HOME > お客様いらっしゃ〜い > 遠方からのご相談。

遠方からのご相談。


2024年もスタートして早いもので半月が経ちましたが、ようやく本格的な冬がやってきたというか、暖冬とは言われていますが、先週末(1/13)はここ東京でも初雪が見られましたね。ちなみに去年より11日早く、例年より10日遅いそうです。
冬は寒ければ寒い方がいい!と思っている、東京店SHOPMASTER(佐野)です。
寒いのは好きですが、懐だけは暖かくして過ごしたい、、、いつもそう思っております。 (いまだに達成できません。)

さて、
2024年一発目の『お客様いらっしゃ~い』は、そんな寒い時期に欲しいアイテムの大本命、《コートのご注文》をご紹介いたします。
ですが、、、今回は少し趣向を変えて、コートのお仕立て内容はもちろん、楽しんでいただきたいのですが、その前段階の綿密なやり取りをご覧いただき、実際のご注文に至るまでを読者の皆さんに、疑似体験していただこうと思います。

普段どんなやり取りを経て、お客様がそれぞれの想いを詰め込んだオーダーをいただくのか、その一部始終を是非ご覧ください。

始まりは一通のメールからでした。。。
ここからは、リアルを追求し実際のメールのやり取りをご覧いただきます。

YOSHIMURA & SONS ご担当者さま

いつもお世話になっております。新潟市のWと申します。
今日の新潟は12月としては珍しく、17℃の暖かさですが、今後は毎日冬の嵐が続くかと思うと少々憂鬱です。
さて、これまで10着以上のジャケットをおつくり頂きましたが、今回初めてコートをお願いしてみようかと検討中です。
初めてのことですので、どのように注文すればよいのかもよくわからずに漠然としたメールをお送りしますがご容赦ください。

私の住む新潟市は真冬は0度近くまで下がりますので、1月〜2月頃はダウンを着ることが多いのですが、寒さの残る3月~4月、寒さの始まる11月~12月中旬に着られるコートを欲しいと考えています。

市販のコートの不満なところは、

  1. ①身長に合わせると身幅が大きくなり(ビッグサイズの流行もあって?)ボタンを留めずに羽織ると、シルエットがだらっとして見える。

  2. ②メンズコートのカラー、デザインは暗く重厚なものが多く、「男らしさ」「仕事ができる感(笑)」が強調されている感じを受け、(無骨?マスキュリン?な感じが)苦手。
    正直、割とナヨっとした女性っぽいデザインの方が好きです。

  3. ③私服ではレディースのコートも好んで使っていますが、袖が短い等の欠点もあり(ボタンの合わせは気になりません)

具体的なイメージとしては、

などの所謂ステンカラーコートとなりますが、典型的なステンカラーコートではなく、トレンチコートの雰囲気も併せ持つ「シングルトレンチコート」が良いと思っています。

レディースですがこれらもイメージに近いと思います。

  1. ①ジャケットの上から羽織れるサイズ感でありながら、ボタンを留めなくてもシルエットがきれいに見えること

  2. ②衿を立てやすい、ハリのある生地

  3. ③普段からガシガシ着られる丈夫な生地

現時点で思いつくお伝えしたいことは以上です。

アドバイスやお勧めの生地等あればご紹介いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。

今回のタイトルは、《遠方からのご相談》。ご紹介させていただくWさんは、メール本文に書かれているよう、新潟にお住まいで、なかなか東京にある店舗にご来店いただくことが難しく、普段はメールオーダーでご注文をいただいております。

YOSHIMURA&SONSでは、Wさんのように遠方にお住まいの方もオーダーを楽しんでいただける《メールオーダー》をご提供しております。
Wさんのように、メールでご注文内容やご相談をお送りいただき、ご注文を楽しんでいただくこともできますし、生地サンプル帳を取り寄せて、実際の生地をご覧いただきながら、WEB用のオーダーシートにご注文内容やご相談をご記入いただくご注文もお受けしております。

オーダーシートパターン表

メールでのやり取りでも、店舗での接客と同等に楽しんでいただけるよう、色々とご提案差し上げておりますので是非ご利用ください。
店舗にご来店いただく前のご相談や、オーダーについての素朴な疑問などなど、何でもOKですのでお気軽にお申し付けください。

