2020年5月8日更新
こんにちは。 大阪店の大崎です。 相変わらずコロナ一色の世の中ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 「コロナブルー」なんて造語もできましたが、そんなふうにはなりたくない私はとにかくいつも通りの時間で生活する!と自分に誓い、朝ごはんをいつもよりもちゃんと?作って食べております。 要は食事が楽しみというただの食いしん坊なだけですが(笑) またこんな状況ですからね、まずは最初に明るい話からお客様の仕上がりの紹介?こんな生地ありまっせ!なんて催促を書くほうが良いというか、それがプロなんでしょうけど…(汗) お客様がネットサーフィンし続け辿り着く先がこのコラムであることを願いつつ、なんだかんだと書いて(つぶやいて)いきたいと思いますので、どうぞお付き合いください。
今回のテーマはタイトル通りの「糸」。 中島みゆきさんの名曲「糸」は皆さんもよくご存じだと思いますが、その映画が先月に公開されるはずだったんです…楽しみにしていたのに(泣) こんなふうにコロナの影響はモノ、コト、ヒトへ。 モノといえばね…今“糸”がないんですよ。 品薄状態が続いている《マスク》日本国内でも様々な企業が生産に取り組んでいるわけですが、原材料が高騰化しているため薬局で600円とかで買えた頃に戻るのはまだまだ先の話。 世間では“手作りマスク”が当たり前になり、BROTHER、JUKI、JANOMEなどの家庭用ミシンは大変好調だそうです。 けれどマスクを作るためには色々と材料も必要なんですよね。 不織布が無い、ガーゼがない、耳にかけるためのゴムが無いなんてことになっていて、手芸屋さんの“糸”もきれ~~~に無くなっていました。(よく考えれば当たり前なんですが)メーカーによると家庭用糸はほぼ国内製造、原材料も十分にあるそうで、回復はしていくみたいですが、糸までも品薄になるというこの非常事態…。
そんなモノを作る際の“縫い糸”は、布の素材・性質・特徴・完成品の用途等によって使い分けられ、天然繊維だけでなく化学繊維、混紡糸も含めると数多くの種類があります。 例えば、絹縫い糸は天然繊維の中で唯一の長繊維であり、独自の光沢感と優れたしなやかさが特徴的なんですが、それに加えて染色性に優れ深みのある綺麗な色が出せるので和装(着物・襦袢など)によく用いられます。 また、綿縫い糸は繰り返しの洗濯にも負けないくらいの耐久性があり、高温でも溶融しないことから可縫性に優れているため、スーツやシャツの多くは60番(糸の番手、細さ)、デニムなど丈夫な生地は太番手で縫われます。 そんな“糸”を注視する機会もないと思いますが...。
例えば一番皆さんにとっても馴染みがある「AMFステッチ」。 ハンドステッチやピックステッチと呼んだりしますが、アメリカン・マシン・アンド・ファンドリー社 (American Machine and Foundry)が開発した手縫いを再現したミシンを使って入れるステッチです。 ヨシムラではジャケットをご注文いただい際に標準で、ラペル・胸ポケット・フラップ等の前身にこのAMFステッチが入ることはご存じでしょうか?(肩や袖、背中まで入れられる総ステッチは¥2,000) スーツの仕様において特に“襟(ラペル)”Vゾーンはスーツの印象を左右する部分ですし、ステッチ“糸”を入れるのと入れないのとでは雰囲気がまるで違います。 ラペルにふっくらと立体感が生まれ返りも潰れにくく高級感が出るので、ビジネススーツでは入れない手はありませんが、フォーマルスーツに関してはあえて入れず全体的に華美でなく上品にまとまるようにいたします。 また、基本ラペルのコバ(襟の端から2mm~3mm)に入れるのを、内側に入れるほどカジュアル感は増し、綿や毛羽のあるフランネルやツイードに多く使用される「ミシンステッチ」(ダブルステッチは¥1,000)は全体がスッキリとした仕上りになります。 ステッチを入れる箇所や本数、種類を変えることは意外にも全体の雰囲気作りに繋がっているんです!
ステッチ有り
ステッチ無し
そしてそのステッチ、実はみなさんのお好みの糸色に変えられます! 生地に対して補色は避け同系色から濃淡を変える程度に、コントラストが効きすぎていないほうがバランスは良いです。 それでも表にはちょっと…と思ったお客様は、見返しと前裏の間に入るポイントステッチにお好きな色を。 細かい部分ではありますが、またオーダーされる際には裏地や釦と併せて楽しんでいただければ幸いです。
ステッチ糸色
ポイントステッチ
最後になりますが、某オーダースーツ屋のY氏からシャツ地で使った“洗えるマスク”いただいたので載せたいと思います。 つけてみるとサイズがぴったりで快適だったんですが、その時に「え、けどなんでサイズ分かったんですか?」と聞くと、「想像しながら作ってん…」とニヤニヤ。 いつも通り話は軽く流しつつありがたくいただきました(笑)
Y氏の手作りマスク
いつになく真剣な眼差しのY氏
現在同グループ会社のビッグヴィジョンでも、シャツ生地で仕立てたマスクをオンラインで販売中です…が。 早くみなさんとマスク無しでお顔を合わせられる時が本当に待ち遠しい…楽しみに頑張りたいと思います。 ではまた、次回もお楽しみに。