2025年5月16日更新
こんにちは、大阪店の西脇です。 今月から東京店の富田と交互に、レディースコラムを執筆させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。 5月に入り、とても過ごしやすい気候になりましたね。もう既に日中は汗ばむ日もあり、夏の気配を感じます。そんな時、ジャケットを脱ぐにはまだ早いし、薄手のジャケットがあったらな、と思うことはありませんか? 今回は今から夏に向けて活躍すること間違いなしの、先月デビューした”コンフィージャケット” を中心に、単なるセットアップではなく、コーディネートの幅がもっと広がる”カセット服” についてご紹介します。 ちなみに、カセット服ってご存知でしょうか?最近、特に女性誌などで取り上げられているのですが、同色同素材のシリーズで揃えることができる服のことで、セットアップの進化版のようなものです。 スーツやセットアップと違う点は、アイテムが上下だけでなく、基本的にインナーも含む3点以上のアイテムで構成されています。同色同素材なので、どの組み合わせでも簡単にコーディネートを組むことができて、ビジネスシーンからプライベートシーンまで幅広く活用できると、最近人気です。 セットアップの中のインナーまで同色同素材で揃えると、程よいモード感が醸し出されますね。スーツほど堅苦しくなくきちんと見えるので、オフィスカジュアルの最適解のような気がします。
参考画像 銀座和光HPより
でも、実は同色同素材のコーディネートは難点もあります・・・。 それは、セットで着るとなぜか「のっぺりする」「物足りない」というところです。セットでも単品でも使えて着まわせるカセット服は、単色無地が基本で、それぞれのアイテムはシンプルなデザインが多いです。そのため、シルエットが綺麗に出るサイジングがとてもキーになります。身体にきちんと合っていない既製品となると、シルエットが綺麗に出ず、のっぺりして見えてしまいます。また、デザインがシンプルすぎて、少し寂しい印象になりがちです。 シンプルなカセット服こそ、シルエットやサイジングにこだわりオーダーすることで、幅広いシーンで使える最強のアイテムになってくれます。 そこで、今回は、先月デビューしましたコンフィージャケットを含む、スカートとシャツのカセット服を私がお仕立てしてみましたのでご紹介します。
生地:機能性素材 X25-3539 Metropolys グレー 無地 ポリエステル100%
ゴージカット補正
まず、ジャケットは、裏地が全くなく、芯地・縫い代も最大限なくした、最軽量モデルのコンフィージャケット。
こちらはメンズパターンなのですが、レディース仕様にしてお仕立てが可能です。 メンズパターンの中では一番細身のモデルになるので、レディースの方でも挑戦しやすいパターンです。 ポイントとなるのは体型補正とウエスト、袖巾です。
まず、男性と女性の身体で大きく違う点は胸の高さですね。レディース仕様にするために、ゴージカットという補正を入れます。すると胸の収まりがよくなりますので、メンズパターンを使う際は必ずこの補正を入れるようにしています。 次に、お好みもありますが、私はレディースらしさを出すため、ウエストを絞りタイト目のシルエットでお仕立てしました。袖巾も絞り、アームホールを小さくする補正(鎌上げ)を追加することで、よりフィットします。 また、身体のラインを出すのがお好みでない方は、ウエストを絞りすぎず、ややゆとりを多くとることで自然とメンズライクなシルエットになります。 生地は機能性素材をお選びいただきますと、追加オプションなしで自動的にウォッシャブル仕様となるのでオススメです。軽く羽織る感じで日除け対策(UVカット機能付きの生地もあります!)、そして冷房対策としても使えますね。 気軽にご自宅で洗えて、またバッグの中に畳んでいれてもシワも気にならず、軽い。 とにかく扱いが楽なので、これからの暑くなる季節に重宝しそうです。
こちらはウォッシャブル仕様にしました。ウォッシャブル仕様にすると、通常の裏地ではなく、メッシュ素材の裏地がつきます。通常裏地より早く乾き、そして軽くなりますので、これから暑くなる季節のボトムをウォッシャブル仕様にすることはオススメです。 シルエットは着丈少し長めで、プライベートシーンでも使いやすいように形はセミフレアにしました。
今回のカセット服のポイントでもある「同素材」のシャツ。同じ素材でのお仕立ても可能です。ポリエステル素材なので、こちらもご自宅で洗えます。 少し工夫した点は、芯とカフスのデザインです。 まず、芯についてですが、レディースの通常のシャツは、ガーゼ芯という1番薄くて柔らかい芯を使用しています。これを少し固めのソフト芯というものに変更しました。襟やカフスに固さが出て、パリっとした存在感が出ます。 また、釦は黒蝶貝に変更し、カフスの長さ、釦位置も変更してみました。シャツ1枚で着る時は、特に釦やカフスのデザインまで拘りたいですよね。 また、コーディネートの幅が広がるように裾の前後差はできるだけなくしました。これでシャツをボトムに入れても出しても着ることができます。
カセット服だけでもコーディネートが完成しますが、小物やアクセサリーを変えたりすることで雰囲気が大きく変わります。セット使いも単品使いもできるので、コーディネートの幅、使えるシーンが本当に広がります。ビジネスからカジュアルまで想定したコーディネートを色々と組んでみました。
これから夏に向かう季節に、コンフィージャケット、また自分にぴったりと合ったカセット服を取り入れてられてはいかがでしょうか。今回使用しました軽くて洗える機能性素材は、たくさん種類がございます。是非、生地を見るだけでもお気軽にご来店ください。 さて、今回のレディースコラムも、最後までお付き合いいただきありがとうございました。オーダーの楽しさ、何かご参考にしていただけるアイデアなどをご紹介できるよう、今後もがんばっていきます。 それでは次回もお楽しみに。