さて、Wさんからご相談をいただいた《コート》ですが、うぅ~ん、、、なかなか難易度が高いぞ、、、というのが正直なところ。
デザイン等で全ての希望は叶えることが出来ないことに加えて、遠方にお住まいという事、コートご注文が初めてという事もネック。。。
それはどんなことかと言うと、、、Wさんへのご回答をご覧ください。

W様
こんにちは。
YOSHIMURA&SONS(佐野)です。
ここ東京は昨日に続き季節外れの暖かさです。
Wさんお住まいの新潟は本日いかがでしょうか。

気温がグッと下がってくれると、仕立屋としては冬物をお求めになるお客さんも増えるので嬉しいのですが、冬の寒さが連日厳しい新潟お住まいの方に言うと怒られそうですね。
失礼しました。

昨日はお忙しい中ご連絡をいただきありがとうございます。

さて、Wさんは今回、
寒さの残る3月~4月、寒さの始まる11月~12月中旬にご着用するコートをご検討とのことですね。ありがとうございます。

市販のコートについてのお悩み、ご検討いただいているコートのご希望やデザイン等について、参考画像等送りいただきありがとうございます。 普段からジャケット、スーツをオーダーされているとなかなか市販品で気に入ったサイズ感やデザイン等を探すのは難しいですね。

それでは、
まずデザインについて、参考サイトを早速拝見させていただきましたが、当社サイトでご紹介させていただいているコートについてはある程度実現は出来るのですが、
お送りいただいたレディースコートのデザインは、ご用意しているコートの型紙では(ベルト付き、脇ポケットのデザイン等)実現させることができません。申し訳ございません。

コートについては、スーツに比べるとデザイン等選べる範疇が少なくシンプルなデザインが中心となっております。

また、オーダーコートにつきましては、スーツの上に着るオーバーコートのイメージですので、ご不満としてご連絡をいただいている、『男らしさ』『無骨感』の雰囲気が出てしまうのが大きな懸念点です。ネガティブな事ばかり申し上げてすみません。

ご連絡をいただいた、
https://www.vightex.com/thanks/2008/08_12/index.html
のボックスステンカラーのイメージはご用意できますが、本当に典型的なボックスステンカラーコートですから、お送りいただいた、レディースのコートのイメージと相反してしまうのではと感じています。

ですので、一旦コートを仕立てると言うのではなく、《ロングジャケット》でお仕立てを考えたほうがイメージに近づけるのではと考えております。

ロングジャケットは、名前の通りジャケットの着丈を長くして、コートとして着るデザインです。

トレンチのようなデザインとステンカラーのデザインは残念ながらご用意がないのですが、(基本はジャケットですので)オーバーコートのような男らしく無骨な雰囲気をあまり感じさせない肩回りやお袖を設定することもできますので、Wさんのイメージに近づけるかと思います。

【ロングジャケットについて】※下記サイトでご紹介しています。
https://www.vightex.com/news/2023/11_longjacket-coat-fair/index.php
ただ、懸念点は、上記サイトでもご紹介しておりますが、衿腰がコートに比べると低く、衿を立てる時に少し物足りなさを感じてしまうところと、どちらかと言うとチェスターコートのデザインになってしまうところです。

生地については、ご着用の期間とハリコシのある生地感のことを考えると、
今期サンプル帳で掲載している、

◇カノニコ カバーコートシリーズ

◇PURE COTTONシリーズ

上記2種類が非常に生地もヘヴィーですのでオススメです。

サンプル帳で実際に生地に触れることができますので、是非一度ご請求ください。

【サンプル帳】※オススメ生地はGOLD LINE に掲載しています。
https://www.vightex.com/sample/index.html

最後にサイズ感です。コートのオーダー(ロングジャケット)が初めてとなりますと、
ジャケットに対してどれ程のユトリ感で仕立てるのか、長さはどれ程なのか等細かいサイジングのご相談が必要です。
一番の理想は、Wさんにご来店いただきサイズをお測りするのがベストではあります。

