執筆者:大阪店 河本
こんにちは。大阪店の河本です。
気づけば9月に突入し、『衣替え』の季節になりました。皆さんは順調に進んでいますか?
ヨシムラの店頭も秋冬仕様に切り替わり、新作生地を並べて皆さんをお待ちしておりますので、オーダーをご検討の方は是非店舗へお立ち寄りください。
さて
昨今よりビジネスシーンでのカジュアル化が進み、今年は特にその傾向が強くなっている印象です。
そのため、巷でよく耳にする「ジャケパンスタイル」や「ノータイスタイル」のような、いわゆるビジカジファッションが世の中に浸透しましたから、皆さんも理解はもうされているかと思います。
しかし、このビジカジファッションの中で『セットアップスーツ』と言葉も最近よく聞き、また目にすることも多いと思いますが、皆さんはこのセットアップスーツについてもしっかり理解はされていますでしょうか?
何でも「スーツ」というワードが入っていますから“普通のスーツと一緒なのでは?”とお考えの方も多いのですが、実はセットアップスーツとスーツは《別物》なのです。
そこで今回は、意外と知られていない『セットアップスーツ』 (以下、セットアップと呼称します)について、その特徴や魅力を〈スーツとの違い〉も踏まえてご紹介します。
メンズ・レディース問わず今注目のアイテムですから、是非最後までご覧いただき、今後のビジネスファッションに取り入れてみてください。
セットアップとは、 “ジャケットとパンツが同じ生地で作られた衣服” のことです。
そもそもジャケットとパンツをセットで着用することをベースに用意されたものですから、「サイジング」や「デザイン」も統一性のある作りになっています。
そのため、セットアップは【素材やサイジング、デザインに統一感がある上下の衣服の組み合わせ】とまずは考えていただければいいでしょう。
上述のように、セットアップはジャケットとパンツが同じ生地で作られた衣服のことを言いますが、これではスーツと何ら違いは無いように思いますよね。
ですが、違いがあるんです。
最も分かりやすい既製品を例に挙げましょう。
スーツを既製品で購入する場合、そのスーツはどのように販売されていますか?
一般的にはジャケットとパンツは上下セットで販売されていますよね。
上下セットできちんと着用することでサマになるのがスーツですので、このようにセットでの販売となっています。
しかし、セットアップの場合はというと、スーツのように上下セットではなく、ジャケット・パンツが別々で販売されているのです。
つまり、セットアップは上下セットでの着用だけでなく、それぞれ単品使いをしてもサマになる作りになっている。
これがセットアップであり、スーツとの大きな違いです。
単品使いしてもサマになるということは、ジャケパンスタイルのようなビジカジファッションにも取り入れることから、セットアップはカジュアルライクな作りがベースとなる傾向が強くあります。
そのため、「生地」や「サイジング」「デザイン」がスーツとは当然違ってきます。
では、それらのことについてこれから説明していきます。
スーツの場合、生地は〈ウール〉や〈ウールとポリエステルの混紡生地〉といった上品でフォーマルライクな仕上がりになる素材を使用します。
一方、セットアップの場合は、《リネン》や《コットン》、またヨシムラでいう《ポリエステル機能性素材》といったカジュアルライクな仕上がりになる素材を使用することが多いのが特徴です。
もちろん、ウール素材のセットアップもありますが、ウールを使用する際は、組織感(素材感)のある生地や、色柄も無地・チェック柄といった、単品アイテムとしても使いやすく、且つサマになるものを使用します。
スーツの場合、
ジャケットは、肩、胸、お腹周りをフィットさせ、着丈もお尻が隠れるか隠れないか程度の長さ。
パンツは、渡り(太もも)から裾まで細すぎずふと過ぎない程よいゆとりを付けるスッキリとしたシルエットで、股下(パンツの長さ)も生地が靴の甲に乗るくらい長さ。
