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オーダースーツのヨシムラ
新着レポート

 SHOPMASTERのスーツは?
 最近Webを通じたご質問の中でたて続けに
『SHOPMASTERはスーツを何着位で着廻しているの?』
とか
『SHOPMASTERはこの秋冬はどんな(生地・デザインで)スーツを仕立てたの?』というご質問を何件か頂きました。
どうやら、私自らが仕立てる生地が『一番お買い得!』と思われるようです。
・・・う〜ん、確かに普通の人よりは目が肥えているのは事実ですが、、、(^_^;)
私の場合は、仕立ててもすぐ見本服になってしまいますので実は生地等はあまりこだわらないようにしています。
それより、小さなサンプル帳ではイメージが付きにくいようなチェックの柄で極力作って皆さんに出来上がりのイメージがつきやすいようにしているつもりです。
が!、この冬はその中でも結構 特徴的なスーツを4着ほど仕立てましたので折角のご質問ですのでこの場で皆さんにお披露目いたしましょう!!
<1着目>
伊ロロピアーナ社製 SUPER110'S生地使用 グレンチェック柄(ブラウン)
・・・スーツ上下 63,000 円
ウンチク・・・
この冬大ブレイクのハイゴージデザインの見本とすること目的に仕立てました。
生地もこの冬の当社ラインナップの中では最高品質の伊ロロピアーナのSUPER110'Sです。
色も30代には刺激的なブラウンで。

◎特徴
  1. ハイゴージデザイン
    ちょうど今年の春に新着情報で紹介したハイゴージデザイン。
    あの時Vゾーンの高い3つボタンのトレンドの次は『ハイゴージ』かも知れない!と書きましたがこの秋冬はまさにハイゴージ一色です!!(実はしてやったりと思っていたりして・・・)
    でも、普通の人に『ハイゴージ』っていってもなかなか分からないですよね。
    そこで自分のスーツにトレンド性を加えるのと共に、どうせ自分のスーツは展示用になるのだから『ハイゴージの見本になるようなスーツにしてしまえ!』ということでハイゴージにしてみました。
    簡単に説明すると・・・写真A(ハイゴージ)B(普通のゴージ)を比較すると上襟と下襟の角度がそれぞれ違うのが分かると思います。
    この上襟と下襟の境目の角度が地面に水平になればなるほどハイゴージです。
    こうして比較すると見た目にもすぐ分かるかと思いますが、ハイゴージにすると見た感じとても上品になり襟元がスッキリします。
    今年のは夏まで人気の高かったVゾーンの高い「3つボタンボタン位置高め(写真C)」デザインと比べるとボタンの位置が気持ち下に下がり、一方ハイゴージになったことでVゾーンの上も広がり全体的に、Vゾーンが上下に広がった感じですね。
    (写真Aは2つボタンですので一概に写真C(3つボタン)とVゾーンの高さは比較できませんが・・・)
    これがこの冬の特徴です。


  2. 細身のシルエット
    実は最近ちょっと太ってしまったSHOPMASTERですが今回はそれをカバーすべく(?)細身のパンツにこだわってみました。
    サイズ的にどう違うかと言えば・・・
     
    (従来)
    (今回)
    ・渡り幅(太ももの太さ) 34.0cm 31.5cm
    ・ひざ幅 27.5cm 24.0cm
    ・裾口幅(ズボンの裾の幅) 23.0cm 21.5cm

