オーダースーツのヨシムラは法人名は吉村株式会社と申します。 吉村株式会社の創業は明治17年。 文明開化とともに日本が急速に欧米化し、服装も洋装化していった時代(鹿鳴館時代)に洋装向けの羅紗(今でいう洋服地)を取り扱う生地問屋として初代吉村繁蔵が大阪の地(谷町)に創業いたしました。 創業期の当社は、繊維産業が日本の基幹産業となる時代を迎えると共に急速に発展し、日清・日露の両戦争を乗り越えつつ、第二次大戦前まで大きく成長いたしました。
第二次大戦中には一時休業に追い込まれた時期もありましたが、終戦と共に再開し、戦後は女性の人権が自由になることを見越した2代目吉村徹穂により、これまでの紳士服地一辺倒の羅紗屋(生地屋)から紳士・婦人の両方の生地※を取り扱う生地屋として第二の創業をいたしました。 ※当社のドメインvightexは造語ですが、両の意味を持つvigh(bi)と繊維を意味するtextileを掛け合わせています。これは紳士・婦人両方の生地を取り扱う会社でありたいという強い願いから2代目徹穂が命名した当社の商標です。
そして同時に日本の戦後復興、高度成長によりファッションビジネスがより豊かに、より自由になることを見越し、昭和40年頃より多角化の一環として従来の洋服地販売だけでなく仕立て業(オーダースーツ販売)も行うようになりました。 その後、高度成長、オイルショック、バブル景気など時代時代の浮沈を受けながらも成長いたしました。 しかしながら90年代バブル崩壊後の長引く不況は当社のみならず業界全体を大きく地盤沈下させます。25年という長きに渡るデフレ(価格下落)は製造現場の海外移転と共に、日本のファッション業界を大きく傷つけました。 スーツは安い物から順に売れ、あたかも安い物を買うのが流行りかのような恐ろしい時代でした。 一方で、1995年頃からはインターネット社会の黎明期でもありました。 これまで消費者は販売業者から一方通行でしか情報が得られなかったものが、NET社会の到来により双方向の情報交換が可能になり、消費者行動が大きく変わりました。 そのような中、当社では三代目吉村雅隆により、2000年からインターネットを活用したオーダースーツを販売開始、2005年にはハンドメイド縫製工場(三久服装)の買収、そして2011年にはオーダースーツ販売店ビッグヴィジョン、オリテック青森(青森工場)を買収し、今ではオーダースーツのヨシムラおよびオーダースーツ専門店ビッグヴィジョンによるオーダースーツ販売を中心に、オーダースーツの生地の仕入(吉村株式会社)、オーダースーツの縫製(オリテック青森・秋田・山形)、オーダーシャツの縫製(新潟)をするに至っています。
このような会社(グループ)ですが、その中でもオーダースーツのヨシムラとしては次のポリシーで運営しております。 ~ ディフィカルトなイージーオーダーを ~ 当社でお仕立てしているスーツは、レディーオーダー(既製服)でもなく、仮縫を入れたハンドメイドスーツ(いわゆるフルオーダー)でもありません。※
※:フルオーダーは2018年より受注を休止しております。 次の表はオーダースーツをカテゴリ別に分けた表です。 当社が扱うオーダーは、オーダースーツのカテゴリーの中では、イージーオーダー(EO)と言われる範疇になります。
このイージーオーダー、何故、イージー(簡易)と呼ばれ るのでしょうか? これにはバブル崩壊以降の長らく続いたデフレ社会が大きく影響しています。 それは、元々EOはフルオーダーを一定範囲内で企画化、効率化することで、お客様の身体やニーズに合わせることは失わず、それでいてFOより安い価格で仕立てるシステムでした。 しかし、それがデフレ経済の長期化し、安くなければ売れない社会となった結果、スーツ業界全体が安売り競争に突入してしまいました。 90年代で言えばAOKI、青山商事さんや2000年代になってからは29,800円39,800円の2プライス各店が台頭したことを思い起こすと良くお分かりになると思います。 その中で、我々イージーオーダー業界はいかに“楽に”“早く”それでいて“儲かる”かを追求した結果、イージーオーダーという枠組みが言葉通りに“簡単な”楽をするオーダーとなってしまっていたのです。 最新のCAD/CAMを駆使しながら残念なことです。
