2025年8月8日更新 執筆者:大阪店 河本
こんにちは。大阪店の河本です。 気付けば8月に突入し、毎日本当に暑い日が続いていますが、皆さんはいかがお過ごしですか? 明日から待ちに待った〈夏休み〉 (お盆)に入る方も多いと思いますので、お出かけされる方は熱中症など気を付けながら、存分に楽しんでいただきたいですね。 さて そんな夏休みが終わると、一般的にアパレル業界では「次シーズン」の準備も最終段階に入ります。 次シーズンというと「2025-26AW」になりますが、まぁまだ考えられるような気温でないことは明白。SS商材が引き続き(長いこと)店頭に並ぶことは間違いないでしょう。 ただ、《衣替え》を視野に入れ出す方も多くなってくるはず。 ということで、今回は私河本より、大阪店のお客様に向け “あるアイテム” をご提案したい思います。 次シーズンの衣替えのみならず、今のシーズン(のお仕立て)でも参考になる内容となっておりますので、是非最後までご覧ください。 ・・・っとその前に。
私が大阪店に来て早1年半が経ちましたが、来た当初の印象は、東京店に比べ、スーツスタイルの方が圧倒的に多いということでした。 数年前からビジネスカジュアル (ビジカジ)の流れは全国的に広がっているものの、私が大阪店に来た時はまだまだ全然浸透はしていない様子だったのです。 現に、お店の周りはビジネス街ですので、ビジネスマンの方々が大勢いらっしゃるのですが、その多く方がスーツスタイルでした。 しかし、それから1年が経過し、今の大阪店を見てみると、もちろんスーツをお求めの方はいらっしゃるものの、依然に比べると嘘のようにスーツの注文が少なくなりました。 そう、《ビジカジアイテム》の注文が非常に増えたのです。
かく言う私も、写真のように今はめっきりカジュアルスタイル。 インナーもYシャツではなく、最近リリースされたオーダーポロシャツと、楽でサマになるスタイルが自分の中で定着してきました。 このように、今後さらにカジュアル化は進んでいくことが予想されますので、大阪店もより一層、私が着用しているジャケパンのようなこのカジュアルスタイルを広めていけるような店舗にしていきたいと考えております! と言いたいところなのですが、いきなり私のような派手なコーディネイトは正直結構抵抗がありますよね。 もっと言うと、そもそもこれからビジカジスタイルに挑戦したい!という方の中には「ジャケパン」も難易度が高いと思われる方も多いかと。 ですので、そういった方のために、先ずはビジカジスタイルの基本であり入門編のアイテムを今回は抑えていただこうと思います。 そのアイテムとは・・・ “セットアップ” です!
セットアップとは、ジャケットとパンツが同じ生地で作られた衣服 のことです。 そもそもジャケットとパンツをセットで着用することをベースに用意されたものですから、「サイジング」や「デザイン」も統一性のある作りになっています。 そのため、セットアップは【素材やサイジング、デザインに統一感がある上下の衣服の組み合わせ】とまずは考えていただければいいでしょう。
上述のように、セットアップはジャケットとパンツが同じ生地で作られた衣服のことを言いますが、これではスーツと何ら違いは無いように思いますよね。 ですが、違いがあるんです。 最も分かりやすい既製品を例に挙げましょう。 スーツを既製品で購入する場合、そのスーツはどのように販売されていますか? 一般的にはジャケットとパンツは上下セットで販売されていますよね。 上下セットできちんと着用することでサマになるのがスーツですので、このようにセットでの販売となっています。 しかし、セットアップの場合はというと、スーツのように上下セットではなく、ジャケット・パンツが別々で販売されているのです。 つまり、セットアップは上下セットでの着用だけでなく、それぞれ単品使いをしてもサマになる作りになっている。 これがセットアップであり、スーツとの大きな違いです。
セットアップは、上下セットでの着用がまず基本ですので、上下で着用することで、ビジカジらしい抜け感がありながらきっちり感もしっかり演出できます。 そんなスーツより堅苦しくなく、ただ決してラフ過ぎない絶妙なスタイルはセットアップならではであり、ビジカジファッションに最適と言えます。 ですが、単品使いしてもサマになるということは、ジャケパンスタイルのようなカジュアルライクなファッションにも取り入れられることから、セットアップはスーツとは違う作りになっていることが多いです。 では、どのような違い(特徴)があるのでしょうか? それらをこれから説明していきます。
スーツの場合、生地は〈ウール〉や〈ウールとポリエステルの混紡生地〉といった上品でフォーマルライクな仕上がりになる素材を使用します。 一方、セットアップの場合は、ヨシムラでいう《ポリエステル機能性素材》のようなカジュアルライクな仕上がりになる素材を使用することが多いのが特徴です。 ですが、もちろんウール素材のセットアップというのもあります。 ただウール素材を使用する際は、組織感(素材感)のある無地やチェック柄といった、フォーマルライクなスーツとはまた違った雰囲気を演出できる生地で仕立てるのがオススメです。
スーツの場合、ジャケットは、肩、胸、お腹周りをフィットさせ、着丈もお尻が隠れるか隠れないか程度の長さ。 パンツは、渡り(太もも)から裾まで細すぎずふと過ぎない程よいゆとりを付けるスッキリとしたシルエットで、股下(パンツの長さ)も生地が靴の甲に乗るくらい長さ。 と、しっかり体にフィットさせた上品なサイジングが基本です。 一方、セットアップの場合は、基本のサイジングというものは無いのが特徴です。 着丈・股下を少しだけ短くしたスーツベースのサイジングや、全体的にゆとりを多くしたリラックス感のあるサイジングなど、種類は様々で、それも非常に幅広いです。 そのため、自分の好きなシルエットや、手持ちのアイテムとの合わせやすさ、また素材との相性などを考えながら選んだり、仕立てたりするのが良いでしょう。
スーツデザイン
セットアップデザイン
スーツの場合、肩パットがしっかり入っていたり、腰ポケットは蓋つきなど、フォーマルな場でも着用できるベーシックなデザインが一般的です。 一方、セットアップの場合は、肩パットや芯地を無くし、また腰ポケットもパッチポケットのような軽量で抜け感のあるデザインが多く用いられます。 ただ、これには特に決まりは無く、セットアップでもスーツのデザインを取り入れるものもあります。 ですが、セットアップ特有のカジュアル感や利便性を考えると、デザインに抜け感のあるものを取り入れているものの方が、より着こなしを楽しんでいただけると思います。 ヨシムラでは、そんな軽量であり、且つカジュアルライクなデザインを取り入れたジャケットモデルもご用意しておりますので、宜しければ是非チェックしてみてください!
