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夏のビジネスカジュアルには,,,,

2020年6月12日更新


非常事態宣言も段階的に解除され、一部地域では徐々に日常に戻りつつありますね。
とは言えまだまだ気は抜けませんが、手洗いうがい消毒を励行しつつ、このままコロナが終息するのを願うばかりです。
大阪は21日に宣言が解除され、知り合いの飲食店も待ってましたとばかりに営業を再開したので、私も長い長い自炊生活からようやく解放されました笑
ただ当店も含めですが、いわゆるサービス業は本来の人出、売上に戻るにはまだ長い時間が掛かるでしょうから、しばらくは苦しい時期が続くでしょう。
〝明けない夜は無い″と言いますから、その時が1日でも早く来るよう頑張るしかないですね。

さて、今回はお客様からのオーダーではなく、すっかり汗ばむ陽気となり、これからの季節にピッタリなアイテムをご紹介したいと思います。

それは何ぞやと申しますと、ビジネスオンタイムでもアフターでもイケるビジネスカジュアル“シャツ”です!
今回ご紹介する略して“ビジカジシャツ”は単にクールビズ用という訳ではありません。
夏場でもタイドアップが必要な時にはそれに対応出来、且つオフィスや仕事終わりのノータイのシーンでも様になるシャツを仕立てるコツをお教えしたいと思います。

まず最初に生地、クールビズ用に限定してしまえば、プリント柄の生地や派手目のボタンを使用したりとカジュアルに傾倒した仕様になりがちですが、今回はあくまで兼用、しかもビジネスタイムではきちんと感が必須、となると“白シャツ”以外の選択肢はありません。
また素材は清涼感と上品さとを兼ね備えたコットンリネンがお薦めです。

涼しさだけでならば圧倒的にピュアリネンの方が通気性も優れていますが、生地の表情がカジュアル感、リゾート感を醸し出してしまうので、ビジネスシーンでのタイドアップ用としてはいささか不向き(コットンやポーラ地のスーツならOK)
その点コットンリネンはシワもピュアリネン程きつく入ること無く、目が詰まっているので透け感も程良く、違和感無くタイドアップ可能です。
とは言えやはり白は他色の生地に比べるとどうしても透けてしまうので、インナーは必須、因みに私南浦が夏場に愛用しているインナーがグンゼの“SEEK”
少しお値段高めですが、着用感やデザイン等、かゆいところに手が届く仕上りでお薦めです。
今シーズン、当店でご用意しておりますコットンリネンの白は伊カンクリーニ社の“SH610-01”(TUDORLINO)
おそらく英国のチューダー王家御用達のリネン、という意味であろうと推察されます(LINOはイタリア語でリネンのこと)
コットン68%リネン32%とコットンの方が混紡率が高いので、ピュアリネンほどスラブ(所々にある節)が多くないので、ブラインド触ればシルクと間違う方もいるのでは無いか、と思わせる程の肌触りです。
白の他、サックス、ライトピンク、ライトイエロー、ライトネイビーの各無地に、ブルー系のピンストにヘアライン、織柄の計10マークの展開となっておりますので、洗い替えを含め1週間分のシャツを全てコットンリネンにしてしまう、といった芸当も可能なラインアップです笑

続いてはデザインにまいりましょう♪

まずは衿型

衿型

基本的にワイシャツの場合、ネクタイの結び方によって衿のデザイン(開き)を変えますが、オンオフ兼用の衿型となるとワイドスプレッドホリゾンタルワイドがお薦めです。
と申しますのも、レギュラーカラー(プレーンノット用の結び方)でノーネクタイだとただ単にネクタイを外しただけ、というイメージを持たれてしまい、野暮ったい印象を与えてしまいます。
また通常タイドアップ専用シャツの場合、衿先をホールドするためのボタンやスナップは付いていないので、ネクタイを外してしまうとどうしてもだらしなく見えてしまうのです。
ですので、オンオフ兼用シャツの場合はスナップボタンを付けて(スナップダウン)衿が暴れないようにホールドすることをお薦めします。
ここで何故ボタンダウンはダメなのか?と疑問が生じたかと思いますが、ボタンダウンシャツはポロ競技の選手が試合中に衿が風で跳ねないようにボタンで留めたのが始まりですので、元来カジュアルシャツなんですね。
タイドアップする際にボタンダウンシャツを合わせるのはナンセンス、ただこれはスーツの場合であって、ジャケパンスタイルの場合はOKですので、その辺りの線引きには気を付けてください。

