2023年1月13日更新 執筆者:東京店 河本壯真
こんにちは。YOSHIMURA&SONS東京店の河本です。 読者の皆様、遅ればせながら『新年おめでとうございます。』 年が明けてから2週間程経ち、大変遅くなってしまい恐縮ですが、この場を借りて皆さんに新年のご挨拶をさせて頂きます。 2023年もYOSHIMURA&SONSをどうそよろしくお願いいたします。 さて、2023年初めてのホームページ更新ですが、今回皆さんにご紹介するのは『クラシコ仕様』についてです。 クラシコ仕様といえば、当社では定番セットオプションの一つでもありますが、実際にこのクラシコ仕様について紹介したのはもう20年以上前のこと。 当時は、このようなセットのオプションは新鮮で魅力的であったことから、多くのお客様がお付けなられていました。 ただ、正直なところ、時代の変化によるマンネリ化でクラシコ仕様も新鮮さがどんどん無くなってしまい、また、我々現スタッフも上手くこのオプションの魅力を伝えることで出来ておらず、結果今ではお付けされるお客様はひと昔前に比べるとかなり減ってしまいました。 しかし、クラシコ仕様は今でも皆さんに魅力的に感じてもらえるような特別なオプションであることは間違いありません。 ということで、クラシコ仕様が発表・紹介された20年前以上前に比べると時代は大きく変わりましたが、改めてクラシコ仕様の魅力をお伝えし、より多くの皆さんにこのオプションの良さを知って頂けたらと思います。 少し長くはなりますが、最後までご覧頂けますと幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。
クラシコ仕様と言うとクラシコイタリアを想像される方が多いかと思いますが、当社のクラシコ仕様は、クラシコイタリアに根ざしたものではなく、「クラシコ=上質な」仕立てという意味合いでご用意したセットオプションです。 その中には、伝統的な英国のディテールもあれば、クラシコイタリアの流れをくむアイテムも含んでおり、これら全て含めて【上質な仕立て】という意味でのクラシコ仕様なのです。
当社のクラシコ仕様(上質仕立て) は次のディテールを含んでおります。 是非一度お試しください。
ジャケットの内ポケット周りを表地で囲った仕立てを指すこの『お台場仕立て』。 裏地より強度の高い表地を、内側の脇下まで繋げていることで「ジャケットの型崩れ」を防止する効果があります。また、生地を通常より多く使っていることで、見た目もゴージャス感のあるお洒落なデザインとなっていますので、見えない部分ではありますが、ちょっとした特別感も味わうことが出来ます。機能性とデザイン性を兼ね備えるお台場仕立ては『ひと手間かけた高級仕立ての代名詞』として非常に人気のある仕様の一つです。
当社では、2種類のお台場仕立てからお選び頂くことが出来ます。 1つは「丸台場仕立て (一枚台場)」。 こちらは、生地(表地)1枚を内側のポケット周りから脇の下まで継ぎはぎなしで丸く囲った仕様のため、生地を多く使用している贅沢な高級仕立てとなっています。 *生地を直線的に縫うのではなく、カーブさせて丸く囲うように縫うというのも非常に難しい作業ですので、ここでもかなりの手間がかかっています。
もう1つが「角台場仕立て (ハギ台場)」。 こちらは、丸台場のように1枚の生地で繋がっているのではなく、内ポケット周りを囲う生地を後付けしているため、やや簡易な仕立てとなっています。角台場は、丸台場に比べ直線的なデザインですので、スタイリッシュなデザインがお好みの方にはオススメです。
基本的にクラシコ仕様を選ばれた方には、贅沢な高級仕立てである丸台場をお付けしますが、 上記のように直線的でスタイリッシュなデザインがお好きな方は、是非角台場をお付けください。
*ポイントステッチ:表地と裏地の境目にアクセントとして入れる糸 *D管:ポケット周りや縫いつけ部分を補強するために施されたDの字の刺繍糸 お台場仕立ての良さを引き立てるのに欠かせないモノ、ということでセットに含まれているのが『ポイントステッチ&D管』。 この2つは、ジャケットを仕立てるために元々必要なモノ(通常仕立てではD管は付きません)ですが、カラーステッチを使用することでデザイン性を持たせた洒落感のあるデティールにすることが出来ます。
例えば、
また、ポイントステッチの他に、表地と裏地の境目の縫い代を、裏地素材を使用した1本のテープでくるんでいく『パイピング(ヘリ取り)』というものもあります。(こちらはお台場仕立てにしか出来ない仕様です) ポイントステッチに比べ、ジャケットの内側をより豪華にすることが出来ますので、「何よりインパクトが欲しい!」という方は是非、このパイピングをお選びください。
