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新オプション『クラシコカジュアル仕様』  

 執筆者:東京店 河本


ようやく秋の訪れが感じられる心地良い風が吹くようになりましたね。
この時期の楽しみと言えば「衣替え」ですが、皆さんは順調に進んでいますか?
私含め、まだ秋冬モードに切り替えられていない方は、少しずつ準備をしていきましょう。
(ただ、日中はまだ暑いので、なかなか意識出来ないですよね)

さて
そんな衣替えシーズンに合わせて、YOSHIMURA&SONSでは新たなセットオプションが追加されることになりましたので、今回はそちらをご紹介いたします。

先ず、セットオプションといえば、ヨシムラの代表的な定番オプションの一つである『 クラシコ仕様』があります。

ここでのクラシコというのは「上質な仕立て」を意味しており、伝統的な英国調のディテールからイタリア調のディテールも含むこのクラシコ仕様では、重厚感のある本格的なスーツスタイルをお楽しみいただけるのが特徴です。

しかし、ビジネスシーンでのカジュアル化が進む今の時代。
変わらず重厚感のあるカチッとしたフォーマルスーツは好まれていますが、一方でサラッと着用出来るようなソフトな着心地のカジュアルスーツ、またジャケットの需要も非常に高くなっています。

そこで、ヨシムラが考える上質で本格的な仕立て(仕様) をベースに、今の時代に適したカジュアル要素のある仕様をミックスさせたセットオプションを新たに作成しました。

その名も【クラシコカジュアル仕様】です。

それでは、先ずは従来の『クラシコ仕様』と【クラシコカジュアル仕様】のそれぞれに含まれるディテールの違いを見ていきましょう。

  〈新〉
クラシコ仕様 10,000円 クラシコカジュアル仕様  10,000円
台場仕立て(5,000円) アンコン仕立て・半裏仕立て(5,000円)
本切羽(2,000円) マニカカミーチャ仕様(3,000円)
キュプラ裏地(2,000円) 本切羽(2,000円)
内ポケット玉縁別布使用(1,000円) キュプラ裏地(2,000円)
D管留め(1,000円) 内ポケット玉縁別布使用(1,000円)
バルカポケット(2,000円) D管留め(1,000円)
表地を巻き込んだ襟裏(2,000円) バルカポケット(2,000円)
表地を巻き込んだ襟裏(2,000円)
通常オプション価格15,000円 通常オプション価格18,000円

このように、クラシコカジュアル仕様では、裏仕様を台場仕立てからアンコン仕立てor半裏仕立てに、そして肩のマニカカミーチャ仕様を追加しました。

重厚感のあるスーツスタイルに合う従来のクラシコ仕様に対し、クラシコカジュアル仕様カジュアルなスーツ・ジャケットスタイルに合う仕様を含んでおります。

従来のクラシコ仕様がなぜ重厚感のあるカチッとしたスタイルに合うのかというと、それは裏仕様が台場仕立てであるからです。
台場仕立ては、生地の分量を多く使うため、その分スーツがやや重たくなると同時に、胸周りに立体感が生まれます。特に胸周りの立体感というのは、英国調のブリティッシュなシルエットであり、肩回りもパットをしっかり入れることで、より肩回りから胸周りにかけての立体感がより強調されますので、男らしい印象になります。そのうえ、他のディテールも本格的なものですので、フォーマルライクなカチッとしたスーツがよく合うのです。

ただ、このクラシコカジュアル仕様のテーマは『カジュアル』ですから、ソフトな着心地でリラックス感の出る仕様が求められます。しかし、カジュアルを重視し過ぎると、既製品でもよくあるように、どこかチープさが出てしまいます。
その為、カジュアル要素がありながらも本格的な仕様である、アンコン・半裏仕立てマニカカミーチャ仕様を採用し、チープさを排除。カジュアルな中に上質さも感じられる、そんな高級感のあるカジュアルスタイルをお楽しみいただけるようにしました。

では、これらを踏まえ各ディテールについて詳しくご紹介したいと思います。

クラシコカジュアル仕様

アンコン仕立て・半裏仕立て

※ご注文の際は、アンコン仕立て・半裏仕立てのどちらかをお選びください。

アンコン仕立て(大見返し)