まずセットアップの魅力は、先述のように、スーツより堅苦しくなく、ただ決してラフ過ぎない。 そんなビジカジらしい抜け感がありながらきっちり感もしっかり演出できることでありますが、他にも色々な魅力が詰まっていますので、それらを紹介させていただきます。
大阪店のお客様からよく聞くのが、「ビジカジってジャケパンみたいなやつでしょ?コーディネート組むの面倒くさいよね。」 つまり、会社ではビジカジOKだったとしても、“ビジカジ=ジャケパン”というイメージから、毎日のコーディネートが面倒くさいため、スーツから離れられない。 そういった方が非常に多い印象です。 ですが、ご紹介しているように《セットアップ》も立派なビジカジファッションですし、また上下セットで着用するものですので、普段のスーツスタイルと同様合わせるインナー・靴を考えるだけでコーディネートが完成します。 このコーディネートの楽さは、ジャケパンには無い大きな魅力の1つです。
1着持っておけば、様々なコーディネートに落とし込める汎用性の高さも、セットアップの大きな魅力です。 単品使い出来るという点はもちろんですが、Yシャツや革靴を取り入れたビジネスの定番ファッションから、例えばポロシャツやチノパン、ローファー、またカラフルな小物(ネクタイ やチーフ)など、普段スーツでは合わせにくいカジュアルライクなアイテムまで、幅広いアイテムを違和感なくコーディネートに組み込むことが出来ます。 合わせるアイテムで色々な雰囲気の着こなしを楽しめるのも、セットアップならではです。
セットアップは、プライベートウェアとしても非常に活躍してくれます。 カットソーやデニム、スニーカーなど、ビジネスでは取り入れにくいアイテムとも難なくコーディネートが可能で、それもお洒落に着こなせることから、ビジネスウェアとプライベートウェアの境界線を無くし、あらゆる場面で着用出来る点も魅力的です。 恋人とレストランでディナーなんかに行く時は、セットアップ×カットソー×ローファーで決めすぎない程度の程よいきちんと感を出したコーディネートに。 また今のような夏場であれば、スラックスを単品使いして、カットソーや半袖シャツにスニーカーを合わせるだけでも十分サマになります。 冬場では、ジャケットに薄手のニットとデニム、スニーカーorローファーを合わせた着こなしも素敵ですね。 このようにプライベートシーンでも何通りもの着こなしを楽しむことが出来ます。
さて これまでセットアップの特徴や魅力について色々ご紹介してきましたが、ご覧になってお分かりいただいたように、セットアップはスーツと同様上下セットで着用するアイテムであるものの、やはり『ビジカジ』に特化したスタイルですので、その分印象はカジュアルライクなものであります。 ですから、中には “セットアップでもいきなりはまだ抵抗がある” という方もいらっしゃるかもしれません。 そういった方は、まずセットアップでよくある〈軽量仕立て〉から始めるのもオススメです。
例えばこのスーツ。 一見ベーシックでフォーマルライクなビジネススーツに見えますよね。 このスーツからカジュアルな印象は受けないと思います。 ですが・・・
実際の作りは、セットアップのような超軽量仕立て。 芯は一切入っていない上、肩のパットも全て抜いたカジュアルライクな構造になっています。 ただ、外見からはカジュアルな印象というのは受けなかったですよね。 このように、まずはこのような普通のスーツの軽量仕立てから始めていき、少しづつ慣らしていきながらビジカジスタイル(セットアップ)に移行していく。 これも非常にオススメです。 また、上記では今後ビジカジファッションに挑戦していきたい方向けに書いていますが、一方で普段は仕事柄、年中フォーマルライクなスーツが必須の方もいらっしゃいますよね。 そういった方にも、この仕立て方はとってもオススメ。 とにかく着心地が快適で楽。ただ、見た目のかっちり感はしっかりある。 特に夏でもスーツを着用されるビジネスマンの方には非常に嬉しいものだと思いますので、ビジカジ需要だけなく、フォーマルライクだけど着心地が楽なスーツをお求めの方も是非我々にご相談ください。
以上、今回はビジカジスタイル基本であり入門編の『セットアップ』について紹介しました。 これからビジカジスタイルに挑戦したい!という方は、先ずのセットアップを抑えれば間違いないですので、様々なシーンで活躍するこのセットアップ、是非ワードローブに取り入れてみてはいかがでしょうか。 それでは、次回は応用編として、ビジカジスタイルの定番《ジャケット&パンツスタイル》(ジャケパン)について語らせていただこうと思いますので、皆さんお楽しみに!