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オーダースーツのヨシムラ
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 この秋冬の傾向と対策は?
今年はお盆以降雨が多くなり、例年ですと残暑に悩まされる9月初旬にもう秋風が吹いていますが皆さんいかがお過ごしでしょうか?
北海道の方ではもう10度を下回る日があるようですから、温暖化と言われつつも今年の夏は短かったのかも知れませんね。
西瓜麦わら帽子etcなんか随分過去の話のような気がします。

さて
そんな季節変わりの9月はファッションの上でも大きな変わり目で、春夏のブルーや淡色の色使いからよりダークでウォーム感ある秋冬カラーに徐々に徐々に変わっていきます。
夏にはブルーの裏地で爽やかに感じていた物がいつしかちょっと寒々しく感じるようになって、代わりにブラウン、パープルなど暖色がよく見えてしまうのもこれからの季節ですね。

そこで今月は春夏から秋冬への切り替わり時期と言うこともありますので、
新しく出来上がった秋冬物サンプル帳を見ながらこの秋冬の傾向と対策について皆さんにご紹介したいと思います。
まずは春夏シーズンのおさらいから行きましょう...
■ 2008年春夏の傾向 ■
<< 色目について・・・>>
キーワード:ライトグレイ、ベージュ

2007年から引き続いてこの春夏はグレイが一番人気のカラー
数年前まで紺 > 黒 > グレイの順に売れていた物が、今年はグレイ > 黒でしたから随分変わりました。
陽ざしが強くなる夏は特にライトグレイが大人気でしたね。
当店の人気のあった生地ですとこんな商品に人気が集まっていました。
画像左上:伊ロロピアーナ いわゆるグレイジュの典型。微妙な良い色でした。
画像左下:伊ロロピアーナ ライトグレイ×ピンクスト 色気があり爽やか
画像右上:伊ポリカルポ シルク混素材でネイビー×ヘリンボーン ジャケットに
画像右下:伊キャノニコ 紺ブレの下にはこんなライトグレイ無地が人気でした。
<< デザインについて・・・ >>
キーワード:アメリカントラッド、紺ブレ、グレイパンツ、軽量仕立て

デザインで人気があったのは前評判の高かったアメリカントラッド
私も何度かHP内でご紹介していますがオリンピックイヤーは米国強し→アメトラ注目のロジックで大人気でした。
ですから、3つボタン段返り、ショート丈紺ブレ、センターフックベントのデザイン
紺ブレにライトグレイやホワイト系のパンツを使ったプレッピーなセットアップが大人気でした。

一方で、通常ビジネススーツとしては全体に細身で、着丈を短く、襟幅細くというシルエットが20〜30代前半までに多くズボンの裾ダブル&股下短めが主流となっています。
暑さ対策からか、軽く涼しい仕立てのニーズが高く、イージーオーダーでは新軽量仕立て、
フルオーダーのラインでは芯なしの一枚仕立て(センツァインテルノ)なども人気でしたね...

シルエットとしては・・・20代を中心としたショート丈、ナローラペルはこんな感じ...

20代

40代!?
モデルは最近スーツの仕上がり連絡をしている東京店弓田君。
若くてスタイルが良いのは羨ましい!
ちょっとお金に余裕のある?40代は・・・センツァインテルノですかね?えっ?自分?

<< 生地について・・・ >>
キーワード:国産商品への関心

生地について興味深かったのは、これまでインポート物しか興味を示さなかったお客様達が、ユーロ高から小売価格が高止まったことやサブプライム関係から不況色が出てきたためか、国産商品の上質な物へ関心を持ち始めたのが印象的でした。

でも、一方で従来的な国産のイメージ(大量生産型の色柄、品質より価格、没個性的な素材)の製品は、インポート物で生地の善し悪しを体感した消費者には受け入れられず、国産だけれどクオリティーの高い物作りをしているメーカーに人気が集中しました。
当店においてはこのタイミングで国産トップクラスの葛利毛織を紹介できたのもラッキーでした。

