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「ザ・スーツカンパニー」に行って来ました! |
最近話題の「ザ・スーツカンパニー」!
紳士服の青山の別ブランドとして展開しているこのお店に東京SHOPMASTERが敵状視察(?)に先日行って来ました! |
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東京SHOPMASTERも10ン年前就職活動の時には、大変お世話になった青山さんですが、当時は縫製がガタガタで購入したスーツも正直2年は持たなかった記憶があります。 そこで今回も初めは余り期待していないで、「お店の客層はどんな感じかな〜?」「トレンドの色柄は?」程度の調査のために入店しました。 でもそこで驚いたこと!!
女性の店員が多く、また売り場を歩く店員さんも接客と言うよりはお客さんがいじったスーツを並べ替えるだけといった感じで、「必要ならば声掛けて下さい。」といった風でした。 これは消費者としてもありがたいですね。 よく郊外型量販店さんは1Fを駐車場にしている立地が多いですが、1F駐車場に2〜3台位しか車がないと「マンマーク」が怖くてお店に入れないですよね。 ・・・う〜ん!すごく良いことではないでしょうか? (とある掲示板で『倉庫のような・・・』と言われてしまった自店を全く無視したような書き方でスミマセン!)
確かに28,000円の商品でも商品の70〜80%はポリエステルが50%近く入った従来的な量販店の品質でしたが、中にはイタリアREDA社製のSUPER100sとかイタリア製SUPER120Sなどのお値打ち物もありました。 そしてこれらのSUPER100Sなどの生地は品質も全く問題なくGOODでした。 ただし、上記SUPER100Sなどの高品質な物にトレンド性のある今風の色柄が少なかったのがちょっとだけ残念なでした。 私個人としてはSUPER120Sを是非とも購入したいと思っていたのですが、好みの物がなくあきらめました。(でもこれは個人的な好みもありますので何とも言い切れませんね。) やや辛口でコメントするのでしたら、100円均一の回転寿司でも「アワビ・タイ・トロ」はあるけれどやはり本当にうまい物は・・・?といったところでしょうか? (少々言い過ぎているようで申し訳ありません。m(_ _)m
ということで、よく目を凝らして探してみれば、高品質のスーツがこんなに廉価に売られているのにはSHOPMASTERは驚きを越えて正直ゾッとしました。 「このままではやられる!」と!
ですが、今回見させていただいたスーツは、確かに細部にわたれば既製服ですので、コストダウンのため省略されている物、安物を使っている部分はたくさんありましたが、昔の中国縫製と比べると格段進歩していると思います。 国内縫製を100とすると、昔は40点、今は78点といったところでしょうか? ここの細部にわたる検証は次回続編でご紹介するとして、100点満点中78点であれば値段が半額以下であれば十分合格だと思います。 ちなみに−22点の要因はというと・・・ ○ 芯地が甘い(-15点) (実際にはこちらの商品をバラして見たわけではないので断定的には言えませんが・・・)・・・これは既製服はほとんどそうなのですが、見えない「芯地」はついつい手が抜かれがちです。 スーツを買ってよくシーズンになると襟の当たりが「ウネウネ」してきませんか? これがペラペラの芯地を使った場合の特徴です。 夏物のスーツは当社でも薄手の芯地を使用しますが、ちょっと弱すぎのようです。 ○ ミシン糸の始末が雑(-10点) 量販店スーツの善し悪しをチェックするときはよくスーツの裏側(裏地と表地の縫い付けの当たり)をよく見ると分かるのですが、「ザ・スーツカンパニー」さんの縫い方そのものには特に不満はありませんでした。 パイピングの裏側など2重に縫うべき所は縫っているし、国内縫製の物とそれほどの遜色はありません。 が!一つ気になったのは「ミシン糸の始末」がとても雑だったこと これはスーツの表側に出ているだけに、また誰からも一目で分かる場所なだけにとても気がかりですね。 実は私の購入したスーツもベントの部分に糸が飛び出していて、初めは糸くずに見えたのですが、引っ張ると「ツー」と糸が抜けそうになりました。 折角縫製レベルが上がっているだけに残念です。 でもこれって検品のチェックをキチンとすれば簡単に問題は解消されるはずなのに・・・ こういうところが縫子さんが「大陸的」なのかな〜? ○ パイピングがあって(+3点) ・・・オーダースーツでは当たり前なのですが、上着の裏側で、生地の切れっ端から糸が解れないようにパイピングという裏地の素材を使ったカバーを付けることがあります。 量販店型の既製服屋さんではこういった手間のかかることは、コストも省くためパイピングを付けているのが珍しいのですが、「ザ・スーツカンパニー」さんではパイピングをほとんどの部分に付けていました。 しかも色を変えたりして、お洒落心を出しています。 この気持ちは同じスーツを販売する者としてはとても共感しました。 (写真は当店のパイピングです。「ザ・スーツカンパニー」さんの物ではありません。) 以上、話題のお店に行って来た感想をご紹介しましたが、皆さんはどうお考えになりました? ところで私は今回の調査で驚きを越えて、既製服に対し恐怖を感じオーダー業界に携わる者として次のように考えました。
工場は経費のほとんどが人件費で決まりますから純国内縫製では多分価格競争力を出すのは無理でしょう。 であれば国内オーダー向け工場も中国(アジア等)にオーダー向け工場を作り、人を育てるべきです。 実際には既製服業界では進んでいますが、ソフト面が大きいためオーダー業界ではまだまだこれからです。(一部大手オーダー工場は既に中国に工場を持っています。) ご参考までに中国での(裏地芯地等)付属代込みの工賃は約3〜5千円 同じことを国内でするとだいたい2万円!その差歴然ですね。 だって中国での工場の賃金は月給で日本円換算3千円程度なんですよ。 日本のしっかりとした技術を海外に伝えることは価値のあることですし、これは工場にとってもお金になることだと思います。是非人材の輸出にも力を入れて頂きたいものです。
多分ほとんどの方が、「おつき合い」でご購入され、買うときの気持ちとしては、「既製服の代わり」位の思い入れだと思います。 価格が既製服より高いオーダー業界はこれでは絶対に消費者に受け入れられません。 やはりきちんと「体型的な補正」を説明して、オプションなどの「こだわり」パーツを説明した上でお客さま毎の一点物を作っていかなければダメだと思います。 今回の「ザ・スーツカンパニー」さんでは大変勉強させていただきました。 店舗作り・女性による接客・会員カード等 当店では逆立ちしても出来ないようなことを至極当たり前の様にやられている姿には感服いたしました。 同社の方が上述のコメントを読まれると不愉快に感じられるかもしれませんが、当店(私)は「ザ・スーツカンパニー」さんを批判するつもりで書いたつもりはありません。 むしろデフレの世の中でよく頑張っていると思い、当社の今後を考える材料を頂き感謝しております。 辛口のコメントは消費者の為と日本の服飾業界の発展のための意見ですので、何とぞお許し下さい。 |