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オーダースーツのヨシムラ
新着レポート

 コートについて
木々は色づき、? ? も深まって参りました。
地球温暖化と騒がれている昨今ですが、冬将軍の南下もそろそろ...といった季節ですね。

さて、今回の新着情報では、来るべき真冬(1〜2月)の底冷えに備えるべくオーバーコートについて、デザインの種類やサイズ、コート向け素材等々ご紹介したしたいと思います。

まず、コートと聞くと皆さん何を想像されますか?
防寒用...?
チェスターコートは英国紳士のイメージ、ラグランスリーブはちょっと女性っぽい?
ダッフルコート?ピーコート?学生時代が懐かしいな〜。


のような感じで、きっと皆さん実用に根ざしたお答えではないでしょうか?

でも、ちょっとファッションにうるさい本を紐解きますとこんな事が書いてあります。
(以下ベルンハルト・レッツェル著GENTLEMANより引用)

オーバーコートは、かつて社会的な階級の違いを強調するのに一役買っていた。
オーバーコートを着るのを手伝ってくれる人は、社会的に下位に位置する人であった。
今では、こんな風に他人に仕えることを強いられる者は誰もいない。
ただし、年上の人や大切に思う人には、敬意を払う意味で手伝うことはある。
こんなささやかな、手助けの意思表示が次第に見られなくなっているのは残念なことだ。
礼儀というものが大切にされなくなりつつあるだけでなく、オーバーコートの文化も消えつつあるからだろう。

最後の行だけは余計な一言かも知れませんが、コートを通じて欧米文化までを映し出す、何とも奥の深い一文ですね。

さて、こんな奥深いコートですが、それでは早速当店でオーダーが可能なデザインを中心にご紹介いたしましょう。

□■□ デザインについて □■□
デザインは大きく3種類です。
英国紳士を彷彿させるデザインからレディースに多い物まで次の3つが代表デザインです。
に当店のコート用オーダーシートも掲載しましたので併せてご覧下さい。

チェスターフィールドコート
チェスターフィールドコート(通称チェスターコート)は19世紀頃英国で流行したデザイン。
チェスターフィールド伯爵が発明したという云われもありますが、真偽の程ははっきりしません。

そしてデザイン的な特徴は次の通りでスーツ(上着)に近いデザインです。

付け袖(セットインスリーブ)
>>> スーツ同様に肩先から袖がスタートする付け袖タイプ

スーツライクな胸ポケット 、腰ポケット付き
>>> この辺もスーツ同様に胸ポケット腰ポケットがあります。チェンジポケットやハッキングポケットにすることでよりシャープな英国調の雰囲気になります。

強めのウエスト絞り
>>> 言葉では分かりにくいですがこれが一番の特徴かも知れません。
ウエスト絞りが強いため胸の厚みが強調されて男性的な力強さが出ます。
ややタイトでカチッとした印象です。


はノッチ衿orピーク衿
>>> 打ち合いのシングルダブルに限らず、シングルピーク衿などもごく一般的です。

はボタン留め
>>> チェスターコートはスーツに近いイメージのため袖先はボタン留めです。

ちなみに、ここ数年メンズではスーツのトレンドがイタリア物から英国調の物に移り変わりつつあることからか、このチェスターフィールドコートに人気があり、当店東京、大阪両SHOPMASTERともこのチェスターフィールドのコートを自分用に作っています。

どうですか?チェスターフィールドコートには先にご紹介した「他人に脱ぐのを手伝わせたくなる」ような威厳がありますよね。

ラグランスリーブコート
コートの袖が肩先からではなく、首の付け根から始まっているようなデザインの袖をラグラン袖(ラグランスリーブ)と言いますが、これを基本にしたコートをラグランコートと呼びます。
特徴としては、次の通りです。

着心地は着やすく、やや女性的なシルエット
>>> チェスターコートと比べるとゆとり量が大きいためとても着やすいのが一番の特徴。
コートは一生物だから...という方には身体の線が崩れても着れるこのラグランコートがオススメです


の形は、ステンセミステンバルカラーの3種
>>> 女性的なデザインのラグランコートにはチェスターコートのようなジャケットタイプの衿(ノッチ衿・ピーク衿)は似合いません。
そこで使われるのがこの3種。皆さんもよくご存じの衿型です。
それ故、ステンカラーコートと称されるコートはこのラグランコートが一般的です。(厳密なステンカラーは第一ボタンまで留めるため男性にはちょっと首元が苦しくなるためメンズではセミステンカラーが一般的です。)


