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フルオーダー開始します。 |
そろそろ秋風が心地よく吹き渡る時期になってきましたが皆さんいかがお過ごしですか? 春先と共に一年中で一番心地良い季節ですね。 さて、先月の新着情報では当社がフルオーダー縫製工場を買収したことをご案内いたしましたが、早くもそのシナジー(相乗)効果が表れてきましたので、今月の新着情報では早速その案内をいたしたいと思います。 当店はあくまでイージーオーダーをメインとする仕立屋ですが、イージーオーダーのその先に何があるかをお知りになりたい方は必見ですのでこの機会に是非ご覧下さい。 なお、本稿は近い将来縫製工場専用サイトを立ち上げるために暫定的に作るページです。 このため通常新着情報としては内容が大きすぎますが、いずれ整理いたしますのでどうか御容赦下さい。 |
■ 当店の基本的なコンセプト ■
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当店ではこれまでコストパフォーマンスに優れたイージーオーダーのみの取り扱いでお仕立てを行って参りましたが、昨今お客様の縫製面での上質指向、素材の高級化、自社の技術力向上等により縫製の全てを手作業を中心としたフルオーダーでの商品提供することが可能になりました。 基本的な考え方としては次のように考えております。 |
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■ 基本仕様 ■
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お仕立てに当たっての基本仕様は次の通りです。 |
1.基本デザイン
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>>> フルオーダーというと、どうしても古くさいイメージをお持ちの方がいらっしゃるかと思いますが、当店ではよりトレンド色のあるイージーオーダーを主体として長らくお仕立てしておりますので、基本的なシルエットはデザイン性に優れたトレンド色のあるデザインを基本とします。 既に当店の(イージーオーダー)リピーターの方はご希望に応じてそのモデルから型紙のベースを作ることにより、よりスタイリッシュなフルオーダーが可能になります。 |
2.仮縫い付き
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>>> 仕立て上がるまでお客様にもお店にも手間が掛かるのがフルオーダー。 その最たる作業がこの仮縫いです。 例えばイージーオーダーでは体型補正は5ミリ単位で行うのが一般的ですが、仮縫いを経て行いますと、微妙な部分は全てピンを打ちミリ単位以下の補正を行うことで身体にフィットさせていきます。 また、仮縫いの際にはサイジングや体型補正以外では次の指示が可能です。
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3.外見的なディテール
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>>> 外見的なディテールはお客様のご希望に応じて対応しますが基本的には次の仕様となっています。
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4.見えないディテール
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>>> また一般的に外からは見えないスーツ内部のディテールとしては次の通りです。 ・本バス芯使用 ・接着芯完全不使用※ ・個別型紙管理 ・ハ刺し ※:軽い仕立て等ご希望に応じて 対応することは可能です。 |
5.縫製期間
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>>> 仮縫いまで最短1週間、仮縫い後本縫いに入り仕上がりまで最短10日間。 ただし、これは純粋にこの作業に掛かる時間ですので、他のオーダーが入った場合は当然の事ながら余計時間が掛かりますのでご了承下さい。 |
■ ご注文から仕上がりまでの流れ■
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フルオーダーでは従来のイージーオーダーと違い仮縫いが入る分、一手間多く掛かります。 このため、次のようなタイミングでお客様とお店で打ち合わせをしなくてはなりません。 お客様にとっても時間的なご負担が掛かりますが、これもまたサービスの一環ですので、面倒と思われずにどうかこの過程もお楽しみ下さい。 |
1.基本の採寸とデザイン決定
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最初の打ち合わせは基本の採寸とデザイン決定を行います。
フルオーダーでは、仮縫い時に補正とかなりのデザイン変更が出来るため、ここを軽視するお店が多いですが、ここでのデザインやサイズ決定が不十分ですと、仮縫い時の仕上がり(見た目)がご自身のイメージに合わず、お客様が不安になることが多いですので、軽視できません。 しっかりとご自身のお求めになるスーツのイメージをお店にお伝え下さい。 反面、当店のリピーターの方がフルオーダーをお求めの場合は、既存デザインにご不満がないようでしたらそちらを元に仮縫いし、その後 補正デザイン変更を加えていくことも可能です。 |
2.仮縫い
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フルオーダーで一番大切なことは仮縫いです。
仮縫いでは細かなデザイン変更や体型補正が可能ですので、ここでご注文のスーツが成功するかどうか決まると言っても過言ではありません。 そのためにも、仮縫いの際は身体にフィットしているかどうかを判断するため、Yシャツと革靴でお越し下さい。(Tシャツ等ですと袖丈の好みがお客様にとっても分かりにくくなってしまうためです) またパンツについては股上の深さを決めるためベルトの持参もお願いいたします。 当店では作り手の顔の見える工場を目指しておりますので、仮縫いの部分は出来る限り工場担当者も同席し接客してもらう予定です。 |
3.フィッティング(納品)
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仮縫い後本縫いに入り約10日(時期によって変わります)
これでようやく最終仕上げに入ります。 是非、フィッティングにお越し下さい。3面鏡をご用意してご来店をお待ち申し上げます。 |
■ 料金制度■
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料金は当社直営工場ならではの安心価格で実施します。 また注文服業界は2月と8月の閑散期にご注文が激減するため、その時期には閑散期シーズン料金を実施します。 |
