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オーダースーツのヨシムラ
新着レポート

 この春のスタイル 〜大阪Shopmater編〜
一雨ごとに春の気配がより身近に感じられますね。
こちら関西では春のセンバツも始まり球春も真っ盛り。球児たちの溌剌としたプレイは長い冬から、日差しもまぶしい春への季節の変わり目を実感させてくれます。
そこで重いコートを脱ぎ捨てて...とばかり、やや遅蒔きながらも今シーズンの代表的なスタイルをご覧に入れたいと思います。
..と、毎度のことながら前フリが少々長くなりましたが、実は私のスーツとシャツが今回のネタという訳です。
春夏のスタイリングはどんなのにしよう?と日夜お悩みの皆さんの背中をドーンと押してみようというのがその魂胆です。
(決して反面教師と言う意味ではありませんので、念のため)

それでは、まずはスーツからどうぞご覧下さい。

素材
G9088 Newzealand Wool  SUPER 110'S
紺地にオルターネートストライプ
>>>今回は絶対にストライプ柄を!と色々と思案の結果、この生地に決めました。
好みもありますが、この柄はサンプル帳で見るとちょっとストライプが強く見えすぎて皆さん腰が引けてしまうと思い、自分が実際にスーツに仕立ててWebや店先で披露した方が皆さんに仕上がりのイメージが掴みやすいかな?と思いこの素材に決めました。

素材は、細番手でありながらハリ感に優れ、柄も今の流れをリードするオルタネートストライプ。
季節感を意識して、紺・グレー・チャコールグレーの3色の中から私としては珍しく(?)正統派の紺地を選んでみました。
ウールはニュージーランドからの輸入ですが、国内にて紡績した逸材です。
こういったストライプはサンプルで見るとちょっと『ヤ○ザっぽくて怖い!』と思われがちですがこうして仕上がりのスーツを目にすると、意外と落ち着きも出てとてもお洒落です。
シンプルなストライプが目立つ昨今ですが、やはりコレくらい主張できないとトレンドとは言わせません!。
またこの柄は、どちらかと言えば案外私のような年配の方にお勧めしたい素材です。

デザイン
2つボタン
>>>思い起こせば、東京ショップマスターが昨春の新着情報で3つボタン中掛けについて『個人的にはこのトレンドは今シーズンが最後だと思う』と書いていましたね。
まさにその通りで、残念ながらここへ来て3つボタンはその主役の座をとうとう2つボタンに譲ってしまったようです。

ハイゴージB
>>>こちらは今のところ安定勢力で、ボタン位置高めとのバランスも良いと思います。

フロントのステッチは5ミリのミシンステッチ
>>>私のお気に入りのタイプですが、AMFのピックよりはやや若やいだ印象です。(ちょと無理したかな??)

センターベント
>>>サイドベンツ全盛にもやや陰りが見られセンターの出番は多くなって来ています。
ただ気を付けたいのは、全体にスリムにしないとセンターはただのオジサンスーツに見られる危険性をはらんでいます。

パンツはノータック
>>>美脚パンツの流れから一気に脚光を浴び、今やベーシックとなりました。
『タックなしはスリムサイズでないと。。。』とは言われますが、案外お腹の出た体型にもモモ幅が細く仕上がり、格好良く見えますのでオススメです。
またこれからの梅雨時への対策として、シロセット加工も忘れずに付けました。

いかがでしょうか?全体にはそう特筆すべき点はありませんが、
『サイズさえ変わらなければ5年先まで着られるこれからのデザインはコレだ!』(←長すぎる!?)とのコンセプトで仕立ててみました。

そして最後にお値段を...
スーツ仕立て上がりで53,000円とは、オプションでキュプラ裏地や台場をつけても6万円でオツリがきます。

シャツ

春夏は上着を脱いだシャツ姿も男のチャームポイント。
私も余り仕立てる事の少ないシャツですが、雑誌で久しぶりに見かけたピンホールタイプに矢も楯もたまらず仕立ててみました。