続いてはカフス

カフス

こちらは形状によって着心地が変わるものではございませんので、?これでないとダメ”といったデザインはありません。
ただダブルカフスやツインバレル、ターンナップはカフス部分のボタンをきっちりと留めて初めて様になるデザインですので、夏場で袖をロールアップすることもあるでしょうから、カジュアルな印象の大丸、角切のいずれかのデザインで大丈夫でしょう。

次は胸ポケット

胸ポケット

これはズバリ“無し”がお薦めです。
何故かと申しますと、元来シャツは下着であるというのがヨーロッパでは常識、皆さんも一度は耳にされたことがあるでしょう。
それがスーツ文化がアメリカに渡り、合理的且つ機能性を求めるアメリカ人が?シャツに胸ポケットが付いていれば便利!”という理由でポケット付きのシャツが世の中に出回るようになったのです。
確かにあれば便利でしょう、でもあれば何か物を入れてしまう、そうすると入れた物の分だけ胸が膨らみ、そしてシルエットが崩れてしまう。
これではせっかく上品に仕上がったコットンリネンのシャツが勿体ない。
これまでシャツの胸ポケットをお使いの方はこれを機に手帳や名刺入などは鞄にいれ、きちんと綺麗にシャツを着るようにしましょう。
余談ですが、私は昔シャツの胸ポケットにボールペンを挿していて、屈んだ時にそのボールペンがデスクの端に引っかかり、ポケットごと破れたことがあります笑
それ以来、ポケット付きのシャツは二度と着るまいと誓いました笑

次に前立の仕様

前立の仕様

表か裏か、これはどちらにするか悩ましいところ、カジュアル寄りにするならば表前立、フォーマルなら裏前立でしょう。
前者はボタンダウン、後者はワイド系の衿デザインとの相性が良いですね。
今回のコンセプトである“ビジカジシャツ”、敢えてどちらかを選べ、と言われればミニマリズムの観点から裏前立をお薦めします。
またかなりの変化球ですが、比翼仕立(フライフロント)にするのもアリだと思います。
本来比翼仕立はタキシード等のフォーマルフェア用のウィングカラーシャツに主に用いられる仕様ですが、これを敢えてビジネス用に応用することによりオーダー感溢れるシャツになることでしょう。
さりげない仕様ですが、このようなヒネリを入れることが他の方と差を付ける秘訣です。

最後はバックデザイン

バックデザイン

シンプルにまとめるならノータック、程よいゆとりを求めるならサイドタック、ウエストのドロップを効かせた逆三角形のシルエットならダーツ、のいずれかでしょう。
今は一時期のようなタイト過ぎるシルエットはナンセンスですが、未だタイトシルエットが主流であるのは間違いありません。
となれば一押しはダーツなんですが、このバックデザインはボトムのサイズ感とのバランスが重要になってきます。
というのも均整のとれた身体つきなら問題はありませんが、私のように上半身よりも下半身の方にボリュームがある場合、シャツをダーツ入りにしてタイトにしてしまうと正三角形のようなシルエットになってしまい、もたついた感じのシルエットに仕上がってしまいます。
スタイリッシュに、背を高く見せるには、上半身には適度なボリュームを与え、下半身はスリムにし逆三角形のシルエットにしなければなりません。
シャツはよく消耗品と捉えられ、スーツはオーダーだけどシャツはリーズナブルな既製品で十分、といった方が多いのですが、最もヌード寸法に近いアイテムこそ、細かなサイジングが必要となるのでオーダーする意義があるのです。

オーダーする意義とはただ単に採寸してそのまま作れば良いというものではなく、どのように自分を見せたいか、ということが最も重要です。
細くスマートに、貫禄があるように、仕事が出来るように見せたいetc、何か悩みをお持ちでオーダーの門を叩かれたはず。
その願いを叶えるのは我々プロの仕事ですので、どうぞ恥ずかしがらずに正直な思いをぶつけてください、精一杯お手伝いさせて頂きます。

最後は少し偉そうな能書になってしまいましたが笑、今回はこれから本格的に暑くなるのを前に快適に且つスタイリッシュに過ごして頂きたい思いから、シャツについての蘊蓄を語らせて頂きました。
是非今シーズンのオーダーのご参考になれば嬉しく思います。


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