アンコンとは、「アン・コンストラクティッド-unconstructed」を略した言葉で、日本語に訳すと「非構築的」という意味になります。
スーツの仕立てでいうと、一般的な総裏や背抜きの仕立てよりも素材を省き、構築的なシルエットを作らない、ということです。
また、見返し(ジャケットの裏側にくる表地)部分を贅沢に広く取ることから『大見返し』とも呼ばれています。

従来のスーツ(ジャケット)の仕立てでは、ジャケットの裏地を含め、毛芯、接着芯、肩パット素材と呼ばれるものが、外側から見えない内側の部分に入っており、これらで構築的なシルエットを作っています。
ただ、アンコン仕立ての場合は、こういった内側の素材を極力省いて仕立てます。
その為、素材が入っていない分ソフトで軽い着心地になり、また全体的にカチッとした印象ではなく、柔らかいリラックス感のある印象に仕上げてくれます。
また、このアンコン仕立ては、ただ単にリラックス感のある印象を与えるだけでなく、上品になびく生地が美しいことから、エレガントな印象も与えてくれるのです。

このように、一般的な仕立てと違い「芯」(内側の素材)を極力使わず、品のあるシルエットに仕上げるためにどうすればよいか、と考え抜かれた仕立てが、このアンコン仕立てです。

半裏仕立て

アンコン仕立てよりもさらに軽い着心地を味わうことが出来るのが、半裏仕立てです。
その構造は、背抜き仕様からさらに脇の下から裾までの細かい部分までも裏地を無くした仕立てになります。
その為、この裏地を省いた面積分ジャケットに軽量感が出ます。また、裏地が少ない分、シルエットもカチッとし過ぎていないため、ややカジュアルライクな雰囲気に仕上がるのもgoodポイントです。

ですので、例えばフランネルやツイードなど、秋冬を代表する重量感のある生地を、この半裏で仕立てれば、気軽に羽織ることの出来る軽快さを得ることが出来ます。
また、サマーウールや機能性素材など、夏の生地を、この半裏で仕立てれば、軽快さはもちろん、通気性にも非常に優れておりますので、驚くほどの軽快さと快適さを得ることが出来ます。

このように圧倒的な着心地の軽さ、快適性をお求めの方には非常にオススメです。

マニカカミーチャ仕様

マニカカミ―チャとは、イタリア語のマニカ(=袖)、カミ―チャ(=シャツ)から来ており、いわばスーツ(ジャケット)の袖付けを「シャツ袖」と同じような手法で行われる仕様です。
袖を取り付ける際にいせ込み(ギャザーを入れながら、平面な布に丸みを付けて立体的にする方法)を入れて取り付けているので、いせ込んだ事で出来る縦のシワから「雨降り袖」とも呼ばれています。

先ず、マニカカミーチャは、肩パットを全て抜いて袖付けを行います。その為、肩回りがとても軽く、動かしやすくなるメリットがあります。
ですから、ソフトな着心地を体現するには持ってこいの仕様なのです。

また、注目すべき点は、その見た目にもあります。

通常、肩の作りというのはパットが入っており、肩先にふくらみが生まれます。
このふくらみがあることで、立体感のあるカチッとした印象のスーツに仕上がるのですが、一方でカジュアルなスタイルの場合は、このふくらみはかえって邪魔になるため、必要ありません。
しかし、パットを抜いたとしても、ジャケットの型紙上、どうしてもこのふくらみだけは残ってしまうのです。

ですが、マニカカミーチャの袖付け方法であれば、このふくらみごと取ってくれてナチュラルな肩周りになりますので、よりカジュアルライクな印象に仕上げてくれます。
さらに、そもそもこの仕様はイタリア・ナポリの職人さんたちが挙って好む伝統的な仕様でもありますので、カジュアルさの中に本格的な雰囲気も感じられる、そんな唯一無二の仕様であります。
従来のクラシコ仕様とカジュアルカジュアル仕様を差別化するうえで、最も重要な仕様と言っても過言ではありません。

本切羽

袖口のボタンホールに穴を空け、ボタンを開閉出来るようにされている『本切羽』
本切羽にすることで袖丈調整のお直しが出来ないといった理由から、既製のスーツは基本的になっていませんので、オーダーで仕立てた本格的な1着という特別感を味わうことも出来ます。

そんな本切羽を、お洒落に袖ボタンをいくつか外した時でもスッキリ綺麗に見えるよう、袖裏の余分な生地の端処理を額縁のようにちょうど45度の角度で折り畳んで処理する「額縁仕上げ」にしてお付けします。

