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オーダースーツのヨシムラ
新着レポート

クラシコシャツ・出来上がりました
今年の熱帯夜も終わり、秋らしい空気漂う季節となりましたね。
秋が早まる!という予報は的中といったところでしょうか。
秋の夕暮れを のほほ〜ん と見つめたい今日この頃です。

さて、そんななか当社で(伊)カンクリーニ、(英)トーマスメイソンというインポートシャツ生地を取り扱い、技術でも本物しか取り扱わない某有名百貨店と同工場での仕立てを始め早1年。
沢山のお客様にワンランク上のハイクオリティーシャツをご提供できるようになりました。

そして、何枚もお仕立てしていただけるうちに、今までと少し違いをつけたいという方々も少なからず出てくるのが、オーダーならではの魅力
今回は以前シャツ工場へ見学に行ったということもあり、工場の得意な所に着目し、その長所をどのようにお客様へご提供できるかという点で、自分で一着仕立てました!
工場の長所はお客様へ伝える!という勝手な?使命感によってこれからもどんどん、工場見学や縫製現場を見て得意なところを探りご提供できればと考えております。
もちろん通常でのクオリティーも高いので、デザインを普通で!という方にもこの生地と仕立て技術は一見の価値ありです。。。

テーマは『 クラシコシャツ 』

すっかりクラシコイタリアブームが定着し、スーツやシャツでもクラシコ風なるものが業界でも賑わっております。スーツでいうとキートンやイザイア、シャツでは、ルイジ・ボレッリやバルバ、アンナマトッツォ等々、いずれも価格帯は高いのですが、「品質は手間をかけた良い物」が多いのも事実です。

でも何が違うの?

イタリアの特に南部のナポリなどでは、着心地を優先した皺などにエレガントさがあるとされております。
シャツでは特に雨振り袖やヨーク(背中上部の切替)のギャザーや、手の込んだ物では、袖付けを手でまつったりと一目でイタリアだ!というデザインは、色々なところで判別できます。
ただ、この皺も身体に合っていないシワではなく 「必要なゆとり量の分散」 として、着心地もこのゆとりが入ることによってより楽になります。

例えばヨーク下は、肩胛骨の稼働範囲を広げるため、通常のシャツでもタックを入れることが多く、この点もイタリアでは手間のかかるギャザーにすることにより、機能性と技術力、少しの遊び心を取り入れることによってクラシコらしいエレガントさが表現されるのです。

それでは、具体的な仕様の詳細を下記にてご案内いたします。

□□□ 基本仕様 □□□
SH702-3

カンクリーニ・フランス綾 

 1 襟
ワンピースカラー・スナップ止め
 2 袖口
大丸
 3 胸ポケット
U型
 4 前立て
裏前立て
 5 ゆとり タイト目
 6 胸回り ヌード寸法+12センチ (通常12〜18センチ)
 7 胴回り ヌード寸法+10センチ (通常10〜16センチ)
 8 アームホール +7センチ
(基本的に指示しないが、細めでは7センチ前後)
 9 備考欄 袖山ギャザー、背ヨークギャザー
 10 補正 前肩

デザインは上述の通りですが、少し補足しますと次のような感じになります。

1.襟:ワンピースカラー・スナップ止め

ワンピースカラーというのは台襟の裏側が、通常切替が入るところを一枚仕立てで行うことによって、襟のロール感が立体的に生まれます。
ノータイの時などにも襟元が綺麗にロールするため、オフの際にも雰囲気良くご着用できます。
デニムや、コットンパンツにINしシングル・ダブルジャケットやニットジャケット、バラクータのG9や。Barbour(バーヴァー)などに合わせてみてはいかがでしょうか。

2/3.袖口:大丸、胸ポケット:Uポケット

襟のロール感に合わせて袖口・ポケットにもアールをつけ、全体的な統一感を。
袖口を大丸のデザインする事によって、ジャケット口から見えるアールはとても綺麗です。 胸ポケットは不要ということであれば、勿論無しでも良いですね。

4.前立て:裏前立て

こちらは、ワンピース仕様にする際仕立て上必ず裏前立てにしなければなりませんが、前立てが表に出ない分スッキリとシンプルに仕上がり、オンオフ共に雰囲気よしです。

5.ゆとり:タイト目

こちらは、実際にヌード寸法からどのくらいゆとりを入れるのかという、採寸技術面でもお客様の好みを聞き出し、工場へ指示する寸法です。
ジャケットに比べるとゆとりが少なく、より身体に近いアイテムなのでまずはご相談ください。
今回の胸周りのゆとり12センチともなるとかなりタイトになり、お客様によってはキツイと感じるサイズ感になるのでタイトにしたい方は、まずは標準より少しタイトにしてから、徐々にタイトにという過程で身体に合わせることをオススメします。

10.補正:人それぞれ

このあたりは、オーダーならではの補正です。
以前にも補正によるシワの解消をご紹介しておりますので、下記にてご覧下さい。↓↓

□□□ ディティール □□□
□ 通常のヨークタック □

こちらは通常よく使用されている背タック。肩胛骨の稼働部を増やすためにゆとりを入れ、 着心地を重視したもの。

□ クラシコギャザーヨーク □

こちらは、上記と同じ目的で肩胛骨の稼働に必要なゆとりをいれるのですが、こういう所に一手間を惜しまず、腕の見せ所を入れる辺り、「負けず嫌い」なところが垣間見えます。
技術の部分でも均等なギャザーを入れるために、手作業が入るため時間がかかりより手間がはいります。

□ 袖山のギャザー □

通常、ジャケットには腕を動かし易くするために、身頃のアームホールよりも4センチ〜5センチ程、袖の付け根が大きく作図されております。
その分量を「イセ込み」で縮め、身頃のアームホールに合わせるのですが、シャツの袖は身頃のアームホールと同寸で作図されます。
そこで、シャツの袖の付け根を身頃よりも大きくし、ギャザーという形でゆとりを入れることにより、着心地が改善される事になります。

このように、ギャザーを袖山・ヨークと2箇所取り入れることにより、通常のシャツとの差別化を図っております。
ただ、ギャザーを適当に入れれば良いという訳でもなく、人間の動きに合わせたゆとり(ギャザー)が技術では難しいところで、この工場では、イタリア・ナポリのとあるブランドに技術を習いに行ったという実績もありその辺も今回ご紹介した注目ポイントです。

□□□ ※ギャザーって? □□□

ギャザーは荒ミシンで一回平面に縫い、糸をたぐり寄せタック(生地と生地が縫い合わさる)にならないように慎重に縫うところが難しく、それを「必要なところに必要な分量を」振り分ける技術が必要です。私も縫製したてのころはよく、ギャザーがタックになってやり直した経験が甦ります、、、
このような縫製面から見ても、よくイタリアのシャツは既製でもギャザーを多くとりいれるなぁと思いながら、エレガンテ意識の高さもまた関心するところですね。

高いから良い物というわけではなく、服で言うと良い物は身体に合ったものが一番です。
当社では、上記の他に¥8,000〜、¥9,800〜のシリーズもありますので、是非身体に合った物をお試し下さい。