     これ位の違いになるとパッと見で分かると思いますが、これで私もスリムに変身? 結構女子社員にも人気でした。
  3. キュプラ裏地と別色パイピング
     以前にも何度か『「生地の色」と「裏地とパイピングの色」を変えるとお洒落!』とご紹介しましたがSHOPMASTERがこれを実践しなければさすがに説明が付きませんね。
    でも何着も見本服を作ると・・・自腹には堪えます!!(社員割引は効きますが原則自腹!!)
    そこで!余計なコストを削りながらいかにお洒落にするか?
    悩んだ末・・・パイピングを余ったハギレで代用することにしました。
  4. ちょっと一言・・・『ハギレ』とは?
     当社の様な生地屋ではご注文の度に生地を切っていくと反物の最後の部分が出たり、生地の途中にキズがあってどうしてもそこを取り除けなければならない時など、中途半端な長さの生地が発生します。
    これを通称ハギレといってある種『ゴミ』となってしまうことがあるのですが、これを有効に活用するのが『
    賢い生地屋』なのです。
    例えば、紳士物の生地でしたら1.4m以下の長さの生地はズボンにもなりませんので本当にゴミなのですが、これを発想の転換で婦人物のスカートにすれば0.7mまでは充分使用できますので、女性の方にも喜んでいただけます。
    当店ではこういったハギレを有効に利用することで原価を抑えて安価なオーダーを実践しています。

    ということで、私のパイピングは裏地ハギレの中から色の合う物を選び使用することにしました。
    言わなきゃ誰も分からないでしょ?
  5. SHOPMASTERならではのこだわりパーツ
    D管留め
    ・・・当店でお台場仕立てにされた方には無料でお付けしている『D管留め
    生地とコントラストを出して目立つ色にするのもお洒落ですが、今回はシックな色にしてみました。
    最近色んな雑誌でこのD管留めが流行っているらしく、目の肥えたお客様からは当店の『カラーD管』はひときわ目を引くとのことです。

    内ポケット周りにスウェードの玉縁
    ・・・お客様にこれまで出したことのないお洒落なスーツにしよう!と思い、ポケットの縁取りにこだわりを見せスウェードの生地を使用してみました。
    どうですか?ブラウンの生地だから特に綺麗に映っているのかもしれませんが高級感がグッと増しとてもお洒落でしょ!
    でも、実はこのスウェード、実は3.と同じく余ったハギレ(正確に言うと倉庫に眠っていた反物)だったんですよ!
    先日倉庫を開けて在庫のチェックをしてみたら、『出てくる出てくる・・・
    スウェードだけで7色も・・・当社は卸部門が全国のテーラー・洋装店さん等に生地を卸売販売しているためかなりの在庫を持っていますが「さすがです!」今のご時世で販売用以外にこれだけの在庫を持っているなんて!
    ということで、ちょっとでも在庫整理の役に立てば・・・ということでスウェードを使用しました。<br>
    (お台場仕立てをご希望の方に無料でサービスいたします。)

<2着目>
日本毛織製生地使用 タキシード
・・・スーツ上下 53,000 円
 30を過ぎるとそろそろ友人の結婚式に呼ばれる機会も減ってくるのですが、この秋は違っていました。
前職時代の友人に加え、大学時代のサークルの仲間が2人出費も多く大変です!
ですが、『武士は喰わねど高楊枝』お金はなくても仕立て屋としてそれなりにお洒落をせねば相手にも失礼だし・・・
ということで奮発してタキシードを仕立てました。
ありがちなタキシードというのは襟の形がレディースでいう『ショールカラー』メンズの言葉では『ヘチマ襟』です。
何故ヘチマかというと形が「ヘチマ」そのものだから!
でもありがちなデザインは良くないのでちょっとお洒落に『ピーク襟』にしてみました。
ダブルブレストのスーツではよくあるデザインですがこれをシングルのスーツに使用して襟の部分だけ「拝絹」にすれば若々しいタキシードの出来上がりです。
結婚式でも結構評判が良かったです。

<3着目>
ハーディーエイミス製 マオカラー(バーズアイ柄)
・・・スーツ上下 57,000 円
 このマオカラーもフォーマル(結婚式)用に仕立てました。
マオカラーは中国毛沢東時代の正装ですから、結婚式はもちろんパーティー場合によっては不幸の際にも着用できます。(但し不幸の場合、色は黒か濃色が原則)