と、しっかり体にフィットさせた上品なサイジングが基本です。
一方、セットアップの場合は、基本のサイジングというものは無いのが特徴です。
着丈・股下を少しだけ短くしたスーツベースのサイジングや、全体的にゆとりを多くしたリラックス感のあるサイジングなど、種類は様々で、それも非常に幅広いです。
そのため、自分の好きなシルエットや、手持ちのアイテムとの合わせやすさ、また素材との相性などを考えながら選んだり、仕立てたりするのが良いでしょう。
スーツの場合、肩パットがしっかり入っていたり、腰ポケットは蓋つきなど、フォーマルな場でも着用できるベーシックなデザインが一般的です。
一方、セットアップの場合は、肩パットや芯地を無くし、また腰ポケットもパッチポケットのような抜け感のあるデザインが多く用いられます。
ただ、これには特に決まりは無く、セットアップでもスーツのデザインを取り入れるものもあります。
ですが、セットアップ特有のカジュアル感や単品使い出来る利便性を考えると、デザインに抜け感のあるものを取り入れているものの方が、より着こなしを楽しんでいただけると思います。
上下セットでの着用はもちろん、このように単品使いでの着用もOKなセットアップは、スーツに比べて自由な発想で楽しむことが出来、ビジネスファッションが多様化する今の時代で自分の個性も引き出せる絶好のアイテムであると言えます。
では、次はそんな『セットアップ』の魅力について迫っていきましょう。
スーツより堅苦しくなく、ただ決してラフ過ぎない。そんなセットアップの独特の雰囲気は、ビジカジファッションにもってこいです。
上下セットで着用すればそれなりにきちんと感も出ますし、それぞれ単品使いした「ジャケパンスタイル」にも大いに活躍する優れもの。
季節に合わせて素材を選べば、クールビズやウォームビスにも対応可能な点も魅力です。
しかし、セットアップの着こなしはどちらかと言うとカジュアルな印象を与えるため、会う相手や場所、状況など、TPOをしっかり考え、その時々で適切な服装に変えることを心がけましょう。
1着持っておけば、様々なコーディネートに落とし込める汎用性の高さは、セットアップの大きな魅力です。
単品使い出来るという点はもちろんですが、Yシャツや革靴を取り入れたビジネスの定番ファッションから、例えばポロシャツやチノパン、ローファー、またカラフルな小物(ネクタイ やチーフ)など、普段スーツでは合わせにくいカジュアルライクなアイテムまで、幅広いアイテムを違和感なくコーディネートに組み込むことが出来ます。
合わせるアイテムで色々な雰囲気の着こなしを楽しめるのも、セットアップならではです。
セットアップは、プライベートウェアとしても非常に活躍してくれます。
カットソーやデニム、スニーカーなど、ビジネスでは取り入れにくいアイテムとも難なくコーディネートが可能で、それもお洒落に着こなせることから、ビジネスウェアとプライベートウェアの境界線を無くし、あらゆる場面で着用出来る点も魅力的です。
恋人とレストランでディナーなんかに行く時は、セットアップ×カットソー×ローファーで決めすぎない程度の程よいきちんと感を出したコーディネートに。
また夏場であれば、スラックスを単品使いして、カットソーや半袖シャツにスニーカーを合わせるだけでも十分サマになります。
冬場では、ジャケットに薄手のニットとデニム、スニーカーorローファーを合わせた着こなしも素敵ですね。
このようにプライベートシーンでも何通りもの着こなしを楽しむことが出来ます。
それでは最後に、今季のヨシムラ秋冬コレクションより、セットアップにオススメの生地BEST.3をご紹介いたいと思います。
これからご紹介する生地は《2024年秋冬生地サンプル帳Diplomat》に掲載されておりますので、是非ご請求いただき、実際に生地の良さをご体感ください。
今季より新たに取り扱いがスタートしました『秋冬機能性素材』
