2025年7月18日更新
こんにちは。大阪店の西脇です。 例年より早い梅雨明けを皮切りに、毎日暑い日が続いていますね。熱中症、夏バテにはくれぐれもお気をつけてくださいね。 先日、以前からレディースの制服のオーダーをいただいておりました企業様から、今年新たな制服のオーダーをいただきました。本当にありがとうございます・・・!
東京支店の方は東京店の富田に協力していただき、無事お納めすることができました。 そこで今回は、オーダーでお仕立てするレディースの制服についてご紹介させていただき、既製とオーダーでお仕立てする制服の違い、そしてオーダーの制服が戦略的な企業のブランディングにつながることについて、深掘りしてみたいと思います。 制服を着ない方でも、お仕事などで着られるスーツに通ずるところがあると思いますので、今回のコラムが何かご参考になれば幸いです。
既成とオーダーの制服の大きな違いは、“ぴったりと合ったサイズ感”ですが、それだけにとどまりません。 オーダーの制服では企業の業種や理念、ターゲットの顧客層に応じて、デザインや素材、色彩、シルエットのすべてを総合的に設計することができます。 制服は単なる「仕事着」ではなく、それは企業の顔であり、お客様との最初の接点となる重要なコミュニケーションツールです。そのため、制服はその企業の品格や信頼性を表現するといっても過言ではありません。 つまり、オーダーでお仕立てする制服は戦略的な企業のブランディングに生かすことができます。
<生地について> 既成の制服は利便性と耐久性を考慮され、ほとんどの素材がポリエステルです。しかし、天然素材であるウールとの違いは一目瞭然で、見た目の上質さ、着心地に大きく差が出ます。 今回の制服のオーダーでも、「生地はポリエステル混合ではなく、ウール100%で」と最初からご指定いただいておりました。生地の素材は全体のイメージを左右するため、とても重要です。
<デザインについて> デザインの点では、特にレディースの既成の制服は細分化された職種用の制服(例えば、受付の方用)しかないことが多いです。今回、オーダーいただきました制服は、受付の方だけでなく、秘書、営業の方も着られるため、なかなか既成品ではしっくりくるデザインがなかったと仰っておりました。 単なるビジネススーツでもなく、受付用の制服に留まらないデザインを打ち合わせさせていただき、ジャケット、ベスト、タイトスカートの3ピースで決定しました。
今回の制服のお仕上がりはこちらです。
基本的に以前お仕立ていただきました制服のデザインを踏襲する形ではありますが、肩パットを少し薄いものに変えたり、スカートの裾巾を若干絞ったり、少しアップデートしています。 基本的なスーツと少し違う点はジャケットの丈は少し短めでノーベント。そして、ウエストは絞りすぎないデザイン、襟巾も既成のものより少し太めです。 スカートはタイトスカートですが、立った時に美しく見える裾巾で設定し直しました。少し動くことが多い方は裾巾の絞りを少しゆるやかにするなど、実用性を考慮して、一人ひとりにあった細やかな調整をしていきます。
<生地選びの裏側> 今回のオーダー、実は生地選びには少し難航いたしました。弊社で取り扱っている生地すべての中からお好きな生地をお選びいただくことができればよいのですが、人数分(今回は11名様分で約50M)確保できる生地は制限がありました。生地の仕入れは約1年前から動きだしており、追加で発注・確保することが難しいのが現状です。そのため、50Mもの生地を確保することは容易ではなく、初めにご提案させていただきました生地の中ではお気に召す生地がなく、実は一度はオーダーをお見送りになりました。 しかし、早めにご希望のイメージなどをお伝えいただけますと確保できることもございます。明るい色で上質な生地をお探しでしたので、改めて確保することができましたライトグレーの生地をご提案させていただきましたところ、即決いただくことができました。 ウール100%、ソフトな質感で、上品な華やかさが感じられます。
今、企業ブランディングは単なるロゴや広告宣伝を超えた、より深い次元での取り組みが求められているといえます。前述したように、オーダーの制服は、企業の価値観や理念を体現するツールの一つとして活用することができます。
また、従業員のモチベーション向上という副次効果もあります。オーダーの制服のメリットは対外的なブランディング効果だけではありません。一人ひとりの体系や好みを考慮したフィッティングは着心地の良さももたらすので、仕事に対するモチベーション向上につながるのです。今回オーダーいただいた企業様でも、「オーダーの制服を支給されるところはなかなかないから有難い」といった従業員の方のお声を耳にしました。 実際に制服に限らず、美しいシルエットの着心地のよいスーツを着て仕事をする時は、気分が上がったり、自信がもてたりしますよね。 そして自信をもって仕事をすることができれば、それは結果、接客やサービスの質の向上にも繋がっていきます。
デジタル化が進み、オンラインでの取引が増えている現代において、実際の接客やサービスにおける「人」の存在感はますます重要になってきているように感じます。 制服は企業の「人間らしさ」や「温かみ」を表現する重要な役割も果たしているのではないでしょうか。画一的な既製品ではなく、企業の個性を反映したオーダーでお仕立てする制服は、お客様に特別感と信頼感をもたらし、デジタル化が進む時代における人との接点の価値を高めてくれると考えます。
オーダーでお仕立てする制服は短期的には既製品よりコストがかかります。しかし、長期的な視点で見れば非常に効果的なブランディング戦略になります。企業イメージの向上、広告効果、従業員の満足度向上における離職率の低下など・・・、間接的な効果も含めると既製品よりもそのコストは価値ある投資になるのではないでしょうか。
制服に限らず、オーダーであれば、長い目で見て自身のスタイルを確立してくれるようなアイテムに投資することが叶います。またオーダーでお仕立てするアイテムは着用する時間の中で体に馴染み、年を重ねるごとにその一着だけの表情が生まれていきます。お気に入りの服は自分自身の一部となるような感覚がありますよね。 まるで企業の制服のように、長く着続けられて、自身の戦略的なコミュニケーションツールになるような1着をお仕立てなさってみませんか。 ちなみに今は春夏物の生地を展開しておりますが、実は3シーズン、オールシーズンお使いいただけるような生地もございます。そして最近は秋が訪れても暑い日が多いので、春夏物の着られる期間も延びていますね。
まだまだ暑い日が続きますが、じっくりと“戦略的なお仕立て”を一緒に考えられるように、空調をしっかり効かせて店内を涼しくして、皆様のご来店をお待ちしております!