2023年3月13日更新
3月も中旬を迎え、本格的な《春》を感じる日が増えてきましたね。 私自身が春生まれということもあり、気持ちの良い春の陽気は、大好きな反面今年は花粉が本当に辛い。。。東京店SHOPMASTER(佐野)です。 さて、 2023年春夏シーズンも立ち上がり、衣替えモードが高まっている今の時期、いつもなら新作スーツを紹介するぞ!ってことになりそうですが、今回は《オーダーシャツ》にフォーカスを当てて、オーダーシャツの魅力についてご案内します。 何故オーダーシャツかと言うと、例えばオーダースーツでは全体の9割近い方が腕の長さの違いから左右袖丈を変えて仕立てますが、着ているシャツが既製で左右袖丈(裄丈)が同じだと袖先の見え方が変わり、折角のオーダースーツ、シャツが台無しになってしまうからです。 やはりジャケットは、ご自身の腕の長さに合わせた袖丈にして、そこからチラっと見えるシャツの袖丈(裄丈)も左右で揃えたいものですね。 他にもオーダーシャツならではのポイントがありますのでご紹介します。 是非最後までご覧ください。
まずはオーダーシャツと既製シャツの1番大きな違いを簡単にご説明しますと、シャツの《くびれ》です。 オーダーシャツは、その人の体に沿ったラインを作り出すことができるので、シャツにくびれをつけることができます。 一方で既製シャツは、着る人それぞれの体型が違いますから、そつなく体型をカバーできるサイズ感で作られているのが一般的です。色々な体型の人が着ることを想定して作られているので、着る人それぞれの体のラインに沿ったユトリを作り出すことができません。 シャツを体にフィットさせるには、着る人の実寸(体のサイズ)をしっかりと測り、バスト、ウエスト、ヒップ、それぞれに対して適切なユトリを入れることで実現します。 もちろん、《くびれ》が全てではなく、着る人それぞれの理想のサイジングを作り出すことができるのが、当たり前と言えば当たり前の説明になってしまいますが、オーダーの嬉しいところです。 オーダーのシャツは《くびれている》ことを認識していない方が意外と多いのではないでしょうか。
冒頭でもご紹介しましたが、裄丈とは、肩幅の長さの半分に袖丈を足した長さのことを言います。 スーツをバランス良く着こなす一番分かりやすい大きなポイントは、スーツの袖から《シャツが覗くか覗かないか》ではないでしょうか。 スーツの袖からシャツが0.5~1cm見えるくらいが理想とされていますが、その長さを実現するには、スーツの袖の長さにシャツを合わせることです。 スーツの袖丈にシャツの袖丈を合わせる。 そうしないと、せっかく腕の長さにスーツの袖丈を合わせても見え方が大きく変わってしまうからです。
裄丈の理想の長さ、それは、《手首と親指の付け根の間》が一番良い長さです。 『え?長すぎるでしょ?』と感じるかもしれませんが、腕を伸ばした時に手首が出ないのが、正しい裄丈の長さです。
裄丈適正
裄丈足りない
手首までで裄丈の長さを採ってしまうと、腕を上げた際に突っ張り、手首が大きく見えてしまいます。これでは長さが足りないのです。 袖の短い洋服はバランスも悪く格好悪いですよね。
既成シャツを着ている方で、一番と言ってもいい悪い事例、それは『カフスのゆとりがガバガバ』なこと。これは採寸時に一番多く見てきた悪い事例ですね。 裄丈は先程説明した通り、手首と親指の付け根の間が正しい長さとお伝えしましたが、カフスがユルイと手首でシャツが止まらず、スーツの袖から大きく出てしまうどころか、袖が長過ぎだらしない印象に見えてしまいます。 でも難しい点もあります。 それは腕時計を左右どちらの腕に着けるかという事と、その時計の厚みです。 ですから気の利いたオーダー店では、『腕時計は左右どちらに?』とか『普段使う腕時計は薄型ですか?』などとお客様にヒアリングします。理想は手首でキッチリとカフスが固定されるゆとり量にする事です。 読者の皆さんのカフス周りは大丈夫ですか?
シャツの肩がしっかり自分の体に対して合っているか、着心地に対して適正な肩幅で設定されているか、ここも注目です。 バスト、ウエスト同様に肩幅も人それぞれ違いますよね。特に今からご説明する肩幅は着心地に大きな影響を与える箇所で重要です。 一般的にはシャツの肩幅は、肩のトップ(肩先)に合わせるのが理想と言われています。 肩幅が合っているシャツはフィット感もあり、肩が合っているだけでも意外ときちんと見えますね。 適正な肩幅は《肩のトップ》とご説明しましたが、着心地(サイジング)によっては肩幅の設定を変えることもします。それぞれにメリット、デメリットもありますので合わせてご覧ください。
肩幅を大きくすれば楽になるが動きが悪くなる。逆に小さくすれば動きは良くなるが窮屈に感じる。それぞれの特性を活かして肩幅のサイズを決めます。
シャツの裾がスラックスから出てきてしまう。なぜだ?こんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 それはなぜか、答えを言ってしまうと、《単純に着丈が短いことが原因です。》着丈の理想は、お尻が隠れる長さです。
お尻で着丈が引っ掛けることによって、シャツの裾が上がってくることを防ぎ、パンツから裾が出ることを防ぎます。 特に既製シャツは裄丈と着丈が同じ長さのものが多く、裄丈で合わせる方が多いでしょうから、バランスが悪くなってしまうことも多いと思います。 オーダーは一箇所ずつサイズを決められるので、裄丈が短い人でも着丈は長く、逆もしかりで裄丈が長い人でも着丈を短く設定しバランスをとることができます。
スーツを着こなすには体型補正が不可欠ですと以前お伝えしていましたが、それはシャツにも言えることですね。 シャツはスーツと違い肩パットなどの詰め物がなくシンプルな作りのため、なで肩、怒り肩、反身体、屈伸体etcスーツ程細かくは入りませんが、オーダーならではの補正を加えることで、シャツのフィット感を高めることができるのも魅力です。 ここでは大きく触れませんが、このページで補正についてたくさん語っていますので是非参考にして下さい。
ここまでオーダーシャツの魅力や理想像について書かせて頂きましたが、実はWEBで調べてみてもここまで詳しく書いているお店はほとんどありません。 それは何故でしょうか? 実はオーダーシャツならではの弱点があるのですが、それは『オーダーシャツはスーツと比べお直しが出来ない』ことです。 袖丈1つでも長目に仕立てて詰めることは出来ますが、シャツはスーツと比べ縫い代が短いため仕上がり後の調整余地が極端に狭いのです。 ですから、シャツ1枚を2万3万で販売している店でしたら問題ないのでしょうが、、、 1枚1万円以下のオーダーシャツでは、お直しをしたら赤字になってしまいます。 お客様の側もお店の格式(価格帯)を考えつつ、初めてのお店では100点満点で70点合格(つまり30点の減点がある)を目指し2枚目以降点数を高めるように考えるのが良いでしょう。