2023年2月20日更新
今年の春イチオシのアイテムそれは、、、『Wジャケット』です。 『えっ、ダブル?女性で?』そう、シングルではなく《ダブル》です。 意外性ありますよね。 そもそも、ダブルって聞くとなんとなく『メンズの服』を連想しがちな方も多いかと思いますが、特に最近は《ジェンダーレスファッション》が当たり前になってきていますので、メンズライクなアイテムを自分らしく格好良く着こなして、ファッションを心から楽しむ方が増えてきています。 最近街のウインドーで目にすることも多くなってきて、実際に既製品をご試着された方もいるのではないでしょうか。 ただ、着てみると、、、『なんか違う。』と感じた方も多く、手が遠のいてしまうなんてこともあるのかなと。 シングルとサイズ表示が同じだとしても、ボタン位置や着丈バランス、ユトリ感などなど、そもそもジャケットの顔が違うので、かなりイメージが違いますよね。 格好良く着こなすには、サイジングはもちろんのこと、着る人に合ったバランスが大切。 シングルに比べてバランス感が難しいのがダブルですので、『Wジャケット』こそオーダー向けのアイテムとして是非チャレンジしていただきたいです。 それでは、まずなぜ今ダブルジャケットが注目されているのか、それは以下の3点が挙げられます。
先ほど書かせていただいた通り、『ジェンダーレス』がやはり大きなキーワードです。 女性=可愛いというイメージから格好良くCOOLな自分でいたい、そんな自分らしく洋服を着こなす方も増えてきています。 シングルと違い着崩しても様になる点も魅力です。 例えば袖を通さずに肩で着る(袖を通さずに羽織る)着方をしてもちょっとした『こなれ感』がありますよね。 また、ジャケット=かたい服のイメージが払拭でき、様々なアイテムとのコーディネートの幅が広がる点も嬉しいところです。 逆にダブルジャケットについてネガティブなイメージをお持ちの方の意見として代表的なネガティブポイントを下記に挙げてみます。
やはり一番のネガティブなイメージは、《サイズ感》ですね。 シングルに比べると身頃の分量が多く(布の面積が多く)どことなく大きく見えてしまう点や、身長とのバランス感が難しく着こなすにはハードルが高いと感じている方が多いのが事実だと思います。 確かに私も以前、Wジャケットを持っていなかったときは、《ネガティブイメージ》と通じる点がありました。特に《大きく見える事》って女性は一番言われたくない、見えたくない&思いたくないワードNo.1ですよね。 そんなイメージを払拭するために実際私もダブルを仕立ててみましたが、いかがでしょうか。 先に挙げたネガティブなポイントは見当たらないですよね?
サイズ感が決まっている既製服と違い細かなポイントやバランス感を好みで調整できることが『オーダー』の魅力ですから、ダブルのネガティブポイントを解消し自分好みのWジャケットを手に入れることができます。 さて、ここからは実際に『Wジャケット』をお仕立て頂いたお客様にご登場していただき皆さんにダブルの魅力を感じていただきたいと思います。
さて、まず一人目のお客様Nさんのダブルジャケットをご紹介します。 スーツは何着もお仕立て頂いておりますNさんですが、今回初めてWスーツをお仕立て頂きました。 お仕立てする前のNさんのダブルに対するイメージは、、、
という先入観から、チャレンジしてみたいけど、《自分には、ダブルは似合わない》というのが悩みでした。 そこで今回採寸時に気を付けた点は、
実際どういう事かというと、先ず全体のカギとなる着丈について、Nさんのご身長とのバランス、そしてボトムはパンツのみ穿かれるか、それともスカートもパンツも両方穿くかによって、お勧めの着丈が変わっていきます。今回は、スラックのみとのお話だったので、気持ち着丈は長めで、身長とのバランスも見てご提案しました。