胸ポケットなし
>>> スーツのイメージから遠いため胸ポケは「なし」です。

ポケットは手を入れられやすく大きく斜めに付けたウェルトポケット

袖先タブ
>>> チェスターコートがスーツライクなボタン留めの袖先なのに対してラグランコートはタブを付けて女性的にするのが一般的です。

フロントはボタンが表に見える打ち抜き仕様かボタンが隠れる比翼仕様
>>> これはチェスターコートも同じですね。


ボックスコート
ラグランコートとチェスターコートのちょうど中間に位置するのがこのボックスコート。
特徴は次の通りです。

付け袖
>>> チェスターコート同様肩先から袖がスタートするセットインスリーブ

衿 型
>>> 衿型はチェスター的なノッチ衿からラグラン的なセミステンカラー ・バルカラーまでおかしくなければ何でもあり。

脇ポケット
>>> これもラグランコート同様ウェルトポケット

ウエスト絞り
>>> ウエスト絞りはラグランコートほどゆったりさせず、さりとてチェスターほどタイトでないスーツで言えばアイビーやトラッドのようなダーツなしのやや寸胴なシルエットが特徴です。

つまり、全体を通じて、良くも悪くも(チェスター+ラグラン)÷2というのがボックス型の特徴です。
胸ポケットはなし
>>> スーツのイメージから遠いため胸ポケは「なし」です。

ポケットは手を入れられやすく大きく斜めに付けたウェルトポケット

袖先はタブ
>>> チェスターコートがスーツライクなボタン留めの袖先なのに対してラグランコートはタブを付けて女性的にするのが一般的です。

フロントはボタンが表に見える打ち抜き仕様かボタンが隠れる比翼仕様
>>> これはチェスターコートも同じですね。

また、ちょっと脱線しますが、ブリティッシュウォーマー※1ポロコート※2と呼ばれる種類のコートもこのボックス・コートのタイプに属します。(ご参考まで)
※1ブリティッシュウォーマー
第一次世界大戦時、イギリス陸軍士官用が着用したコート。肩章がポイント。
※2ポロコート
ポロ競技観戦用のコートとして普及したもので、ダブル仕立てで、フレームドパッチドポケット、背バンド、折り返し付きの袖口といったディティールが特徴的。キャメルヘアーで作られるのが本格的。

以上、コートの基本3類型をご案内いたしました。

続いて今度は仕立屋らしいことを少し...
コートをオーダーする際のサイズ決定のポイントについて...

□■□  サイズの目安について ・ ・ ・ □■□

コート丈
まずは、一番大切なのはコート丈です。
コート丈も流行がありますので断定的なことは申し上げられませんが、一つだけいえることはヒザが基準になることでしょうか?

一般的には膝下5センチぐらいがごくごく一般的なコート。
最近流行の7分丈※3というのは大体膝上5cmpぐらいの長さを言います。
最終的には着る人が重厚なイメージで着たいなら丈は長めに、軽快に着たいなら丈は短めにするのがBESTでしょう。
※3:よく7分丈3/4丈と雑誌に書いてあるので『何が1(基準)なのか?』以前大阪SHOPMASTER清水氏が雑誌LEONに聞いてみたことがあるそうですが、清水氏曰く「編集部もはっきり分かっておらず言葉だけが先行しているようだ」とのこと、
う〜ん、難しいですね。

ゆとり量
コートのサイズでは肩や胸回りのゆとり量も大切な要素です。
先述のようにそれぞれのデザインによってイメージする雰囲気が変わりますのでこれによって当然ゆとり量も変わりますが、その上でインナーは何を着るかによってオーダーの際にはゆとり量を調整します。

つまり、適度にゆとりがあるはずのボックスタイプのコートでもインナーにジャケットを着るのが前提になるか、それともちょっと厚手のセーターだけで済ますのか?とではゆとり量に差を付けるのが一般的で、私でしたら両者でしたら肩で1センチ胸回りで最低2〜3センチは差を付けると思います。
でも、この辺はお客様がどんなオケージョンでどんな風に着たいか?...にもよりますので全てはお客様と相談しながら決めていくのが一般的です。