実は、私今回仕立てたバーズアイ柄で、以前別メーカーの生地で仕立てたスーツを持っていました。
普通上下を別々に作るとスーツというのはコーディネートすることを別にすれば上下で同じ色・柄というのは絶対に見つからないのですが、バーズアイ柄だけはどうしてかどこのメーカーでも殆ど同じ企画で上下別メーカーにしても見分けがつきません。

これぞまさしく金欠時の発想!!
ちゃっかりものの私はジャケットだけ仕立てることでコストを削減しました。
お陰でスーツ上下57,000円が37,000円で済みました。(ジャケットはスーツ価格の65%)

また、出来上がり試着した後で分かったことですが、結婚式等の晴れやかな場では既存の礼服のズボンと合わせればぐっとフォーマル感が増し、一部の社員からは料理の服部先生みたいだ!と言われました。似てる?

<4着目>
G7008-N King's Road製 Super100'S(チャコールグレーストライプ)
・・・スーツ上下 57,000 円
 今年の一番人気の生地がG7008というチャコールグレーに黄色のストライプを這わせた柄なのですがこの反物55mがそろそろ品切れしそうだ!ということで急遽仕入れたのが同じメーカーの色違いの生地G7008-Nです。

デザインはこの原稿を作成している11/3現在、思案中なのですが・・・
本稿で色々こだわりを書いた以上は気の利いたこだわりを持たねば・・・というプレッシャーに苛まれています。

とりあえず基本デザインは・・・3つボタンの3ピース(ハイゴージ)
◎特徴
  1. ハイゴージはハイゴージでも目一杯ゴージを高めた
    (仮称:ハイエスト ハイゴージ?)にでもしてみましょうか?
    ・・・ちなみに目一杯ゴージを上げると着用したとき肩のラインと平行位までの高さになります。

  2. ベストは『ちらり見せ
     今年はいつになくベストの人気が高いですが、その中でも3ピースとして着たときにベストが見えすぎない『ちらり見せ』の人気が高いです。
    写真は東京店の○○さんがスーツの出来上がりを引き取りに来られた際にぱちりと撮らせて頂いたのですが、この位の「チラリ感」が人気です。
    ちなみにこの微妙なバランスはミリ単位で指定するため、採寸する側にも若干のテクニックが必要になります。
    ご希望の方は事前に採寸する者にご希望の旨をお伝え下さい。(当店に限らず他店でもですよ!)

  3. もちろんベストは襟付きで・・・
     この秋冬もやっぱりお洒落な人は襟付きのベストですね。
    そんな中でも本当におしゃれな人は、胸ポケットを追加したり、腰ポケットにフラップを付けたり、懐中時計用のフックを付けたり・・・
    さて、さてどこまでこだわろうかな

SHOPMASTERより一言・・・古いスーツはどうしているの?
 私が各シーズンにこれだけスーツを仕立てると着なくなったスーツをどうしているか皆さんも疑問に思うかも知れません。
そこでちょっとだけ言い訳をいたしますと、私は物を大切にしない人は嫌いです。
ですので当サイトでも古くなったスーツを水洗いで綺麗にしたりして長く着用することや余ったハギレの有効利用などを積極的にご紹介しました。
が、いかんせん仕事上、私はどうしても普通の人の倍ぐらいはスーツを自分用に仕立てなければなりません。

そこで、まだ着れるのに着なくなったスーツは・・・『福祉協会』に寄付しています。
実は家内の実家を通じてのことで私は良くは分からないのですが、私の寄付した物がどうやらフリーマーケットなどに出されその収益金相当が福祉協会への実質的な寄付になっているようです。
(仕立ては良いので高く売れるのかな?)
当社では自社のスーツ販売の見返りとしての『スーツ下取りセール』は実施していませんが、本来のボランティア精神に基づくこのようなご寄付でしたら今後お受けすることも検討したいと思います。