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 凄いゾ!大阪店フルオーダー
この冬は暖冬のせいか、お客様から「いつもより暖かくて真冬と言う感じがしない」とか「例年この時期は雪が降るんだけど今年はまだ降らないなぁ」なんて声が多く聞かれますが、皆さんのお近くではいかがですか?

奇妙な気候の昨今ですがそんな変な陽気には関係なく、大阪店では去る1月13日、14日の2日間、当社ハンドメイド工場から吉井工場長を迎えて恒例のフルオーダー受注会を開催いたしました。

東京店では毎週末に行っているフルオーダーの受注(仮縫)ですが、大阪店では現在のところフルオーダーをご希望になられるお客様の数が少ないこと、弊社の工場を熟知するフィッターが関西圏に育っていないことがネックとなり、頻繁には受注会を行えておりません。
    すみません....
そこで、大阪店ではシーズンに1度の工場長による直接受注会を行うことにしています。
この受注会の様子は今まで2回に渡りSHOPMASTER清水からご紹介いたしましたが今回は趣向を変えて私一野からの視点で改めてご紹介することにいたしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

それでは早速今回のお客様のご紹介いたしたいと思います。
受注会では沢山のご注文を頂きましたがその中から特に印象的だったKさんから・・・.

■ Kさんのご注文 ■
今回Kさんからは以前新着情報でご紹介したE Zegnaの15Milmil15でジャケットのご注文を頂きました。

このゼニアの15 MILMIL 15がどんな素材かと言うと、こちらの新着情報でもご紹介しましたのでご覧になられてない方は是非お読み下さい。
     >>新着情報 緊急予告!15milmil15入荷します!(06.10掲載)
そして、Kさんがお選びになったのはこの中のブルー地にグリーンの格子柄。
柄物という素材故にジャケットでのお仕立てとなりましたが、この生地でKさんはどのようなジャケットのデザインにされたのでしょうか?
早速ご紹介しますとこんな感じです。

デザインは・・・
生地
BL4802 画像の手前の柄
基本デザイン
シングル2つボタン シンプルに!
ゴージライン
ハイゴージ 今やハイゴージは長く続くトレンドとなりました。
袖口
本切羽3つボタン あくまでもベーシック
ベント
サイドベンツ
腰ポケット
フタツキ ごくごくノーマル
裏仕立て
角台場仕立て
裏地
キュプラ裏地、色:グリーン オーバーペインに合わせて!
ご覧の通り、素材を最大限に活かしたシンプルなデザインですが、永く愛用することを考えれば最適のデザインではないでしょうか。

仮縫いは・・・?
そして仮縫いの方はというと、お客様であるKさんと工場長との間でご体型の特徴やお客様のお好みなどを伺いながら仮縫いを進めていきます。

Kさんについては、実は当社でのフルオーダーが今回で2回目ということもあり、前回の型紙をベースに仮縫いを作りましたので、大きな補正はないはずだったのですが...
 ん?!、なにやら様子がおかしいぞ....!?? 
なんと!袖を外しているではありませんか?

何故ここまで・・・?
そう思って吉井工場長に改めて確認すると...
確かにKさんは前回の型紙は勿論使用した上で仮縫いを作ったのですが、体型補正については色々と考えて敢えて正体で仕上げたとのことでした。
※:正体とは体型補正を全く入れない標準体のこと

理由は、15milmil15という素材があまりに繊細すぎ、中途半端な体型補正を入れるとかえって分かりにくくなってしまうからでした。
(通常、フルオーダーのリピーターの方は質感が同程度の生地を使うのであれば以前使った体型補正込みの型紙を使用します。)

そこで今回は体型補正の点ではゼロからのスタートとなったため、肩が微妙な体型のKさんの仮縫いでは『えいやっ!』とばかりに袖を半分外しての補正と相成りました。
※補足:仮縫いにはそれぞれのフィッター毎の流儀もあり、毎回袖・肩を外して仮縫いを行うフィッターもいます。東京店の中嶋氏はその典型的な人です。
一方、吉井工場長はパーツを外すよりもピンで留めることを主とした仮縫いを行います。

吉井工場長
ピンで留める主義
東京店 中嶋氏
袖・肩ははずす主義

具体的にはどんな補正を・・・?
ちなみにもう少し細かくKさんの体型補正についてご紹介しますとこんな事をいたしました。
(これは仮縫い後に作成する補正伝票から読み取った体型補正内容です。)
前裾の拝み
>>> 「拝み」とは前の裾が重なること(イラスト内左下の青矢印の動き)を言いますが、Kさんは身体付きが反り身でしたので、この傾向が顕著でした。
そこで首の付け根の部分にゆとりを持たせること(イラスト内左上N点近くのパープル矢印)で、この部分を出し、イラストのパープル曲線のように裾を下げる(広げる)ように対処しました。
そしてこのためには首〜肩にかけての縫い合わせを一旦解き付け直す必要がありました。
この説明は技術的に凄く難しくWebでは詳述しきれずスミマセン。。。

肩先を出す
>>> Kさんのご体型的な事もありますが拝みを解消する過程で首周り〜肩先の縫い合わせを解き、肩先を出す(伸ばす)必要がありました。
イラストの中では真ん中のアームホール近くの赤矢印がその動きです。
このため袖は一旦外し、後からピンで付け直しました。

ヒップ周りのゆとりが不足
>>> このためケマワシといってヒップ周りのゆとり(イラスト内中央茶色矢印)を出すことにしました。
もちろんこれ以外の補正も沢山あったのですがこの場では割愛させていただき....無事終了
あとは、出来上がりを待つだけとなりました。Kさん長時間の仮縫い本当にお疲れさまでした。

出来上がりは・・・?
そして仮縫いから待つことおよそ3週間...ようやく出来上がって参りました!
早速出来上がりをご紹介しましょう!

