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「ザ・スーツカンパニー」に行って来ました! VOL.2 |
先月ご紹介した話題の「ザ・スーツカンパニー」訪問記、皆さんいかがでした?
東京SHOPMASTER自らが購入してみたのですが、ズボンの裾を上げるのに1週間かかってしまったため、詳細の説明が出来ませんでした。 そこで今回は折角新調したスーツなのですが解体してみました! 写真では質感が出ないので分かりにくいところも多いと思いますが是非参考にご覧下さい。 |
オーダースーツと既製服の違い |
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とはいっても100%標準体型の人というのはまずあり得ないことで、こんな私でもオーダーで仕立てる際には、次の補正をかけています。 ●胸厚体・・・胸囲が肩幅の割にある人に対して付ける補正です。 学生時代スポーツを遣っていた人で筋肉がある人はこれをしませんとVゾーンがUゾーンになります。 逆にこの補正に強弱を付けることで今まで太めだったため3つボタンが着れない(似合わない)と思っていた方でも「苦しくない3つボタン」を仕立てることができます。 ●反身怒り肩・・・一般に日本人はなで肩が多いのですが、私の場合は逆で身体が若干反っています。 こんな人はスーツの背中に生地がよってしまうため写真のような「ツキジワ」が出てしまうことがあります。 仕立屋としてはこんなスーツをお客様に出すことは恥ずべきことです。 前置きは以上として、ではでは私が「ザスーツカンパニー」さんで購入したスーツとオーダースーツを着用して比較してみますと・・・ 写真を見ると、A-1では第1ボタンの部分に\ /と陰が出来ています。 B-1と比較してみるとよく分かりますが、これは胸囲が苦しい証拠です。 |
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次の写真は結構仕立てを見分けるポイントの一つですので重要です! A-2は私の首の付け根の写真ですが、どうですか?うっすらと首根っこにこんもりと山が出来ていますね。これがいわゆる「ツキジワ」と云われるものです。 怒り肩の人は肩の先で生地が引っ張られるためどうしてもこのようなシワが出てしまいます。 一方B-2<はさすがに当社でン10着も仕立てているだけにキチンとフィットしていますね。 この様な一人一人の体に合わせることがオーダー服の強みですね。 |
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「良い仕立ての見分け方」の中でご紹介していますが「良い仕立て」は見えない部分こそ良い素材を使います。 具体的に云うと襟やスーツの前身頃の「芯地」が一番分かりやすいですが、これをしっかりとした「毛芯」を使います。(夏物は毛芯を使うと暑苦しくなるので使用しないこともあります。) 既製服ではこの部分はコストダウンのためどうしても手を抜きがちですが、「ザ・スーツカンパニー」さんはというと・・・ 写真はスーツの前身頃を解体した画像です。 スーツの中身はどうなっているかというと画像が見にくいので下から順にA・B・C・・・とすると次のようになります。 |
A-3:「ザスーツカンパニー」さん | B-3:オーダースーツ | |||
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皆さんのスーツの胸部分はこれら6〜7つの素材がサンドイッチになっているんですよ〜! |
語句の説明 接着芯・・・これは芯地に糊が付いていてアイロンの熱でぴったりとくっつく薄手の芯です。 毛芯・・・古くは馬の尻尾の毛を使った芯で固くハリがあります。スーツの胸の部分のシルエットをよくするために必要な素材です。 また、毛芯は2重構造2枚重ねが一般的です。これはスーツの表と裏で違う動きをする際の緩衝剤にもなっています。 フェルト芯・・・これが既製服にはなかった物ですが、スーツは肩から胸のラインをいかに美しく出すかで仕立ての良さが決まります。 フェルト芯は他の芯地と比べると圧倒的に厚く、この特製を生かして適度の厚みを持たせつつ立体感を出すために必要なアイテムです。 ちょうど考え方とすれば肩パットを入れて肩のラインをきれいに見せるように肩から胸のラインを美しく見せるための素材です。 |