機能性素材の特徴である「ストレッチ性」や「防シワ性」「ご自宅で洗える」といった機能に加え、「保温性」もプラスされた今回の秋冬シリーズは、これからのシーズンのセットアップに最適な生地であります。
ポリエステルがベースですので、カジュアルな雰囲気はしっかりありながらも、生地がやや肉厚であることから決してチープには見えず、むしろリッチで高見えもしてくれる。そんな絶妙の表情を味わえる優秀な生地となっておりますので、ビジネスからプライベートまで幅広く着こなしをお楽しみいただけます。
今回ご用意したシリーズはどれもオススメなのですが、個人的にイチ押しは《8W トリコットコーデュロイ》
見た目は、正しく「コットンのコーデュロイ」そのもの。本当にポリエステルで作られた生地なのか疑うほどです。
でも着ると、あら不思議。機能性素材ならではのストレッチ性がしっかり備わっていますので、抜群の着心地の良さをご体感いただけます。
ここまで見た目良し着心地良しの生地は、そう無いでしょう。
コーデュロイは、セットアップはもちろん、ジャケット・パンツの単品使いも非常にしやすく、また比較的シンプルなコーディネートでもお洒落な着こなしに見せられる万能生地ですから、機能性素材でのセットアップをご検討の方は、まずこの生地を選んでいただければ間違いありません。
四っ杢糸のブレンドからデザインした、どことなくレトロでモダンな雰囲気が漂うヴィンテージライクな生地『4PLY VINTAGE ARCHIVE』。
〈シンプルだけどシンプルじゃない〉そんな独特の生地感、風合いを味わえるこの生地は、着こなしに着飾りすぎない抜け感を演出してくれるため、セットアップにはピッタリです。
また、この生地の良いところは、四本の糸を撚り一本の糸にして織られていますので、しっかりとした生地感でシワになりにくいのもgoodポイントであります。
今回は、コーディネートしやすい紺・明紺・濃グレイの無地3色展開でのご用意ですから、セットアップ初心者の方にも非常にオススメ。
カットソーやニット、チノパン、デニム、スニーカーといったカジュアルアイテムとの組み合わせも難なくこなせますので、お好きな着こなし方で色々コーディネートを楽しんでいただきたいですね。
キャバルリーツイルを彷彿とさせるクッキリとハッキリとしたツイルに、超ヘヴィーウエイトな生地感が特徴の『CANONICO COVERT21u』 (カバーコート)
存在感のある表情に加え、ハードユースしてもへたれない耐久性の強さから、まるで英国生地のような立ち位置ですが、そこにイタリア生地ならでの色気ある美しいツヤもしっかり備わった、いわば両者の生地の特性を良いとこ取りした唯一無二の生地であります。
上記2つの生地に比べ、ツヤ感がある分着こなしに高級感も出してくれますので、ネイビーやグレイであれば、ビジネス色を強くしたフォーマルライクなセットアップとしてもお仕立ていただけます。
ただ、カジュアルな雰囲気も出したいのであれば、今季の新色であるオフベージュ・ベージュ・カーキが非常にオススメ。
高級感とカジュアル感が絶妙に上手く調和されたセットアップは、この生地でしか仕立てることが出来ず、他のコーディネートより1ランク上の「粋な着こなし」をお楽しみいただけます。
もちろん、単品ジャケット・パンツとしても十分お使いいただきやすいのでご安心を。
上品かつ抜け感のあるスタイルを堪能できる『CANONICO COVERT21u』、是非お試しください。
以上、今回は『セットアップ』についてご紹介をしました。
カジュアル化が進む今の時代には必須のアイテムと言っても過言では無く、1着持っておけば必ず重宝すること間違いありません。
様々なシーンで活躍するこのセットアップ、是非ワードローブに取り入れてみてはいかがでしょうか。
ヨシムラもセットアップのオーダーには力を入れておりますので、検討されている方や興味のある方はお気軽にご相談ください。
皆さんのご来店を心よりお待ちしております。