ってデザインの打ち合わせにお越し頂いた際、
現物の生地をお預かりしたのですが、
さすがに目付推定800gの生地が4mともなると半端なく重い!!
私:“Hさん、仕立てるのはいいですけど、重くて着るのが嫌になるかもしれないですよ”
Hさん:“・・・・大丈夫、だと思います笑”
私:“これだけ分厚いと防刃ジャケットとしても使えますね笑”
なんて冗談を言いつつ、デザインを詰めることになりました。
その内容をかいつまんでご紹介致しますと,,,, |
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デザイン
■基本デザイン・・・・シングル3B
>>>Hさんにご持参頂いた参考画像ではシングル4Bですが、今回の着丈、Vゾーン、釦間のバランスを考えると、3Bの方が良いだろうとのことでこちらに変更することに。
■ラペル・・・・ノッチドラペル
>>>昨今主流のハイゴージではなく、ポイントは高めだが、角度は低め、衿巾は広めのブリテッシュ風に。
■ベント・・・・ノーベント
■袖仕様・・・・本切羽3Bキッシング
■腰ポケット・・・・アウトパッチポケットフラップ付
>>>本当は参考画像のようにマチ付がご希望でしたが、今回のような非常にボリュームのあるツィードだとマチが綺麗に収まらない可能性が高いので、今回はマチはパスということで。 |
■ボタン・・・・レザーバスケット タヌキ穴
>>>ツィードに合うボタンといえば、レザーのバスケット(革紐を編み込んだ)以外にございません。
通常は足付がポピュラーですが、今回は少し拘ってタヌキ穴付のバスケットボタンを使用することになりました。
腰のウエストベルトを留めるバックルも勿論同じレザーバスケットを使用します。
PS:なぜタヌキ穴かと申しますと、ボタンホールを上からみるとタヌキの目の様に見えるからという非常に単純な理由です笑 |
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■特殊仕様・・・・ノーフォーク
>>>巷では背の脇部分にヒダ(アクションプリーツ)を入れたジャケットをノーフォークと思われておりますが、真のノーフォーク仕様はそうではありません。
元来、ノーフォークジャケットは狩猟用のハンティングジャケットのことであり、ディテールにはその名残が現れております。
今回はキャンセルとなりましたが、マチ付の腰ポケットは猟銃の玉を収納するためのものですし、縦左右のベルトは獲得した獲物を挟み込む為のものであります。
こちらは最近ではフラシではなく縫い付けて、デザイン重視の仕様となっております。
おおよそのデザインはこのような内容に基づいて型紙を起こし、先日の仮縫いでは画像のようになりました。
画像からも非常にボリュームのある生地だとお分かり頂けるかと思います。
これまで何度のフルオーダーでご注文頂いているHさんですから、大掛かりなサイズの修正は必要なく、今回の仮縫いでは縦のベルト位置や釦間、ゴージ及びVゾーンの角度調整が主でした。
特に縦ベルトはウエスト部分から上が前後共、広がっているのがお分かり頂けるかと思います。
通常、ウエストよりバスト寸法の方が大きくなるので、ベルトは必然的に広がりやすくなるのですが、これを調整した真っすぐに見せることが出来るのは仮縫い付きフルオーダーの真骨頂とも言えるでしょう。
実際に着用出来るようになるのは、おそらく12月に入ってからだと思いますが、そこまではお待たせしませんので、次々回位の更新で皆様に仕上がりをご紹介出来るかと思います。
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