最近は滅多に見ないデザインですので「そもそもピンホールってなに?」と思われる方も少なくないかと思いますが、ピンホールとは衿に穴が開いていて、その穴にピンを通し首元を止めるタイプです。
とにかく画像をご覧頂ければ一目瞭然ですが、かなりこだわりの強いデザインです。
...と、ウンチクのひとつも語りたがるのが年寄りの悪いクセですが、ピンホールが姿を消してはや30年余り。
一部の好き者にのみ、そのスタイルを細々と受け継がれてきたのですが、時は来たり
ナローブームのトレンドに乗り脚光を浴びるようになった次第です。
ただ、その昔は素材もポリエステル混の安価なタイプが多かったように記憶していますが、今となればやはりコットン100%に留めを打ちます。
それでは理屈はわかったけど、画像を見て「これ、どうやってネクタイ結ぶの?」という初心者の方のために(恥ずかしながら当社の若手スタッフもです)ご説明するといたします。

1.最初にピンのアタマを取っておきます。
2.衿は第1ボタンまできっちりと止めます。
3.ネクタイを結びます。
4.最後にネクタイの下をくぐらせて衿にピンを通し、
 片方にピンのアタマをはめて終了!!

...と簡単に書きましたが最後の4.の作業は少々大変で、朝の急ぐ出勤時にピンが入らずかなりイライラとアタマにきます。(特にピンのアタマがすぐどこかへ行ってしまう!)
ですので、出来れば奥様か彼女にお手伝いしてもらうに越したことはありません。
もちろん逆も真なりで、家へ帰って「あ〜疲れた〜ひとまずネクタイを外して、、、」と言う気分の時にこの作業をやるのは、はっきり言ってうっとうしいです。

...こう書くとデメリットばかりのようですが、しかしこだわりとはそういうものですね。
ここ数年デュエボットーニを始めとする衿高ワイド路線のシャツ市場に真っ向から立ち向かうには、コレくらいの手間をいと惜しんでいられません。

・・・と、ひとまずここまではピンホールの付け外し方法がメインでしたが、肝心のスタイルはこんな感じです。

衿 型
>>> 基本的にはレギュラーロングポイントです。
ワイドですとピンの長さが届きません。またネクタイもナローな細めがおすすめです。

ピ ン
>>> たかがピンですが、このピンにこだわる人も結構多かったりします。
ちなみに、当社のはベーシックなデザインで色もシルバーですが、中にはゴルフクラブなどのデザイン物もあるようです。(あいにく当店では取り扱いしていませんが)
また、本来は安全ピンを衿に刺したようで、廃刊になった「DORSO」の表紙を2号連続で飾ったクラークゲイブル、フランクシナトラという2大スターの衿元が、いずれも安全ピンのピンホールカラーだったのは印象的でした。
ただ、それを今我々がやるとなるとちょっぴりの勇気と周りの理解が必要ですね。
それ以外には、着脱の簡単なタブ式のピンもありますが、ここはひとつ当社の本格ピンホール仕様にこだわってみて下さい。


>>> 本格的にはダブルカフスでびしっとゆきたいのですが、あいにくカフスボタンの用意がなく、シングルに収まりました、トホホ...

サイズ
>>> 当然オーダーですのでいずれのサイズにもなりますが、やはりここはスリムに仕上げてみました。

着こなし
>>> デザインとしてはドレッシーさやフォーマルさを醸し出すのがポイントです。
ジャケットなどのカジュアルライクなスタイルは想定外です。
最大のポイントはこれからの季節、首元が暑苦しくともネクタイはゆるめず、涼しい顔で凛とした姿勢での着用です。

以上、勢い込んでご案内してみましたが、ついでに申し上げれば流行りのアンタイドスタイルには似合いません。
またネクタイがないと間が抜けますからご注意を!!

ちなみに肝心のお値段ですが、ピン代込みで通常のシャツのお値段に+525円でとってもお買い得。
当店では実店舗に限りオーダーシャツの販売もしております。
お値段は税込8,000円/9,500円/12,500円の3種です。
ご興味の方は実店舗で是非ご相談下さい

最後にひとこと、、、
ピンホールは「おぬしやるな」のイメージも強いデザインですので、一般的に取り上げられるかどうか難しいところです。
でも、余分な所に気を使うのがそもそもオシャレですから、実用性はひとまず横へ置いといて、手間のかかる味わいをお楽しみ下さい。

今回は私のスーツとシャツをご案内してみましたが、実は東京ショップマスターのスーツがただいま遅ればせながら、私に負けじと制作中です。
ビンテージ柄に特別仕様と手の込んだ一品になりそうで、コチラも乞うご期待です。