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レディースのブラックフォーマル(礼服)のお仕立てご紹介


こんにちは。大阪店の西脇です。

12月に入り今年もあと残すところ1カ月を切りました。 年の瀬を意識し始める時期、大掃除などをしていると、普段着ないけれどクローゼットにある服、礼服のことが頭によぎることってありませんか? 今回は、最近お問合せをいただくことも増えてきました、レディースの礼服についてご紹介したいと思います。

礼服は着る機会が少ないからこそ、いざという時に「これで大丈夫」と思える1着をもっておくと安心です。

実際にオーダーいただきました3つの礼服の実例をご紹介しながら、ご体形に合った礼服を持つことの意義と、知っておきたい礼服の基本についてお話させていただきます。

0. 生地について

実例のご紹介の前に、まずは生地について。礼服の生地は黒であれば何でもよいという訳ではありません。
艶のない “漆黒” が、ブラックフォーマルの場ではふさわしいとされています。
ヨシムラではフォーマル用の生地で春夏用、秋冬用、通年用のものをご用意しております。
以下のお写真をご覧ください。2つのブラックの生地を並べてみました。

CANONICO Super 110’s のブラックのスーツ地/葛利毛織の漆黒のフォーマル用の生地

左がCANONICO Super 110’s のブラックのスーツ地、右が葛利毛織の漆黒のフォーマル用の生地です。比較すると、同じ黒でも濃さが違うことがわかります。

CANONICO Super110’sブラック
CANONICO Super110’sブラック
葛利毛織 フォーマルブラック(漆黒)
葛利毛織 フォーマルブラック(漆黒)

礼服をお仕立てされる場合は、黒の色味の濃さが違いますので、フォーマル用の生地からお選びいただくことをおすすめいたします。

それでは、実際にお仕立てくださった礼服のご紹介です。

1. ワンピース+襟付きジャケット アンサンブル

最もフォーマル度の高い、正統派のアンサンブルです。
襟付きジャケットとワンピースの組み合わせは礼服の中で、最も格式が高いとされるスタイルです。

【仕様のポイント】

ジャケット
クローバーカラー(襟付き) スーツの一般的なテーラードカラーよりも丸みがある形。
くるみ釦 シングル2つ釦、袖釦も2つ
ベント ノーベント
内ポケット付き 既製品にはないことが多いですが、あると便利です。
裏地 キュプラ ブラック 市松模様

ワンピース
デザイン 膝下丈のフレアワンピース
立ち座りの際、美しいシルエット
五分袖
基本的にはジャケットを羽織ること前提で、夏もお召しになることを想定して袖は少し短くしました。

1着でどんな場面にも対応できるベーシックな礼服をお考えの方には襟付きのジャケットとワンピースのアンサンブルがおすすめです。シンプルなデザインは年齢を重ねられても長くお召しいただけます。

2. ワンピース+ ノーカラ―ジャケット アンサンブル

こちらはワンピースとノーカラージャケットのアンサンブルです。

【仕様のポイント】

ジャケット
衿型 ノーカラー
パールネックレスなどが映えやすいデザイン
フロントホック 前は釦ではなく、フロントホックですっきりとしたデザイン
袖釦 くるみ釦3つ
腰ポケット すっきりとした雰囲気の両玉蓋なしのポケット
裏地 キュプラ ブラック 花柄

ワンピース
デザイン 膝下丈のフレアワンピース
ご身長の高い方で、既製品では少し丈が短くなってしまうところ、ご希望通りのロング丈。
七分袖

既製品の礼服でもノーカラージャケットの礼服が最近とても増えてきています。
シンプルなデザインであるので、シルエットが1番際立つデザインです。オーダーであればワンピースの丈とジャケットの丈、袖の長さだけでなく、ご体形に合わせて美しいバランス、補正を入れてお仕立てすることが可能です。

3. ブラックスーツ(パンツスーツ)

近年、女性の礼服としてパンツスーツを選ばれる方も増えてきたようです。
こちらのお客様は、大学の先生でもいらっしゃり、卒業式にもお召しになるとのことでパンツスーツの形にされました。
カジュアルに見えないように、シルエットをタイトすぎず、そしてゆるすぎないようにしました。