遠方にお住まいですので、ご来店等が難しいのは重々承知していますが一度ご検討いただければ幸いです。

ご案内が長くなりましたが、一度ご検討いただければ幸いです。

Wさんへのご回答をご覧いただきましたが、今回のご注文についての課題は大きく2つ、、

①希望のコートデザインと雰囲気を再現する事
②コートのサイズ感

①については、ご希望のデザインを《イージオーダーの範疇でどこまで再現できるか》ですので、どうしても制限が出てきてしまいます。特にコートはスーツに比べると、季節を限定するアイテムであるが故に、選べるデザインが少ないのがネック。
ですから、ご連絡をいただいた『シングルトレンチコート』は、残念ながら諦めてもらうしかありませんでした。
更に、Wさんが懸念されている、メンズコートの重厚感(無骨なイメージ)は、オーバーコートという事もあり、柔らかい雰囲気を再現するのが生地を含め難しい。
それゆえの、《ロングジャケット》のご提案でしたが、Wさんの反応はどうか。

②についてが、実は一番の懸念点ですね。今までジャケットやスーツは一度採寸したものがベースにあるので、サイズについてご対応が出来たのですが、今回は、初めてのコートのご注文。
スーツやジャケットのサイズ感とは、また別のサイズとなりますので、実際に採寸を行わなければなりません。Wさんは新潟にお住いですから、気軽には店舗にお越しいただけない。。。お気に入りのコートを送ってもらうか、、、とも考えましたが、
やはり採寸はしたい。。。

そんなことを思いながらWさんにご提案差し上げたところ、Wさんから早速ご回答をいいただきました。

佐野 様

お久しぶりです。早速のご返信ありがとうございます。
コートのデザイン等の可否についてよくわかりました。
お送りした画像はあくまでイメージですので、細部はまたおいおいご相談させていただこうと思います。

佐野様が仰るとおり、デザインよりも気になるのがサイズ感です。
是非直接ご訪問させていただこうと思うのですが、少なくとも年内は難しいので、1月訪問のタイミングを検討してみます。 まずは生地サンプルを請求させていただきますので、それを眺めてつつ、もう一度自分のイメージも整理してみようと思います。

また、ロングジャケットについてご提案いただきましたので、そちらも検討してみます。
今の気持ちといたしましては、HPのメンズコートのところで紹介されている、青色のステンカラーコートの形で、生地と裏地で無骨な印象を和らげる方向で、と考えております。
イメージとしては、PURE COTTONシリーズの明るめの色の表地に、優雅できれいなプリント裏地で~などと考えております。

発注のタイミングにもよりますが、来春に着ることができればいいなと思います。
それでは今後ともよろしくお願いいたします。

Wさんに気持ちが通じた??遠方からからご来店を頂けることに。ふぅ~、、、一番懸念していた《実際に採寸をする事》をクリアすることができ、ちょっとホッとしたという気持ちもありますが、Wさんとはメールでのやり取りしかなく、直接お会いしたことがなかったので、Wさんにお会いできることが一番嬉しいです。

生地サンプル帳のご依頼(GOLD LINEとハリスツイード)もいただきましたので、早速Wさんのご自宅にお送りすることに。
数日してWさんからご連絡をいただきました。

佐野 様

お世話になっております。
早速サンプル帳をお送りいただきありがとうございました。本日受け取りました。
詳しくは直接お会いした時に相談したいと思いますが、ファーストインプレッションをお伝えしたくメールしました。

今の気分としては、ステンカラーコートです。
最初にサンプル帳をパラパラめくった時には、X22-3714 PURE COTTON ベージュ一択と思いました。
生地の風合い的にも春も長く着れそうですし、イメージとしてはバーバリーやマッキントッシュの感じですね。

ところが、ツイードのサンプル帳を見ているうちに、HT-2326のワインもよく見えてきました。

ベージュは間違いなく安心なのですが、無難な感じもしてしまいます。
折角のオーダーですので、メンズではあまり見ないワインもいいのでは ?と。

ワインの懸念としては、生地と色味が秋冬向けで春にはちょっと合わないかなという点と、やはり赤系ということでコートとしてはちょっと勇気がいるな、という点です。
新潟は4月もまだまだ寒いので、実際にはツイードを着たくなる日は多いです。
HT-2326のワインは比較的明るいワインですので、形は極力シンプルなステンカラーコートで、裏地を UR23-212 エスニックペイズリーや、UR23-208 ロイヤルガーデンなどの優雅で軽やかな柄にすれば、赤という色でも上品に着られるのではないかとも考えています。
楽しい悩みです。

というわけで、是非すぐにでもご相談に伺いたいところです。
今月も含め、土日であれば都合をつけられそうですので、佐野様の都合のつく日と時間帯を近い方から候補をいくつかいただけるでしょうか。 すぐに調整してご連絡差し上げます。