サイジングの話が済んだところで、最後は当社の今冬のコート向け素材のラインナップをご紹介いたします。

□■□ 素材のラインナップ □■□

カシミヤ素材
そもそも、カシミヤは、インド北部の高冷地カシミール地方原産のカシミヤ山羊の毛。
春に脱毛した柔毛を梳き取って採毛しますが、一頭辺り150グラム〜250グラムの量しか採れず、一着のコート分には20頭ものカシミヤ山羊が必要です。

今年、当社ご用意しましたカシミヤは、J ROBERTSHAWのピュアカシミヤ(目付440g)。
チャコールグレー(BL1315)・ネイビー(BL1316)・黒(BL1314)の3色展開です。
シングルのコート価格:108,000円(税込)

☆★ ちょっと一言 ・ ・ ・サービス情報 ★☆
ピュアカシミヤコートは全てハンドメイド仕様に !!(ただし仮縫いなし)
先日カシミヤのコートを取り上げたサービス企画でハンドメイド仕様のコートをご提供いたしましたが、お陰様で大好評でした。
通常は50,000円のオプション料がタダになる訳ですからそれも納得ですね
そこで、当店のハンドメイド仕様を皆さんに広くお試し頂けるよう今シーズンは全てのピュアカシミヤコートをハンドメイド仕様でお仕立てします。
:一部デザインの関係でハンドメイド対応できないこともありますがその場合はご容赦下さい。

ピュアカシミヤはJ ROBERTSHAWから伊ロロピアーナ社製、伊ゼニア社製もありますのでこれはお買い得ですよ〜〜〜

アンゴラ素材
アンゴラはアンゴラ兎の毛を使用したものを言いますが、重さはウールの3分の一、暖かさは3倍と言われる程軽くて暖かい素材です。
生地をよく見るとウサギの毛らしく中にピンピンッと長い毛が入るのが特徴です。
こちらは、キャメル(BL1321)・ネイビー(BL1322)の2色を展開しています。

仕上がりは、ふんわりとしたシルエットが特徴でレディースで良く扱われる素材ですが、上記商品のお値段はシングルのコートで 83,000円(税込)です

□ その他 □
コートの生地はサンプル帳に掲載している物以外にもいくつかありますが、サンプルに掲載しているその他の生地としては...ロロピアーナのコート地がとても良い質感です。

 肉厚で原毛をタップリ使った贅沢なウールコート
 柄は、綾になったベージュとブラウン無地と定番のヘリンボーン。

カシミヤと違って、そこまで繊細な素材ではありませんので毛玉の心配もなく長く着用できる素材です。
お値段、シングルコートで 83,000円(税込)です。



折角ですので、コートに欠かすことの出来ないことを2つ程ご案内いたします。
★☆★ お手入れについて ・ ・ ・ ★☆★
コートには、結構目に見えない埃などが被っております。
高価なコートをいつまでも綺麗にお召し頂く為には、ブラッシングをしてあげることが大切ですし、日頃のまめなブラッシングで、クリーニングの回数も減らすことが出来ます。

特に、カシミア製品はクリーニングを繰り返すと繊維に含まれる油脂が洗い流されてカシミア本来の、ぬめりのある触感がなくなってきますので、出来るだけクリーニングに出さないほうが良いと言われています。
反面、着たきり雀をしてしまいますと、カシミヤは特に毛玉になりやすい特性がありますからこれも大変です。 ですから、皆さん コートを一日着用し家に戻られたら、生地の奥に入ったほこりを毛先ではね出すように、スナップを効かせて埃を払い、その後、表面を整えるつもりで毛並みに沿ってブラッシングするようにしてください。

★☆★ コートを引き立てるアイテム(マフラー) ★☆★
お手入れと同じようにコートに欠かすことの出来ないアイテムが、胸元のマフラー。
首元のマフラーはコートの防寒性も高めるだけでなく、コートスタイルのアクセントとして必要不可欠ですので、コートの色に合ったお気に入りの一枚をコーディネートしてみてください。

なお、当社でも、逸品通販コーナーで「ブラシ」「カシミアのマフラー」をご案内しておりますので、お持ちでないなければ是非どうぞ!! 当店ならではの特別価格です!



さぁ、これで皆さんの冬支度も完璧ですね!
どうぞこの冬も風邪など引かずコートで暖かく過ごしてくださいね♪