どうですか!
さすがはゼニアの最高峰「15 Milmil 15」凄い質感です。
何と言っても仮縫いで外した肩のラインが綺麗に仕上がっています。
Kさんご自身の着用画像があれば先の拝みの問題も解消されていることが分かるのでしょうが、画像がなくて申し訳ありません。

シーズン的にもこの暖冬でしたらジャケット1枚で外出できる陽気ですのでKさんには早くお召し頂きたいものです。
(原稿作成時点ではKさんのご試着に間に合わず本人着用画像がなく申し訳ありません。)

以上、今回はたくさんのお客さまの中からKさんにスポットを当ててフルオーダーの様子をご案内いたしました。

え、もう終わり?と思われた皆さん、まだ終わりではありませんよ。

■ 実は私も1着お願いしました! ■
引き続きましては、私 一野のフルオーダーの様子をご案内いたします!
私にとっては何しろ初フルオーダーということで皆さんにも紹介したくて仕方ありません。
それ故、生地の選択には慎重に慎重を重ね選びました。そして選んだ生地はこれ。
生地はしっかりとした織り込みが特徴のアーサーハリソンの紺地細ストライプ柄。少し起毛だったこの生地は暖かみのある素材として人気があります。またデザイン、仕様は下記のように決めました。
生地
G1163(英Arthur Harrison製)
 上 着(ジャケット)
デザイン
シングル2つボタン
ゴージライン
ハイゴージB
袖口
本切羽(ボタン:4つ)
ベント
サイドベンツ
腰ポケット
ナナメ
裏仕立て
丸台場
裏地
キュプラ裏地(ブラウン)
 パンツ
タック
1本
脇ポケット
ナナメ
ピスポケット
フタツキ
シングル

私も長く着ることを意識して飽きのこないシンプルな2つボタンにしました。
またフルオーダーはクラシコ2のオプションをベースにしているためキュプラや本切羽はもちろんのこと本バス毛芯やチケットポケットなども付いたゴージャスな仕様です。

肝心の仮縫いはもちろんお客さま最優先ということでじっと順番が来るのを待っていましたが、次のお客様までの時間が空いたので早速仮縫いすることに。何だか緊張しますっ!)

とんだハプニング その1
それでは早速パンツから仮縫いを...と何だかおかしい
なんとウエストが締まらない!
まだ仮縫い段階ですのでホックはなくベルトで締めるのですが、明らかに生地が足りていない。
原因は私の劇的に太ってしまったためのようです。
年末年始は食べてばかりいたのでその影響かな...恥ずかしっ!
吉井工場長の失笑を買いながらももちろん仮縫いで問題なくOK。ほっ!

とんだハプニング その2
気を取り直してパンツの仮縫いの続きですが、またまた問題発生。
何でも私の足はX脚とのこと。
O脚は聞いたことはあるのですが、まさかX脚とは私本人もびっくり!
具体的にどういうことか申しますとクリースライン、いわゆるパンツの折り目ですが、通常ならウエストからまっすぐ裾まで下りるのですが私の場合はそのクリースラインがいったんヒザの外側を通ってそして裾で中央に下りてきてます。
ちなみにO脚はヒザの外側を通りそのまま下へおりますので裾では外側に下りてきます。
通常のイージーではO脚の補正はあるのですがさすがにX脚の補正はありません。
しかし!これも吉井工場長の手に掛かれば全く大丈夫です。
う〜ん、やっぱり工場長は凄い...

続いて、ジャケットですが私の体型は日本人に多い前肩と猫背。
パンツほど難しい補正はなく、手慣れた手つきでどんどんとピンを打っていきます。
ただ右の肩胛骨あたりが左側とくらべてやや盛り上がっているので微妙な調節を行います。
(これは年輩のお客様が多いフルオーダーの世界では若者体型の特徴らしいです。筋肉があるからかな...)
この辺もイージーオーダーでは左右別々での補正はできませんからフルオーダーならではの補正ですね。
その他、ゴージラインや腰ポケットなどを決めて無事終了。

出来上がりもご紹介したいところですが、あいにくお客様優先でお仕立てしておりますので私のスーツはまだ出来上がっていません。
楽しみにしていた方、申し訳ありません。(えっ、誰も楽しみにしてないって?失礼しましたっ!)

フルオーダーは個人個人に合わせたスーツですので実際の着心地は本人しかわかりません。
また今回お仕立ていただきましたお客様のご感想は三久服装のHPでご紹介しますのでどうぞ楽しみにお待ち下さい。


さあ、盛況の内に終了した仮縫いですが、次の開催月は6月です。
まだ先の話で恐縮ですが、是非ご利用の程お待ち申し上げます。
また店頭には徐々に春夏物へと切り替わってきております。
今回も素敵な生地をご用意いたしましたので是非大阪店へも足をお運び下さい。
スタッフ一同お待ち申し上げます。