業界で口に出す人はいませんが、この業界に蔓延している言葉に次のような言葉があります。 『大は小を兼ねる』 『とにかく“お似合いです”と言えば良い』 『間違ったらすっとぼけろ』 1つ目は、お客様は窮屈なことには文句を言うが大きい分には文句を言わない(=だから大きめに作れ!)という意ですし、2つ目は文字通り。 3つ目は何かクレームになりそうになったら「えっ?そんなことは聞いていません。」としらばっくれれば良い。 私は若い頃、他業界(銀行)にいたため、この言葉が世間と乖離しているため大嫌いでした。 そんな考えからスタートしたオーダースーツのヨシムラですから、当社はこの点が他社と違います。
※両コーナーではお客様からの要望がない限り原文を掲載していますし、時として批判的なご意見もそのまま掲載しています。
ご存知の方も多いと思いますが、当社は首都圏、中京圏、関西圏に27店舗展開しているオーダースーツ専門店ビッグヴィジョンの親会社でもあります。 このため時折、両社の違いを質問されるためご案内いたしますが、両社は代表者は同じですが、企業の生い立ちや規模・企業スタンスに違いがあり、同一視は出来ません。 飲食店で例えて言えば、ビッグヴィジョンは多店舗展開のマクドナルドなどようなのチェーン店ですし、ヨシムラは個人経営に近いビストロ(専門店)です。 つまりは、店舗や社員の多いビッグヴィジョンは不特定多数のお客様を相手にしなければなりませんので企画化した、均質のサービスを提供せざるを得ません。 ですから、この職人だけのスゴ技的なことは出来ませんし、また出来てはいけない組織です。(=チェーン店で個人技のスゴ技をしてしまうと、出来ない他店とのバランスが崩れ、均質サービスが提供できなくなり良くありません。) 一方で、ヨシムラはチェーン店ではなく専門店ですからより深いところまで個別のご相談を承りますし、またスタッフも1人1人スキルの高い人材を集めています。 しかしながら、ヨシムラの店舗は東京大阪1店舗ずつに限られますし、専門性が高く基本仕様を高めているが故に、価格もビッグヴィジョンより概ね5千円~1万円程度高く設定しております。(※補足:ヨシムラでは海外縫製は行なっていません。) また、ヨシムラは専門店ですので、横柄で一方的なお客様に対しては、毅然としてご注文をお断りすることもいたします。 厳密には、両社には人事交流もあり個々人ベースで見た場合全てにおいて上述が当てはまる訳ではありませんが、チェーン店と専門店の違いとご理解下さい。
近年、少子高齢化により国内スーツ業界全体は右肩下がりですが、その中でオーダースーツ業界だけが注目され、大きく伸びています。 大手既製服アパレルがオーダースーツ店を新規に展開したり、ZOZOタウンがサイズ計測用のZOZOスーツを開発したり、新規参入も大いに増えています。 またこのオーダースーツブームは日本以外の海外でも火がつき始めています。 そんな中でこれからのオーダースーツ業界は、各社が各々特徴のある商品提供をしていくことで差別化をしていくことになると思います。 そしてその差別化はきっと次のようなベクトルに分かれていくと考えられます。
これによれば、ヨシムラは高い技術や見識を武器に①をメインに。 また縫製工場がグループ内にあることのシナジーを活用することで③独自パターン開発をすることでこの路線で差別化していきます。 一方、ビッグヴィジョンはその規模から②価格訴求力とIT化による④短納期対応で差別化していくことになると思われます。 ヨシムラとビッグヴィジョンをご比較されるお客様には、お客様のスーツに対する価値観(何をスーツに求めるか?)と両社の特徴をご賢察の上、お選びいただければ幸いです。