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<ご参考まで:工賃高いか?安いか?> 腕の良い職人は上着1着を手縫いで行う時、1週間で2着(月9着)仕立てることが可能と言われます。 これを↑価格表に当てはめてみるといかがでしょうか? 60,000円×9着=約540,000円です。 そこから裏地や芯地、ボタン等の費用、配送コスト、仮縫い等々のコストがかかります。この道20年の職人に対しての最低限の賃金とお考え下さい。 |
■ 技術力 ■
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技術力を文字で書くことは非常に難しいですし、書いたとしてもそれは自己満足の世界になりますので詳細は下段の各工程での説明(動画)に委ねますが、皆さんのお仕立てをする本工場は、販売価格20〜30万円の一流デパートのフルオーダー注文をお受けしている工場です。 また、総責任者である吉井工場長は、英國屋時代 故田中角栄元総理や中曽根康弘元総理の仕立てを担当したり、本工場に移ってからはノーベル賞を受賞した小柴教授の燕尾服のお仕立てを担当しました。 それらの点からも技術力は推察できるか思われます。 |
■ 各工程の説明 ■
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ここではフルオーダーでお仕立てする課程をじっくりご覧いただくため、縫製工程の代表的部分をいくつかに分け動画と静止画、そしてテキストで説明いたします。 | |
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裁ち合わせとは型紙が仕上がった後、生地にこの型紙を当て裁断する作業。 1.で加えられた補正情報を元に、平面的な生地を立体的な身体に合わせていく第一歩がこの裁ち合わせです。 それだけにスーツの設計図になる仕事ですからミスは許されません。 担当するのはかつて百貨店でフィッターを受け持っていた市毛氏。 補正もそうですがフィッター経験のある者が裁ち合わせをすることで、販売者(=お客様サイド)に近い感覚で裁断します。 生地をカットする鋏は30年もの年季の入った刃渡り30センチの伝統工芸品。 一回でも下に落とすと刃がこぼれますから、管理も大変です。 良く研がれた鋏と上質の生地の相性は良く、裁断するときはシューッと歯が柔らかに進みます。 また、この裁ち合わせでは無駄のないように生地を使うことも技術の一つ。 普通イージーオーダーでは1着分3.0〜3.2mの生地を使いますが、フルオーダーでは2.8〜3.0mで1着分の生地とします。 |
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人間の身体は円柱形です。 しかし、そこには厚みのある胸板、そしてヒップがあり、その間の中間にはくびれたウエストがあります。 そしてウエストのくびれを如何に表現するかで、スーツの立体感が変わってきますが、このくびれを形成するのに重要なファクターがダーツ処理です。 ウエストのくびれは、例えば脇からだけ詰めるとスーツは平べったくなります。 一方で背中だけでウエスト絞りを作れば後ろ身頃が突っ張ってしまいます。 胴回り全体でバランス良く少しずつ絞っていくことが美しいシルエットのため大切なのです。 ダーツ処理が終わると、次は見頃に対して芯地を張っていく作業(芯据え)になります。 芯地はフルオーダーでは特別お客様からのご要望がなければ毛芯のみを使います。 柔らかいクタッとした仕上がりを希望の方には不向きですが、この毛芯が着用するときに胸の厚みを際だたせ、カチッとした重厚感ある仕上がりをもたらします。 当店では本バス毛芯をベースに数種の毛芯を素材や場所に応じて使い分けています。 またこの過程でポケットを作ります。 機械で行えば、バチーンと一瞬でできるポケット作りもここでは手作業で行います。 ポケットの縁取りである玉縁部分など丁寧に仕上げます。 |
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『スーツは肩で着る』という工場長の言葉からも肩入れはオーダースーツでは最重要ポイントです。 画像をご覧下さい。
仮縫い段階では、肩の縫い合わせは背中側の方がたるんでいますよね。 これを肩入れ作業により背中側の生地を身体の前肩具合に合わせてアイロンワークで前に縮めていき肩を作ります。(片方の肩だけで背中側を1.0〜1.5センチほど縮めます。) 仕上がりは、ほらっ、背中側の生地も綺麗にシワが伸びていますね。 こうやって生地を縮めることで肩線を形作るのがフルオーダーの特徴です。 イージーオーダーでもこの工程は行いますが、生地をじっくり伸ばす時間的(技術的)ゆとりがありませんのでこの部分を接着芯で裏側からピッタリ糊付けします。 糊付けにより確かに見た目にピッタリくっつきますが、本来の身体の肩線に沿った肩の縫い線にはなかなかなりません。(この辺がイージーオーダーの限界です。) |
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首周辺のお仕立て特に襟を付けること、これも緊張する作業です。 襟は、綺麗な仕上がりのためには適度な堅さを持たせる必要がありますが、この堅さ調整は襟芯で行います。 当社の襟芯は、堅く膠(ニカワ)付けした物を使い、これを湯通しして柔らかくしますが、この時間を調整することで襟芯の堅さまで調整します。 (仮縫い時の上襟はこの堅い膠付けした芯をそのまま使いますので是非触ってみてください。) そして、体型補正の状況と合わせて襟付けすることで肩から首に掛けてのカーブに沿った襟作りをします。 これが綺麗に出来ないと、襟が抜ける状態になったり、着用すると疲れるスーツになります。 また、この体型に合わせる作業では通称「殺し」と呼ばれる「いせこみ」の技術が必要になります。 これは扇型の上襟を作るためには扇形の上部(首に接する部分)の生地をアイロンワークで縮めていくことを言いますが、上襟の仕上げには他にも背中側の生地との柄合わせも同時に行わねばなりませんから とことん高度な技術が必要になります。 このため当工場では上襟をお作りするだけで、1時間以上の手間を掛け作業いたします。 |
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いかがでしたでしょうか? 時として機械でやればものの数十秒で終わることを一つ一つ丁寧に手作業で仕事をする美しさ...これはさながら手巻きの機械式時計のようなものです。 正確さではクォーツにかなわないことは誰もが知っている筈なのに... それでも人を魅きつけてやまない。それがフルオーダーなのです。 |