細身の方には、釦位置を若干上げることで、ネックポイント~ラペルの返り止まりの距離が短くなります。そのためV明きの深さも浅くなり、身頃の印象はコンパクトにすっきり見えます。そうなると、細身の方にもバランスのとれたジャケットになります。実際釦位置はレギュラー位置より1cm上げました。この調整はバランスとるのに見え方を左右するもので、《たかが1cm、されど1cm》と、その1cmは大変重要となります。
細身の方に、ゆとり量を少なくしてしまうと、かえって体の細さを強調してしまいます (悪目立ち)。ここでは細身の方だからこそ、あえてゆとりは若干多めにすることで、身体のライン拾わないシルエットを意識してバランスをとりました。 《自分には、ダブルは似合わない》との先入観をお持ちのNさんの『Wジャケット』の出来上がりはこんな感じに。
ご自身の好みのサイズ感やバランスのとれた着丈に合わせた事で、ご自身に合うWジャケットに仕上がりました。 続いては、真逆の雰囲気の仕上りをご紹介します。
Wジャケットの印象と言えば、《メンズライクでかっこいい》という印象がありますよね。 次にご紹介するAさんはメンズライクな雰囲気は一切感じず、むしろ真逆で《フェミニン》なWジャケットをお仕立て頂きました。 小柄なAさんは、《膝上丈スカートに合う》、Wジャケットが欲しいとのことでご注文を頂きましたが、この《膝上丈スカート》の条件が付くと、ハードルが上がり悩ましい所です。 それはなぜか、基本Wジャケットの着丈はやや長めのイメージがあるので、短い丈で仕立てるのはボタン位置も関係してくることから、実はバランスをとるのが非常に難しいです。 フェミニンなWジャケットをお仕立てするのに先ず決めたのは、、、
もともと《膝上丈スカートに合う》Wジャケットのため、先ずは要となるスカート丈を設定しました。 膝上丈と一言で言っても、膝から上何cmが一番バランスがいいのか難しいところ。 あまりに短いとスーツとしての在り方が失われてしまうので、膝のお皿が見えるくらい(大体膝上3cmくらい)ですと若々しく見えて、かつバランスもいいことからスカートの長さを決定しました。
スカート丈を設定した後に、ジャケットの着丈を合わせていきます。 スカート丈も短いため、全体のバランスからみてもジャケット丈も自然と短い設定になりますので、ここも注意が必要です。 通常はヒップトップを隠すことが多いのですが、今回はスカート丈も短く、Aさんも小柄だったことから、少し短めの《ヒップトップを出す》着丈に設定しました。 スカート、ジャケットの着丈、ご身長を加味してバランス良い着丈を目指しました。
小柄なAさんを自然にみせるため、ピークドラペルの衿巾をやや控えめにすることで、シャープな印象を中和させました。 釦位置も自然とラペルの返りが綺麗に見えるよう位置を通常より高くしウエスト位置を上げることで、着丈は短くても綺麗にくびれが出るように設定しました。
それでは、Aさんの《フェミニン》なWジャケットの仕上がりは、、、
メンズライクでカッコイイWジャケットとは真逆の女性らしい《フェミニン》な雰囲気に仕上がりました。 今回は膝上スカートのコーディネートでしたが、パンツに変えれば格好良くメンズライクに着こなせる、女性らしさ男性らしさ両方の顔をもっているのもWジャケットの魅力ですね。 以上、Wジャケットの魅力を詰め込んだお二人のご紹介でしたが、いかがでしたでしょうか。 《メンズライク》VS《フェミニン》と対照的な仕上がりでしたね。 コーディネートやサイジングで様々な表情を魅せてくれる 《Wジャケット》を試してみたいなと思っていただけましたでしょうか。 オーダーだからイメージも変えられる事、自分の身体に合わせて、好きな着丈やサイズ感にできること。既製品には叶えられない満足感を、オーダーで是非叶えてみませんか。このコラムを読んで試してみたいという方は、どうぞご遠慮なくお問合せ頂ければ幸いです。それでは、次回もお楽しみに。