2024年11月15日更新 執筆者:東京店 河本
こんにちは。大阪店の河本です。 朝晩は随分と冷え込むようになりましたね。読者の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。 さて 昨今のビジネスシーンでは、カジュアル化による《スーツ離れ》が激しくなり、ジャケットやスラックスといった単品アイテムの需要が非常に高くなっています。 ですが、皆さんどうでしょう。 実際のところスーツを着用する機会って結構ありませんか? 世間一般的にはジャケパンのようないわゆる「ビジカジファッション」が今は主流とされており、確かに数年前に比べるとジャケットやスラックスの注文数は格段に増えてきました。 ただ、カジュアル化が進んでいるとは言え、例えば入社式や大切な商談、また社外の方を招いてのレセプションに会食など、やはりいちビジネスパーソンとして、スーツの着用が相応しい場面というのはいくつもあります。 このようにスーツはビジネス着の基本であり、ビジネスパーソンにとって切っても切り離せない必要不可欠なアイテムなのです。 ということで、今回新着情報では久しぶりに『スーツ』について、触れていこうと思います。 今回のテーマは《生地選びについて》 スーツを着る上で大切なのは「サイズ感」というのは以前ご紹介しましたが、同じように『生地』というのも非常に大切になってきます。
ですので、ここでは“なぜ生地選びが大切なのか”を、“生地の種類”や“生地を選ぶ際のポイント”と一緒に色々紹介していきます。 特にこれから社会人になる方や、オーダー初心者の方にはきっと役に立つ内容ですので、是非今後のためにも最後までご覧ください。
ビジネスシーンでは、「スーツで第一印象が決まる」といっても過言では無い非常に大切なアイテムです。 ですので、例えば職業や役職、年齢など、着る人によってベストな一着というのは変わってきます。 その中で、先ず拘っていただきたいのが『生地選び』です。 上述のような職業や役職、年齢のほか、相手にどういった印象を与えたいのか、またどういった場面で着用するのかなど、着る人の用途に合わせた適切な生地でお仕立てしないと、例えサイズ感が良くても、良いスーツにはなりません。 そのため、スーツを構築する上での初期段階である『生地』から、しっかり拘ることがとても重要になってきます。
スーツ生地は、「産地の違い」「素材の違い」「織り方の違い」「色の違い」「柄の違い」などによって、与える印象や機能性が大きく変わってきます。 ですので、今回はよくスーツ生地に用いられるこれらの種類について、簡単に解説していきます。
イタリア製の生地は、美しいツヤのある光沢と、鮮やかな色合いが特徴です。 また、柔軟性に優れており、肌触りが滑らかなことから着心地も抜群。 体に吸い付くような生地のドレープが、美しいラインが形成してくれます。 ただ、生地が柔らかいことからシワになりやすく、ハードユースすると生地が傷みやすい点がデメリットです。
イギリス製の生地は、比較的厚手でハリコシがしっかりしていることから、耐久性に優れているのが特徴です。 また、生地感がしっかりしている分、構築的なシルエットが形成されますので、重厚感のある落ち着いたスーツスタイルをお楽しみいただけます。 ただ、光沢感があまり無いマットなものが多いため、華やかさや洒落感のあるスーツには向いていません。
日本製の生地は、イギリス生地とよく似ており、ハリコシがしっかりしたシワのなりにくい生地感が特徴ですが、その中に日本製特有のふっくらとした柔らい風合いも感じられるため、どこか安心感のある着心地を堪能いただけます。 また、色柄もベーシックなものが多いことから、ビジネススーツにおいて最もお選びいただきやすい点も魅力です。 ただ、イギリス生地同様、畏ったスーツの印象になることが多いため、カジュアルライクなスーツには向いていません。
スーツ生地の王道素材であるウールを100%使用した生地は、熱は逃がしやすが風通しもよい、のが特徴のため、冬は暖かく、夏は涼しくスーツをお召しいただけます。 また、何より上品さがあり、ナチュラルなストレッチ性も効いているため、スーツを着る時に「高級感を見せたい人」「着心地が良いものを着たい人」はウール100%の生地がオススメです。