う〜ん!芯地に結構違いがあるかな〜?と思って解体してみましたが結果的には個別素材の品質の程度は若干オーダー服の方がしっかりしているような気がした程度で正直よく分かりませんでした。 オーダー服が明らかに優位だったのは、フェルト芯があるかないかぐらい。 これも見方によっては夏用で着用したときに暑苦しくないようにしたと言えばそれまでかもしれません。 評価は大変微妙なところです。 ただ一つ言えるところはオーダーの方は100%機械化された中での作業ではないため微妙なところでハンド(手作業)のいい味が出ていました。 例えばボタンホールの位置決めのところ・・・ うっすら赤く線が入っていますが(画像は少し強調しています)この当たりはオーダーならではの「味」ですね。 |
写真を見てください。A-4はザ・スーツカンパニーの物、一方B-4は当社指定工場の物(但し5年着用後) |
A-4:「ザスーツカンパニー」さん
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B-4:オーダースーツ
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どうでしょうか? ....パッとみてもB-4(オーダースーツ)の方がごちゃごちゃしていますよね。 一般の方にはご理解いただけないかと思いますが、我々から見るとこのごちゃごちゃ感が職人の苦労した感覚の残る「味」に見えるのです。 この味というのはなかなか写真だけでは説明しきれないのですが・・・ その他にも例えば、私が今回の様にスーツを解体し襟を広げようとすると、オーダー服では襟の立ち上がりがふんわりとすることを重視していますので、私がどんなに襟を潰して延ばそうとしてもすぐ襟の立体感が戻って来てしまい写真が撮りにくいのです。(5年も着た物でもですよ。) 一方で既製服の方は軽くしなやかに見せるためでしょうか、襟は簡単に潰れるので写真も変な影ができず楽でした。 こんな所が私から見れば、オーダー服の可愛いところ愛すべきところですね。 写真では縞々の芯地の下に影が映っていますがこれは潰してもすぐ復元してしまうため写真を撮ったときに影が出てしまったのです。 |
オーダー店でもボタンまでこだわっている店は余り多くはありませんが、当店では水牛の角を削って作った艶消しタイプの「本水牛ボタン」を標準仕様にしていますので、やっぱりこちらの方が上です。 (ボタンだけなら手芸品店で2000円位あればかなり良い物が買えますので既製服のスーツでボタンだけ自分で付け替えるのも、コストをかけずにスーツをグレードアップさせる良い方法です。) 写真の左側(縦4つ)がザ・スーツカンパニーさんのもの、縫いつけていない物が当社の本水牛ボタンです。.......画像じゃ分かりにくいですか? さて、さて 公平な立場で説明しようと思ってもどうしてもオーダー服と既製服では縫製の工程もフィッテッィングも求める物が違うため公平になりきらないようです。 今回は当社の商品と比較してコメントいたしましたがこれは、あくまで4万円以上するオーダー服と28,000円のスーツとの比較ですので、この点はご理解くださいね。 それはそれとして「ザ・スーツカンパニー」の良い点をアピールしますと・・・ その他発見!「ザ・スーツカンパニー」さん良いところ(現物の写真が撮れましたのでそれと合わせてちょっとご紹介します。) ●本物のSUPER100'Sでした! しかもREDA社 ・・・う〜ん!やっぱりお買い得!柄は上の画像では分かりにくいですがペンシルストライプ柄 REDAの生地は20代から35前後の方には人気がある生地でSHOPMASTERの年齢にはぴったりの柄でした! ●パイピングのパープルが渋い!こういうお洒落SHOPMASTER大好きです。 ●縫製も問題なし! ・・・オーダー屋からみると若干味気ないかな?と思うところもありますが、これは感性感覚の違いですので実用上は全く問題はないと思います。 大変合理的に無駄なく仕立て上げられています。 ●何と!会員証がCD-ROMだった!(写真の四角のがCD-ROM!) ・・・こんな事当社には真似できません!あ〜うらやましい。やはり大企業は凄いですね。 ちなみにCD-ROMを入れると同社のHPにアクセスできて会員専用ページに行けました! 私が本当に購入した証拠です。(^^;) ●パンフレットも充実 ・・・これも大企業のなせる技!冊子が今風で格好イイ! ちなみに当店でもこの秋冬からカラープリンターによる資料でなく印刷物に変更しよう!という企画がただ今進行中です。(予算が少ないので余り期待しないでね。) ●トータルコーディネートができる! ・・・私の行った店ではYシャツ・ネクタイ・靴などスーツ関係の一切がありました。 Yシャツのコーディネートなんか簡単に出来るのは便利ですね。 さてさて皆さんはどちらを選びます? |