キュプラ裏地

当社の人気No.1オプションでもある『キュプラ裏地』
天然素材を原料に作られている再生繊維でできたキュプラ裏地は、なめらかな肌触りからなる抜群の着心地が特徴です。
また、優れた吸水性・撥水性・通気性を持つといった汗を沢山かく夏に嬉しい機能や、冬によく発生する静電気を起こしにくくする機能も備わっているため、年間通して快適に着用出来ると共に、綺麗にスーツを保つことが出来ます。

アンコン仕立てや半裏仕立てでは、そこまで裏地が付かない分、派手な色や柄遊びを取り入れやすいのが良いところ。
+2000円で柄裏地がお選び頂けますので、例えばストライプ柄などを選び、袖裏をまくった際にチラッと見える裏地の洒落感を楽しむのもオススメです。

内ポケット玉縁別生地使用

通常、内ポケットの玉縁は裏地素材を使用しますが、これを表地を使用することで、ペンを挿したりしてもヨレにくい耐久性を得ることが出来ます。
また、なんといっても見た目のお洒落感がグンとUPします。

少し分かりにくいですが、画像の玉縁はイエロー×グレーのチェック柄の生地を使用しています。
このように、表地が無地の場合は、反対色でかつ柄のある生地を付けると、よりアクセントの効いた仕上がりになります。
反対に、表地が柄の場合は、反対色の無地の生地を選び、落ち着かせるのがオススメです。(敢えての柄on柄も捨てがたいですけどね!)

お好きな生地をお選び頂き、ちょっとしたこだわり・洒落感をお楽しみください。
(色合わせは大変難しいですので、迷ったときは是非我々スタッフにご相談ください!)

D管留め

※D管:ポケット周りや縫いつけ部分を補強するために施されたDの字の刺繍糸

D管留めの糸は、通常あまり目立たないように表地と同色の糸を使用しますが、この糸の色も指定が可能ですので、差し色として別の色でD管を作り、デザイン性を持たせた洒落感のあるディテールにすることも出来ます。
例えば、画像のは玉縁に使用しているチェック柄のイエロー部分に合わせて、D管の糸もイエローに近い色にしています。あまり色を使いすぎると、少しデザインを詰め込み過ぎてごちゃっとした見た目になってしまうので、このように綺麗なアクセントでありながら統一感もあるような色合わせにすると非常に高級感が出ます。

また、D管の他にこだわっていただきたいのが『パイピング(ヘリ取り)』です。
何も指定しなければ、選んだ裏地と近い既存の無地のパイピングテープが付きます。
そうすると、例えば柄の裏地を選んだ場合、裏地は柄だがパイピングは無地、というようになりますので、バランスが悪くまた見た目もあまり格好良くありません。
ですので、画像のように玉縁のグレーと合わせたグレー裏地のパイピングにする、また柄の裏地であれば、同じ柄のパイピングにするなど、ここも統一感のある色・柄合わせで洒落感を演出しましょう。

※裏地からパイピングを作るとなると、パイピング巾にカット、テープ型に処理、縫い合わせなど、かなりの工程数があり、その分時間もかなり掛かります。
その為、申し訳ございませんが7daysオーダーの場合は、このパイピング指定を不可とし、既存の無地のパイピングテープをお付けします。
バルカポケット

胸ポケットの下側が「船底」のように柔らかくカーブしている『バルカポケット』
胸板の厚みからくる曲線を、上着を着用したときにシルエットの上からでも綺麗に見せるためのもので、細かな職人芸がさえるクラシコイタリアのスーツによく見られるこだわりのディテールです。
このバルカポケットは、綺麗なカーブを描くために、1つ1つ完全手作業の難しいディテールですので、セットオプションでのみ無料追加オプションとなっております。

表地を巻き込んだ襟裏

『髭襟』とも言われるこちらの仕様は、上襟部分の表地を襟の裏まで廻して仕立てるといったもので、この仕立てをすることで上襟のサイズ調整をすることが出来るようになります。 ただ、上襟のサイズ調整を行っていたのは昔の話で、今はこの手間のかかる仕様をしていることが、こだわりの仕立て、高級スーツの証とされています。 また、巻き込んだ表地の重みで上襟の端のハネを防ぐ、というメリットもあります。


以上、今回は新オプション【クラシコカジュアル仕様】についてご紹介をさせていただきました。
本格的なカジュアルスタイルをご体感できるこのクラシコカジュアル仕様、是非お試しください。


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