天然繊維であるウールに化学繊維であるポリエステルが混紡された生地も、スーツ生地ではよく見られます。 このポリエステルが混紡されていることで、生地に耐久性がプラスされますので、とにかくシワになりにくい丈夫なスーツをお求めの方にはとてもオススメです。 ただ、使っていくうちに、部分部分でテカリが出てきてしまう恐れもあるため、スーツの寿命はウール100%生地に比べ、長く持たないことが多いです。
平織りは、生地と生地の間に小さな隙間があるため、風通りが良く、生地自体も軽いことから、春夏向けのスーツによく用いられます。 また、シワにもなりにくい構造になっていますので、形崩れしにくい耐久性が備わっている点も特徴です。 ただ、あまりツヤが出ないという側面もあります。
綾織りは、生地と生地の間に隙間が無いため、風を通しにくく、生地自体も厚手になっていることから、秋冬向けや合物(スリーシーズン)向けのスーツによく用いられます。 また、光沢が出やすい構造になっていますので、より高級感のある仕上がりになる点も特徴です。ですので、ここぞという時の特別な1着では、この綾織り生地から選ばれる方が良いでしょう。 ただ、摩擦に弱いという側面もあるため、スラックスの股やバックの当たる部分などがあまりにスレしまうと、毛羽立ちが出てしまう恐れがあります。
ネイビーの生地は、最も人気のある定番カラーで、「清潔感」をもたらしながらも「誠実」な印象を与え、またコーディネートもしやすいのが特徴です。
ただ、ネイビーの中でも色のトーンで与える印象は変わり、例えば暗い色目の《ダークネイビー》であれば、より落ち着いた印象になります。 一方、やや明るい色目の《ライトネイビー》であれば、爽やかなでフレッシュな印象が強くなりますので、特に若い方にはオススメです。
ネイビーに続き、スーツ生地の定番カラーであるグレーは、大人の落ち着きを演出できるクラシックなスーツに仕上がるのが特徴です。
このグレーも色のトーンで印象は変わり、細かく分類すると「ライトグレー」「ミディアムグレー」「ダークグレー」「チャコールグレー」の4種類あるのですが、例えば「ライトグレー」や「ミディアムグレー」のような明るい色目だと、柔らかい雰囲気があり、また都会的な洒落感のある印象を与えます。 一方、「ダークグレー」「チャコールグレー」のような暗い色だと、威厳を感じさせる重厚感や、品格のある印象を与えることが出来ます。
黒は、スタイリッシュでクールな印象を与えることが出来るカラーです。 ただ、「無地」だとどうしても『喪服』として見られてしまう場合もあるため、黒の生地の場合は、柄のある生地で仕立てられることをオススメします。
暖色系であるブラウンは、相手に「温かさ」「優しさ」、「安心感」などを与えることが出来る人気のカラーです。 また、ネイビーやグレー、黒よりもお洒落なスーツに仕上がりますので、昨今のカジュアル化で更に需要が高くなってきています。 ただ、どうしてもカジュアルライクな印象になってしまうため、畏った場でのスーツとしてはあまりオススメ出来ません。
無地は、生地全体が一色で統一されており、柄のないシンプルなデザインです。 そんな無地のスーツは、シーンを選ばず、様々な場面で着用出来、またシャツ・ネクタイのコーディネートもしやすいため、ビジネスパーソンとして必ず1着は持っておいて欲しいマストアイテムであります。
スーツにおいて無地に次ぐ定番が「ストライプ柄」。 無地に匹敵するくらい汎用性が抜群で、スマートな印象を与えられるのが特徴です。 なお、ストライプ柄の中でも色々種類はあり、ストライプの線の太さや間隔によって見え方が変わってきます。 例えば、線が細く、間隔が狭いストライプであれば、繊細でシャープな印象を与えてくれます。 一方で、線が太く、間隔が広いストライプであれば、全体的に華やかな印象になり、着る方の存在感がグンと増します。
個性的なスタイルを演出できる「チェック柄」。 着こなしが難しい印象のチェック柄ですが、その醸し出すお洒落な雰囲気は、昨今カジュアル化が進むビジネスシーンでとても人気です。 チェック柄にも色々と種類があるのですが、そもそもチェック柄は少しカジュアルな印象がありますので、大きい柄や柄がはっきりしているものになると、その印象がさらに強くなってしまいます。 ただ、柄があまり目立たないものであれば、十分落ち着いたクラシックな印象になりますので、TPOに合わせて選ぶようにしましょう。
自分に合った生地を選ばなければ、例えモノ自体は格好良くても、その人に合っていない=良くないスーツになってしまいます。 ですので、ここでは生地選びにおいてとても重要な3つのポイントをご紹介していきます。