年末のお忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

生地を実際にご覧いただくと、仕立てるアイテムへの創造力が高まりますので、お仕立てを迷われている方は一度《サンプル帳》で生地をご覧いただくことをオススメします。
Wさんは今回【ステンカラーコート】に気持ちが固まってきたようですね。

生地についてはまだ少し迷われているようですので、更にご対案を、、、したいところでしたが、実はWさんからご連絡を頂いた日が丁度私の公休日でして、、、代わりにYOSHIMURA&SONSのエース(河本)がご提案を差し上げることに。

W様

いつもご愛顧頂き誠にありがとうございます。
YOSHIMURA&SONS(河本)です。
昨夜はお忙しい中、佐野宛てにご連絡を頂きありがとうございます。
生憎、本日佐野は公休で休みをいただいているため代わって河本がご返信させていただきます。
さて 先日は、コートのお仕立てをご検討されているとのことで、サンプル帳のご請求を頂きありがとうございました。
今の気分としてはステンカラーコートとのことですね。Wさんがご希望されていましたコートについて私も拝見しましたが、これらを踏まえた上、ご希望に近い雰囲気になるのはステンカラーコートかと私も思いました。
そうなると、生地もX22-3714 PURE COTTON ベージュになりますよね。
ただ、現在ツイードのワインも気になられているとのこと。
確かに、この色目はメンズの既製品では中々見られないのでオーダーらしい素敵なコートに仕上がるかと思います。 (少し勇気はいるかもしれません。。。)
ですが、Wさんが仰るように、生地感がツイードであるため、季節感としてはやはり秋冬です。
その為、たとえ裏地を爽やかなものにしても、やはりツイード特有の肉厚さ、秋冬感が強く出てしまい、春に着用すると、季節感が合わず、バランスが悪くなってしまいます。

このことから、春まで引っ張れるコートをご検討されているのであれば、コットンのベージュ。
割り切って秋冬コートととしてお仕立てされるなら、よりオーダーらしいツイードのワインがオススメです。
これらも、是非ご来店頂いた際に、色々お話できたらと思います。

スタッフ全員でフォローアップできるのも、YOSHIMURA&SONSの強み。(河本くんありがとう。)
Wさんのファーストインプレッション、河本からの提案と同じように、私も、『X22-3714 PURE COTTON ベージュ一択』ステンカラーコートが、今回のご注文にピッタリかと。
皆の想いは1つと言う感じですね。

さあ、河本からのご提案で、Wさんの心は決まったのでしょうか???早速ご連絡をいただきましたので、ご覧いただきたいと思います。

河本さま

お世話になっております。ご連絡ありがとうございました。
また、アドバイスもありがとうございました。
やはり一晩考えて、私も今はベージュかなあ、というところです(笑)。
この辺りもいろいろお話させていただければと思います。

さて、訪問の日時ですが、急で恐縮ですが、今月17日(日)はいかがでしょうか。
11:30頃に東京に着く新幹線で行こうと思いますので、可能であれば正午以降で佐野様のご都合のつく時間帯をご連絡いただければと思います。
よろしくお願いいたします。

生地もコートのデザインもバッチリ心決まったようですね!
そしてご来店日も決まり、あとは実際にお会いして、より密にイメージを共有し、理想のコートを作り上げていく。ここからが本番。 というところで、今回は長くなりましたので、ココまでのご紹介とさせていただきます。

さて、Wさんのコートご注文の前日談をご紹介させていただきましたが、楽しんでいただけましたでしょうか。
ご紹介させていただくWさんのように、遠方からのご相談だからではなく、ご来店いただくまでに色々とご相談やご提案を差し上げて、お仕立てされる人の色々な思いに全力で応えていきたいといつも目指しております。

事前にお打ち合わせをすることで、ご提案の幅も広がり良いことづくめですから、ご注文をご検討される方に限らず、何か些細なことでもお気軽にご相談ください。

この先は一体どうなっていくのか、、、気になりますよね?!
長くなってしまいましたので、続きは『イメージからリアルへ。』ゼロから創造したモノが形になる喜びと楽しみを、『お客様ありがと~う』でご紹介させていただきます。 乞うご期待ください!

ご協力いただいたWさんありがとうございます。


back number

過去のback number