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フランネルでスリーピースを仕立てる


こんにちは。
大阪店の大崎です。
壁に掛けてあるカレンダーも残り一枚となり、さすがに冬らしい気候になってまいりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
朝晩はコートを羽織る方もかなり増え、お昼休みにランチへ出かける皆さんを見ていても“寒そう~私も何か温かいもの食べよう”と、ここ1週間のランチは蕎麦とうどんを交互に食べるくらい(どれくらいやねん、分かりにくくてすみません)、一気に冬到来といった感じです。
そんな訳で冬物を新調するのですが、このように寒くなってからスーツを作り始めたんじゃ遅いんですよね…毎度のことですが。汗
分かってはいるんです、分かってはいるんですけど。
仕様を考える時間が無い(言い訳)上に優柔不断(決めたら早いですよ)な性格のせいで、やっと最近になって冬物のオーダーに取り掛かりました。
そのオーダー内容が今回のテーマ「フランネルでスリーピース」です。
もったいぶるほどではありませんが、どんなスリーピースかは後ほど…。
昨年はツイード素材に挑戦した私ですが、はて?あのセットアップはどこに収納したかな?
と、案の定コーディネート撮影以外で着る機会がありませんでした。
ですから今年こそコラムだけのお披露目とならないよう、ちゃんと普段使いできる冬物スーツを作りたい!たとえ皆さんから無難だと思われてもいい!それくらいの気持ちで仕様書を書きました。笑
どうか皆さん温かい目で見守ってやってください。

フランネルとはどんな生地か

まず、はじめに私が使用する生地についてですが、今回フラノやネルと呼ばれることもある「フランネル」を使います。
一般的にほとんどのスーツ用の生地は細く長い羊毛を使用した糸、梳毛糸(そもうし)を使用して作られ、生地の表面は最終的にクリアカットという毛羽立ちを無くす工程を経て艶を出す仕上げとなります。
それに比べてフランネルは、シャネルスーツで使うようなざっくりとした風合い、太く短い毛を用いた紡毛糸(ぼうもうし)を使用し、毛を縮ませ生地の厚みを出す縮絨(しゅくじゅう)という処理をし、起毛加工されるため表面はふんわりと毛羽立ちがあり綾目が見えないのがフランネルの特徴です。
最も寒い時期である12月~3月頃が着用期間で、冬限定の生地となりますので季節感を表すのにはぴったりな生地だというわけです。
因みに似たような生地で「サキソニー」という生地がありますが、よくフランネルと比べて厚手か薄手かという厚みや重さで識別されがちですが、正しくは糸自体に違いがあります。
サキソニーは基本的に一般的なスーツ生地と同じ梳毛糸を使用します。
短い毛足を取り除いて毛足の長い羊毛に撚りをかけ糸にして縮絨をかけ、フランネルと同じ起毛加工を施した生地です。

ダブルスーツにベストを合わせる理由

年々増えてきているシングルスーツのスリーピース。
クラシカルな雰囲気や貫禄を醸し出せる人気のスタイルです。
しかし、今回はダブルスーツにベストをオーダーしました。
“ん?ベストって必要?”そう思われた方もいっらしゃるかもしれませんね。 基本的にダブルジャケットはフロント釦を留めて着用するものですし、周りからしても脱いだ時くらいしかベストを着ていることすら分かりません。 それでなぜベストも作るのかという理由についてお話しします。

1.脱いでもだらしなく見えない

ベストを仕込んでおくと、脱いでもカッコいい、だらしなく見えにくいです。
朝は綺麗にアイロンがけされたシャツだったとしても、夕方にはシワがはいりよれてきてしまいますよね。
ベストを羽織りシャツを隠すことでフォーマル感を維持することができます。
これからの季節は〇ニクロのダウンベストを着ている方が多いようですが(否定はしていません)、ベストはよりスマートな雰囲気を醸し出します。

2.体温調節がしやすい

インナーを着込むくらいなら、ベストで温度調節をしましょう。
シャツの下にインナーを着込むのはいいですが、汗をかいてもすぐには脱ぎにくいですよね?
室内外で温度の変化にはさっと着脱できるベストは便利です。

3.オーダーならではの楽しみ方

“ダブルスーツのスリーピースは既製ではない”これが最大の理由です。
同じ生地でシングル・ダブルそれぞれ1着ずつ、スペアパンツやベストの追加もOK等、極端に言えばセオリーを無視したデザイン・仕様でもオーダーでは可能となります。
スーツをオーダーするにあたり、TPOに合わせたスタイルももちろん大切ですが、お洒落がしたい、誰とも被りたくない、自分の好きなものを着て過ごしたい等、自己満足度を高めるものでもあると思います。

今回の仕様・デザイン

【ジャケット】

基本デザイン ダブル6×2
肩仕様 パッドたれ綿無し
ベント サイドベンツ
腰ポケット 両玉フタ付きチェンジP付
袖口 本切羽4つ釦重ね
裏地 キュプラ(AK1700-/ブラック)
ボタン 水牛釦(持ち込み)

【ベスト】

基本デザイン シングル5B
尾錠 有り
無し
腰ポケット ハコ
胸ポケット 無し

【パンツ】

シルエット ストレートワイド
タック ワンタック
ウエスマン 持ち出し付き/ループ無し/尾錠付き
ピスポケット 両玉左右釦留め

以上、簡単ではありますが今回のオーダー内容をお話しいたしました。
沢山の生地の中からセレクトした生地をどう調理していこうか?そんなふうに想像できるオーダーはいつだってワクワクするものです。
皆さんにも様々な楽しみ方ができて、着ていて気分が上がる、そんなスーツをお召いただけるよう精一杯ご提案させていただきますので、是非お気軽にお問合せ、お立ち寄りいただけますと幸いです。
来月のコラムには仕上りをご紹介させていただきますので、今しばらくおまちください。
それではまた、次回もお楽しみに。

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