袖口のボタンホールに穴を空け、ボタンを開閉出来るようにされている『本切羽』。 今やお洒落なスーツには欠かすことの出来ないディテールの一つですよね。 また、本切羽にすることで袖丈調整のお直しが出来ないといった理由から、既製のスーツは基本的になっていませんので、オーダーで仕立てた本格的な1着という特別感を味わうことも出来ます。 そんな本切羽を、お洒落に袖ボタンをいくつか外した時でもスッキリ綺麗に見えるよう、 袖裏の余分な生地の端処理を額縁のようにちょうど45度の角度で折り畳んで処理する「額縁仕上げ」にしてお付けします。
当社の人気No.1オプションでもある『キュプラ裏地』。 天然素材を原料に作られている再生繊維でできたキュプラ裏地は、なめらかな肌触りからなる抜群の着心地が特徴です。また、優れた吸水性・撥水性・通気性を持つといった汗を沢山かく夏に嬉しい機能や、冬によく発生する静電気を起こしにくくする機能も備わっているため、年間通して快適に着用出来ると共に、綺麗にスーツを保つことが出来ます。 そんなキュプラ裏地を100種類以上の色柄 (キュプラ柄裏地は差額で+2,000円頂きます)からお選び頂けるのも当社ならではのことですので、存分に迷いに迷いながら裏地選びを楽しんでください。
胸ポケットの下側が「船底」のように柔らかくカーブしている『バルカポケット』。 胸板の厚みからくる曲線を、上着を着用したときにシルエットの上からでも綺麗に見せるためのもので、細かな職人芸がさえるクラシコイタリアのスーツによく見られるこだわりのディテールです。これによりジャケットに立体感が生まれ、エレガントな印象に映ります。 このバルカポケットは、綺麗なカーブを描くために、1つ1つ完全手作業の難しいデティールですので、クラシコ仕様のみ無料追加オプションとなっております。
クラシコ仕様の最大のセールスポイントでもあるのが、この『内ポケット玉縁別布使用』。 通常、内ポケットの玉縁は裏地素材を使用しますが、これを表地を使用することで、ペンを挿したりしてもヨレにくい耐久性を得ることが出来ます。 また、なんといっても見た目のお洒落感がグンとUPします。
基本的にご指定が無ければ、表地と同じ生地を玉縁にしますが、内ポケット周りはお台場仕立てになっているため、どうしても色がかぶってしまい折角のお洒落感を楽しむことが出来ません。ですので是非、別布 (生地)を玉縁に使用することをオススメします。
ベーシックなネイビー系の無地の表地であれば、上品かつアクセントになる「グレーのグレンチェックやヘリンボーン柄の生地」。ストライプ・チェック柄の表地であれば、無地の生地がオススメですね。また、春夏、秋冬で色目や素材感を変えてお付けするのもオススメです。 例えば、春夏であれば爽やかな印象になるように、やや明るめのトーンの生地を選んだり、秋冬であれば、フランネル等の少し肉厚な生地をお選びなられると、より雰囲気が出ると思います。 このように別生地を玉縁に使用出来るのは当社ならではのことで、もともと生地屋だったこともあり多種多様な生地を取り揃えているからです。 お好きな生地をお選び頂き、ちょっとしたこだわり・洒落感をお楽しみください。 (色合わせは大変難しいですので、迷ったときは是非我々スタッフにご相談ください!)
『髭襟』とも言われるこちらの仕様は、上襟部分の表地を襟の裏まで廻して仕立てるといったもので、この仕立てをすることで上襟のサイズ調整をすることが出来るようになります。 ただ、上襟のサイズ調整を行っていたのは昔の話で、今はこの手間のかかる仕様をしていることが、こだわりの仕立て、高級スーツの証とされています。 また、巻き込んだ表地の重みで上襟の端のハネを防ぐ、というメリットもあります。
*ゴージ:上襟と下襟の縫い目線 ゴージラインの高さは時代によって変化されるもので、数年前まではかなり高めがトレンドとなっていましたが、ここ最近では高めの位置からはやや下がり、標準的な高さとなっています。 また、このゴージラインの高さは好みの問題もありますので、クラシコ仕様を選んだからといってハイゴージを強制することはありません。 ただ、標準的なゴージラインに比べ、ハイゴージは見た目も「エレガント」になりますので、クラシコイタリア調のスーツをお求めの方にはオススメのディテールです。
以上、クラシコ仕様についてご紹介をさせて頂きました。 このクラシコ仕様のオプション価格は10,000円 (税抜)です。 当店では、お台場仕立て(5,000円)・本切羽(2,000円)・キュプラ裏地(2,000円)の3点セット(9,000円)をお付けされる方が多いですが、これに+1,000円で通常では別途オプションであるバルカポケットや内ポケット玉縁別布使用等が付いてくるお得なセットオプションとなっております。 上質仕立て&当社ならではのディテールをお楽しみ頂けるのが『クラシコ仕様』の良さですので、ご興味のある方は是非一度お試しください。