2022年9月2日更新
さて話は変わりましてかなり前にはなるんですが、5月に旅行で福岡に行った際、「ミナペルホネン/皆川明 つづく」というデザイナーの皆川明が設立したブランド「ミナ ペルホネン」の展覧会に行ってきました。 このブランドのコンセプトが、流行に左右されず、長年着用できる普遍的な価値を持つ「特別な日常服」だそうで、なんとなくスーツに重ねながら、ゆったりと そしてじっくりと展示物を見て回りました。 こちらの刺繍はミナペルホネンの代表的なデザイン“タンバリン”。 ドットが円になりその○がいくつも連なっているデザインです。
そしてつい先日とあるご飯やさんにいった際、この刺繍が張地に使われた椅子に出会ったのです。 張地に使われているところを初めて見たのと展覧会で見たこともあって、オーナーの方に思わず「これって?...」と聞いてしまいました。(椅子が自宅のと同じだったのでつい。) オーナーの方はとても親切で、貼替に至った理由や知り合いの業者に貼替ってもらったこと、生地が一番高くついたこと等、色々と話してくれました。(スポンジがくたびれたらどうしようと思っていたところで大変参考になりました。)
話を本題に戻しますと、このタンバリンの刺繍に限らず“人々の印象に残りやすい”ロゴやデザイン、シルエット、色柄がたくさんありますよね。 ラグジュアリーブランドが分かりやすいかもしれませんが、一目見ただけでピンとくる、そんなニュアンスです。 それを皆さんが普段着られるスーツに置き換えてみるとどうでしょう。 “一度見ただけでも記憶に残る柄”そんな主張が強く派手な色柄・デザインのスーツを頻繁に着ていると、「同じばかり着ているよね」なんてことになりかねませんよね。
そこで今回のコラムでは、今季はなにを仕立てようかと悩まれている皆様に2022年秋冬のDIPLOMATの中からお勧めの“0.5柄のスーツ地”をご紹介したいと思います。 「0.5柄って?どんな柄だろう?」聞いたことがある方もそうでない方も、0.5柄の生地は控え目な主張で社会人経験に関係なくお召しいただけますので、是非最後まで読んでいただければ幸いです。
皆さんがビジネススーツを選ぶ基準はどこですか? 色柄?品質?値段でしょうか? 主張の激しい派手な柄が着られるのは、スーツ着用人口の中でもわずかだと思いますし、まずは相手に失礼がないよう控え目と考えられる方がほとんどなのではないでしょうか。 だからといいて無地の中から選ぶとなると、トーンに変化をつけるくらいでマンネリ化してきますよね。 そんな方にまずオススメしたいのが0.5柄のスーツです。
同系色の糸を使用し織りで柄をデザインしているので、無地は無地でも奥行きがでます。 遠目からはほとんど無地に見えるけれど近づくとわかる、という点が大人のおしゃれ心をくすぐります。 地味になりすぎず派手にもなりすぎない、無地よりも垢ぬけてみえるのが特徴です。
柄は“1.5柄まで”なんてこと聞いたことはありませんか? コーディネート全体で1.5柄以下にまとめると、程よい華やかさと誠実な印象に繋がり好印象です。 素材にもよりますが、無地に近いほうがフォーマル、柄が増えれば増えるほどカジュアルな印象を与えることになります。 例えば、スーツが0.5柄だとシャツが0柄×ネクタイが1柄、もしくがシャツとネクタイそれぞれが0.5柄ずつといった組み合わせ方がベストです。
〈スーツ 0.5柄×シャツ 0.5柄×ネクタイ 0.5柄〉
〈スーツ 0.5柄×シャツ 0柄×ネクタイ 1柄〉
コーディネート全体の内スーツはほとんどの割合を締めています。 予算がかかるスーツをベーシックに抑え、シャツやネクタイ等範囲の小さいものに皆様の好みを反映させてみてはいかがでしょうか。 柄が目立たないと印象に残りにくいため着数が少なくてもOK、なんでも組み合わせやすいためある意味コスパがいいというわけです。
気候的にどうしてもカジュアルが多くなる春夏から、秋は綺麗目でクラシカルな装いをしやすくなります。 今季のYOSHIMURA&SONS コレクションは春夏コレクションとは打って変わり、原点回帰とも言える『クラシック&ベーシック』スタイルがメインです。 SILVER LINE・GOLD LINE・PREMIUM LINEすべてのラインで0.5柄の生地のご用意がありますので、いつも無地やストライプばかりという方も是非ワードローブに加えてみてくださいね。 それではまた、次回もお楽しみに。
p.s.先月のコラムで掲載しました「レディース新パターンのベスト」についてですが、もう少し待っていただければ幸いです。 裏地にさんざん迷って職出しが遅れました...汗 ダメですね優柔不断は。 来月こそ皆様にしっかりとご紹介できるよう頑張ります。