ここ最近は職場でのドレスコートがかなり緩くなり、比較的自由な装いがOKとされているところが多いですが、スーツを着用する際は、やはり着る人の職業、また役職に合ったスーツを身に付けることが非常に大切です。 例えば、職業別で見ると、営業職の方であれば見た目はもちろん、バリバリスーツを着て営業先へ向かうことから、動きやすさやシワになりにくいなどの機能性も考慮しなければいけません。 また、銀行員の方であれば、お客様や取引先の方に、〈安心感や信頼感〉をより与えられる誠実でコンサバティブな装いが良いでしょう。 加えて、役職別でも見てみると、新社会人クラスの方は、先ずスーツの着数を増やすことが大事ですので、必然的にベーシックな色柄で控えめな価格帯の生地を選ばれることがオススメ。 一方、ある程度の役職が付いている方は、それなりの立場に見合った重要な会議や商談など、フォーマルな装いが求められることも多くなります。また、部下へ目標となる姿を見せるためにも、一目見て分かる上質なスーツを身に付けることがオススメです。 このように、その人の職業や役職によって適切なスーツは変わってきますので、自分にあった最適な生地選びを心掛けましょう。
着用シーン合わせた生地選びもとても重要になります。 例えば、大事なプレゼンや会議、会合などの際に、派手な色・柄が入ったスーツを着るのはどうでしょう。もちろん、その場にそぐわない不適切な装いですよね。 また、普段外回りの営業職の方でも、上述のように営業時には動きやすさや機能性を重視したスーツが好ましいですが、これらを重視したスーツはどうしても光沢などの高級感が薄れてしまう傾向にあります。 ですので、こういったフォーマルな装いが相応しい場面の際に着用できるスーツになってきます。 一方で、畏まった感じではない場面で、1人だけピカピカの高級感溢れるスーツを着用しても、それはそれで浮いてしまうこともあるため、あまり良いとは言えません。 このように、着用するシーンよってもスーツスタイルは変わってきますので、重厚感のある雰囲気が好ましいのか、はたまた爽やかな雰囲気が好ましいのか、それらをしっかり考えた生地選びをしましょう。
この着用するシーズンに適した生地選びも大切なポイントです。 街中でよくこのような方々を見かけます。 季節は秋・冬になっているのに、まだ夏用のスーツを着ている。(織り方の種類で説明した、いわゆる「平織り」のスーツです) もちろんその気持ちもよく分かります。何せ最近は秋になっても残暑が厳しいですから、つい夏用の涼しいスーツを着ていたいですよね。 ただ、着用シーズンに合ったスーツを着るからこそ、相手に信頼感を与えることが出来るのも確かです。 分かる人には分かりますから、もしかすると季節感の無いスーツスタイルが、相手へ “だらしない” などの良くないイメージを付けてしまう可能性もあります。 ですから、ビジネスの場では、しっかりその季節に合った生地のスーツを着用するようにしましょう。
さて 上記では「生地選びの重要性」から「生地の種類」、そして「生地選びのポイント」までご紹介してきましたが、正直申しますと、これだけの情報があっても自分だけ一から生地を選ぶのは結構難しいです。 生地の種類と言っても、この中に色んなブランドがあったり、生地によって少しずつ生地感も違ってきます。 また、生地選びのポイントでお伝えしたこと以外にも、更に細分化して考えないといけない場面もあるので、余程オーダーに慣れてらっしゃる方じゃないと、本当にその人に適した生地選びというのは難しいのです。 ですので、生地選びは是非、我々フィッターにお任せください! 職業や着用シーン以外にも、お好みやスーツを着る上での悩み、またワードローブにライフスタイルなど、我々が入念にヒアリングを行い、プロとして最適な生地をご提案いたします。 もちろん、その後のデザイン決め・採寸まで責任を持ってご対応いたしますので、ご安心ください。 あなただけの特別な1着 を創り上げるためにも、先ずは『生地選び』からしっかり拘っていきましょう。
以上、今回は『スーツの生地選び』についてご紹介しましたが、いかがでしたが? スーツはビジネスパーソンにとって必要不可欠なアイテムです。 ただ、良いスーツにするためには、正しいサイズ感と、TPOに合った正しい生地で仕立てることが非常に大切になってきますので、皆さん生地選びからしっかり拘っていきましょう。 スーツのオーダーは是非ヨシムラで! ご来店を心よりお待ちしております。