【仕様のポイント】

ジャケット
シングル2つ釦  黒 水牛釦 艶あり
( ※お写真では上の釦しか留めておりませんが、基本女性の場合はジャケットを着用するとき、すべての釦を留めます。)
衿型 ノッチドラペル
着丈 ヒップが隠れる長めの長さで品よく
ベント センターベント
袖釦 3つキッシング(「重ね」や4つは縁起がよくないため避ける)
裏地 キュプラ ブラック 無地
スラックス
シングル
デザイン ワイドでストレートシルエット

ただ、女性のパンツスーツの礼服は地域や場面によってはフォーマル度が低いとみなされることもあります。

4. 知っておきたい礼服のマナー

礼服の基本マナーは以下のとおりです。
既製品では意外とワンピースの丈が短かったり、装飾が目立つものあったりしますので、注意が必要です。

■色

  • 光沢のない濃い黒(漆黒)が基本

ヨシムラでは、前述しましたように、フォーマル用の生地をご用意しております。(春夏・秋冬・通年物)
今回、ご紹介させていただきました3点とも、フォーマル用のウール100%の生地でお仕立ていただきました。

■デザイン

  • 露出は控える(特にワンピースの丈は膝が隠れるデザインが基本、袖も五分丈以上が望ましい)
  • 光沢のある素材や装飾は避ける(水牛の艶ありの釦はOK)

■小物

  • バッグ:黒の布製が基本
  • 靴:黒のパンプス(光沢のないもの)
  • アクセサリー:パールが基本

5. まとめ

さて、ブラックフォーマルのお仕立てをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
礼服は着る機会が少ないですが、やはり長く着られるようなデザインやサイズ感のものがあればいいですよね。
サイジングに関しては、多少の体型の変化にも対応できるように、ジャストサイズより、少しゆとりをもたせてお仕立てされる方が多いです。
今回、ご紹介しましたように、デザインはとてもシンプルですが、身体に合った礼服はとても美しく、年齢も関係なくお召しいただけます。

特に袖丈やワンピースの丈はピッタリと自分の身体に合ったものは既製品では意外となかったりします。長すぎるとだらしなく見え、少しでも短いとフォーマル度に欠けてしまいます。
また、ウエストが絞りすぎているデザインは座った時などに窮屈であり、逆にゆとりが多すぎるデザインはきちんと見えにくくなるのが難点です。 そのため、礼服こそオーダーでお仕立てする利点が多くあります。

また、体形に合っているというだけで、見た目だけでなく、着心地もよくなります。礼服を着るシーンはかしこまったシーンが多いので、少しでも着心地がよいものを選ばれることをおススメします。例えば、ちょっとしたことですが、裏地を目立たない黒の柄物や滑りがよく通気性のよいキュプラ裏地にしたり、内ポケットをつけてみたり・・・礼服であってもオーダーならではの拘れるところがあります。

そろそろ礼服を見直したいな、サイズあっていないかも・・・と思われたらお気軽にご相談ください。
今回のコラムが少しでもお持ちの礼服やスタイルを見直す参考になれば幸いです。

さて、今回のレディースコラムが私にとっては今年最後のコラムとなりました。
振り返れば、5月のカセット服からはじまり、紫陽花とともにお届けしたお客様のお仕上がり品、制服のお話からトレンドまで。

様々なテーマでお届けしてまいりましたが、いつもお読みくださり、本当にありがとうございました。

コラムをきっかけにオーダーをご検討くださった方や、感想をお声がけくださる方、私にとってかけがえのない喜びでした。私もお客様から刺激を受け学ばせていただくことも多くありました。

来年もオーダーの楽しさや新しい発見が感じられるようなコラムをお届けできればと思っております。
師走に入り、慌ただしい季節ですが、くれぐれもお体を大切になさってください。

来年も皆さまとお会いできることを心より楽しみにしております。
少し早いですが、2025年ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください。


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