で、そんなこんなで秋冬シーズンに変わりましたが、それでは秋冬ではどんな物が注目されているかというとこんな感じです。
■ 2008年秋冬物の傾向と対策 ■
<< 色目について・・・ >>
キーワード:伝統的な色柄

季節が春夏から秋冬に変わると嫌がおうにも色目は暗く落ち着いてきます。
その中でも特に注目はブラウン、そしてベージュでしょう。
後述しますが、英国調色柄も要注目で、グレンチェックハウンズツースバーズアイなどの伝統的な柄物は抑えておくと良いでしょう。
生地の画像として人気が出てきそうな物はこんなカラーです。
画像左上:伊ゼニア ヘリンボーン(ジャケット地)BL1300
画像左下:伊チェルッティー バーズアイ G1116
画像右上:伊キャノニコ チョークストライプ
画像右下:伊ロロピアーナ ハウンズツース千鳥格子 G1135

また、ジャケット+パンツのコーディネートも健在で、春夏の流れを汲んでグレイの無地パンツなどは抑えておいて損はないでしょう。寒くなれば少し起毛したフラノサキソニーなどの素材がツイードジャケットとのコーディネートに役立ちます。
画像上:伊オルメザーノ フラノ地BL1313
画像下:日本毛織 弱起毛で使い勝手の良いサキソニーG1054
<< デザインについて・・・ >>
キーワード:ブリティッシュトラッド

この秋冬はデザインが難しい×××
基本的な流れは、前述の若い人達はショート丈、ナローラペルのままなのですが、
ミドル世代はそろそろナローラペルからおさらばといった状況。

キーワードとしてはアメリカントラッドからブリティッシュトラッドへの移行が挙げられ、
スタイルとしてはアメトラ=ナチュラルショルダー+ダーツなしといった寸胴シルエットではなくきちんとウエスト絞りを加えたシルエットになります。
2008年春夏に流行った新しいスタイルのアメトラはこういった寸胴シルエットではありません。

またジャケット+パンツのセットアップでも同じトラッドでも紺ブレ+グレンチェックなどの伝統的な色柄を使うケースが増えてくるでしょう。

秋冬の仕上がりがまだないので出来上がりが像がご紹介できないのが残念ですが、3ピースで、ハッキングチェンジポケット付きのスーツなどが要注目ですヨ。
きっとバーバリーやポールスミス辺りの英国系ブランドから元気の良い製品が出てくると思います。
秋冬の仕上がり例がまだ未完成のためUPできずスミマセンっっ(-_-;)

<< 生地について >>
キーワード:葛利毛織

インポート人気が高いのは相変わらずですが、それでも今まで何が何でもゼニア!と言っていた比較的リッチな人達が英国系の素材に関心を持ったり、今までインポート物が良い物と考えて国産に見向きもしなかった人達が国産もいいなぁ〜と関心を持ち出してきています。

私がその中でも注目しているのは当社も昨年から目を付けている葛利毛織
何と言ってもBurberryやPaul Smith辺りが生地の製造を依頼しているぐらいですから一般的な国産物よりグッと色気のある仕上がりが特徴で、この春夏も人気がありましたが、ここに来てMEN'S EX9月号で採り上げられたこともあり、人気急上昇中。

ちなみに今当店で売れているのがこの生地。
下地は濃グレイですがよく見ると織りが入っていてその上にオレンジのストライプ
このエンジのストライプが他にはない微妙な色目で人気が出ています。
あとはベーシックですがネイビーにグレイのチョークストライプのこの生地ですね。
伝統柄であるチョークストライプに人気が出るのもブリティッシュトラッドの影響でしょう。

同社ファンの皆さん!この冬も葛利フェアーを開催しますから楽しみにしていて下さいね。

秋冬はどうやらこんな感じで推移しそうです。
仕立屋として生地屋として、秋冬シーズンは生地が肉厚になり素材のクオリティーが肌で分かるようになりますからとても楽しみです。

スーツに限らずツィードジャケットやパンツ単品など楽しめるアイテムも盛り沢山ですので是非皆さん秋冬はお洒落してみてください。
今月後半になれば続々と秋冬物の仕上がりが出てきます。
そうしたらまた完成品をご紹介しますね。