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新商品インバネスコート |
秋が深まり、朝晩肌寒くなるとそろそろコートの季節。 これからの時期皆さんはどんなコートをお召しになりますか? ベーシックなチェスターフィールドコート、それともバーバリーやアクアスキュータムに代表されるようなトレンチコート。 コートはスーツ以上にデザインがありますからそれ以外にも若い子が好むダッフルコートやPコート、軍服由来のアルスターコート、女性的なステンカラーコートなどなどデザインは多岐に渡ります。 そんな中で、皆さんインバネスコートって耳にしたことありますか? 『インヴァネスコート?』 聞き慣れないコートと思う方も多いでしょう。 でも、明治から大正、昭和初期に着られた私達のお祖父さん達が着ていた「大正ロマンのイメージ」あるいはパイプ片手のシャーロックホームズが着ていた外套というと何となくイメージが付くのではないでしょうか? |
□ ちょっと一言・・・ 〜インバネスコートって?〜□ インバネスコートはスコットランドのインバネス地方で生まれた男性用の外套の一種。 長めの丈のコート+ケープを付けたもので、日本では「とんび」「二重回し」「二重マント」と共に和装用コートとして用いられることもありますが、厳密に言うとインバネスは袖ぐりから洋装用のコートを言います。 ご参考: インバネスコート :袖があるケープ付きコート 二重回し・二重マント :袖のないケープ付き外套※ とんび :袖が無く、ケープ部分がコートと一体化している外套※ ※:和装は袂(袖)が太いため外套に袖を付けないのが一般的です。 |
いかがですか、簡単に説明を付けましたが何となくイメージ付きました? 平たく言いますと、ステンカラーやチェスターフィールドのコートにケープを付けたようなイメージのコートです。 「ケープ付き?」「何でまたそんな珍しいデザインのコートを・・・」とお思いかと思いますが、実はそれには色々訳がありまして、今回チャレンジすることになったのです。 そこで今回は新商品のご紹介と開発経緯などを新着情報としてご披露したいと思います。 それではまずは新商品のご紹介ですから今回は出来上がりの画像から... モデルは...新商品開発ですからお客様を実験台にする訳にいきませんから、私がモデル! |
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いかがでしょうか?
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インバネスコートというとステンカラーの襟が一般的なのですが、今回は見本となったインバネスがシングルピーク襟だったため、シングルピークのチェスターフィールドにケープを付けたデザインにしました。 出来上がりは、素材の重量にもよりますが一般的なコートと比べるとケープの分だけ重量感もありますし、何よりクラシカルな存在感が素晴らしい出来上がりですね。 正にシャーロックホームズの時代です。 読者の皆さんはいかがお感じですか? デザインの詳細はこんな感じです。 |
□ ディテールのご紹介 □ | |
・ 生地
>>> 伊カセンティーノ社製カシミヤ100%コート地 何年か前にサービス企画で使ったピュアカシミヤコート地の残りを使いました! ・ デザイン >>> シングルチェスターコートの上にケープを付けたインバネスコート ・ お仕立 >>> 仮縫い付きのハンドメイド なにせ初めてのデザインですから型紙を作らなくてはいけませんからフルオーダーのラインでお願いしました。 吉井工場長、型紙作成ありがとうございます! ・ お値段 >>> ハンドメイドのコートは工賃+55,000円ですが、生地と手間が余計掛かかるため+65,000円(通常価格+10,000円)でお願いします。 ・ ケープって? >>> 今時ケープ付きは珍しいですから少し解説を... ケープとは肩から背、そして腕までを覆う外衣を言いますが、独立して大型マフラーのように使うこともあれば、インヴァネスコートのようにコートと一体化している物もあります。 実際、ケープの部分をめくるとこんな作りになっています・・・ 表地を使って胸〜肩、背を覆っていますが、表裏両方とも表地にすると重くなってしまいますし、ゴワゴワしますから見えない裏側には裏地を張ります。 肩の部分はこんな感じで縫い合わせているんですね... 出来上がりのご紹介が出来ましたので続いてこのインバネスの開発経緯をご紹介したいと思います。 |
■ 開発の経緯 ■ | |
実はこのインバネス。 ここ5〜6年来、当店では懸案事項となっていた事でした。 ...というのも当店の良い所はお客様のニーズに合わせて出来る限り、新しいディテールやデザインを取り入れていくところでしたが、以前からレトロ好きの方や1930年代風シルエット好みの方から何とか出来ないか?と何度もご相談いただいていたのです。 そんなあまり売れないデザインなんて、、、やってもメリットない。 ・・・と言ってしまえば全てですが、このご依頼には共通の悩みがありまして皆さん揃ってこんな事を言われていました。 『インバネスを仕立てるテーラーがあるんだけどあまりに高いんです!!』 どこのお店とは言えませんが(Net検索すれば出るでしょう)聞けばカシミヤ100%のインバネスコートでお値段25万円〜とのこと。 いくらなんでもこれでは手が出ない!という方が当店の門を叩かれるのです。(やはりフルオーダーでもせいぜい15万円が限界のようです、、、) でも、イージーオーダーがメインの当社には工場をどんなに説得しても、型紙がないから分からない...型紙をくれればやってやる...と逆ギレされてしまい箸にも棒にも引っかからない。 それでお店(私)もその途中で諦めてしまって...これが悪いところでそのままになってしまっていたんです。 しかし、そこに救世主が現れます! そう、3年前からお世話になっている三久服装の吉井工場長です。 技術的には縫える物は何でもOK(もちろんスーツ類ですが)ですから、後は型紙だけになりました。 そこにもう一人の救世主が登場します。 それは、画像のような1930年代シルエット好きでWebにも以前ご登場いただいたNさん。 何と!お手持ちのコートの中にインバネスコートがあったのです!! そこでこの2人を引き合わせて今回のインバネスコート開発につなげました。 作業的には... ・まず、Nさんのインバネスから型を抜いて... ・それを私のサイズにグレーディングして... ・仮縫いをしつつ、私の体型に合わせる... このコートの場合、ポイントになるのはやはりケープでした。 スーツでも、コートでも丈が長い物や肩からつり下げる物は、体型にキチンと合わせないと柄が真っ直ぐ下に落ちず生地が重なったりします。 ケープも同じで、胸の所のケープが前に垂れ下がるところを綺麗に真っ直ぐ下に落とすことが非常に難しかったです。(この辺は仮縫いを行わないと綺麗にはできないですね、、、) 画像をご覧下さい。 ケープの前が綺麗に下に自然に落ちてるでしょ。 こうするのが新商品と言うこともあって結構難しかった。(工場長談) 仮縫いは吉井工場長他、見習い職人遠藤君に撮影を依頼しながら工場で行いました。 たかがコートと思う事なかれ、結構大変でした。 どうでしょうか? 実のところ9月下旬に工場で仮縫いしたのですが、残暑はキツイし、工場はプレス機の関係から蒸気で暑いし大変でした... と、まぁ、こんな経緯で今回の試作に至ったんです。 如何でしょうか、年輩の方には懐かしく、若い方にはちょっとマニアックなインバネスコート。 ただ今開催中のビンテージクロスフェアー(11/7〜22)と合わせると凄く雰囲気が出ますから、よっしゃ!という方は是非お声掛け下さい。 ビンテージクロスフェアーの時も売り場に展示しておきますからご覧下さいね。 ちなみにお値段の方は、オプション価格を文中でご案内しましたが、余程特殊な生地を使わない限りせいぜい15万円で収まりますのでご安心を。 ご相談お待ち申し上げます。 |