マスターテーラー大会参加しました。
9月に入り過ごしやすい日が続くようになりましたがいかがお過ごしでしょうか?
街中ではすっかり秋物を中心に秋冬物が出揃ってまいりましたね。
さて
そんな季節の変わり目を感じられる頃、いつもの形式とは少し異なりますが、テーラー業界(全日本洋服協同組合連合会)が主催したマスターテーラーアジア大会に当社グループが参加いたしましたので、そのご報告をいたしたいと思います。
マスターテーラー(アジア大会)について
マスターテーラーアジア大会とは正式名称を第25回アジア注文洋服業者連盟・神戸大会といい、アジア各国のハンドメイド縫製のテーラーが集まり、その技術コンテストを行うイベントで、アジア地区のテーラーにとっては自社のスキルを世界に(アジアに)アピールする最大のイベントです。
大会は隔年で行われ(その間の年に世界大会があります。)今年でなんと25回目。約50年の歴史がある由緒正しい大会です。
そして今大会は、約20年ぶりに日本がホスト国に選ばれ、外国からのイメージの良い神戸の地(六甲アイランドのシェラトンホテル&ファッション美術館関連施設)で開催されることになりました。
マスターテーラー大会には、次のようなイベントがあります。
1.開会式ファッションショー |
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こちらは、マシンメイド工場の作品を紹介するファッションショー
国内の縫製工場からは、最大手のグッドヒル社、御幸毛織グループのミユキソーイング、少し凝った仕様が得意なRKT社とともに当社が参加し、合計4社の作品でファッションショーを行いました。 |
2.マシンメイド工場によるプレゼンテーション |
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ファッションショーで紹介した作品は、別途用意された専用ブースにてプレゼンテーションをする場があり、そこへはショーで興味を持った業者が集まり商談をします。 大会は一般の入場者はなく、テーラー業界やその関連業界に身をおく人達だけですから、内容的に非常に濃い商談会になります。 |
3.裁断仮縫い競技会 |
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テーラーの技術力は、単なる縫製技術だけではなく、採寸・仮縫いをする技術が重要です。 |
4.作品コンクール |
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裁断仮縫い競技会は日程の関係で、最終的な作品にまで仕上げることは出来ません。 そこで事前に作品を各国から持ち寄り展示し、その中で人気投票をするのがこちらの作品コンクール。 |
5.国際ファッションショー |
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最後は国際ファッションショー 各国が持ち寄った作品をプロのモデルに着せて、ランウェイを歩く本格的なファッションショー ハンドメイドの作品は、自由度が高いですから、アジア各国のユニークなスーツを見ることができ、また婦人服オートクチュール業界の協力もあり、男女専属モデルが入り混じるファッションショーです。 |
その中で、当社はグループの縫製工場(ハンドメイド縫製の三久服装、マシンメイド縫製の青森工場、中国縫製の北京工場)が合同で、
1.開会式ファッションショー および
2.マシンメイド工場によるプレゼンテーションに参加いたしました。
以上が、主なマスターテーラー大会の内容ですが、その全てをご紹介するのは紙面の関係でできませんので、ここでは当社が参加した部分を読者の皆さんにご紹介したいと思います。
当社が提供した作品のご紹介
吉村グループは、これまで培った知識や横の繋がり、そして沢山のお客様からのアイデア等をフル活用し、夢のあるファッションショーとうことをメインに作品を考えました。
また、グループ内にハンドメイド工場がある利点を生かして、ハンドメイド工場で開発した製品を、マシンメイド縫製でコストダウンし、さらに人気が出ればビッグヴィジョンにて中国縫製で同等の物を作ることが可能であることをご来場者にアピールできるよう、そんなストーリー作りを考えたり、更には卸部門には創業130年の歴史を持つノウハウを使った来場したプロをもアッと言わせるような製品を紹介することを目的に作品作りをしました。
製作した作品は大きく5つ。1つ1つ説明しますと・・
作品1:サイクリストスーツ(カジュアル版)
近年、秋口に開催されるツィードラン(ツィードジャケットを着てサイクリングをするイベント。英国から広まってきている。)に代表される、サイクリングとファッションを絡めた提案です。
ジャケットは、英MOON社のツィード格子柄。
見た目は通常のジャケットですが、背中や袖のコンシールファスナー、前裾のボタン、脇下のエアーベンチレーター、襟裏リフレクターなどこれまでにないアイテム満載のユニークなジャケットです。
そして、ボトムはニッカポッカー サイクリングの際は、パンツの裾が汚れやすいですから丈を短く、また前掲姿勢にも耐えられるような仕様にしています。 ロングホーズのソックスとあわせるととてもお洒落です。 |
そして、これをご紹介したファッションショーがこちら...
作品2:サイクリストスーツ(ビジネス版)
作品1がカジュアルなツィードラン用のジャケット&パンツだとすると、ビジネスで使えるサイクリストスーツの可能性を模索した作品。
こちらはドーメルジャポン社から生地提供を受けた同社のアイコニック(ゼニアのトロフェオクラスの素材です。)
一見すると、全くのビジネススーツです。.... が、1つ手を加えるだけでサイクリストスーツに変身します。
この“変身感“がサプライズとなってファッションショーでは大うけでした。その様子はこちらをご覧下さい。
作品3:"楽"ジャケット
こちらは当社でもご好評頂いていますから皆さん良くご存知の 一枚ジャケット。 もともとこのジャケットはハンドメイド工場で芯なし1枚仕立てとして、ナポリ風の軽い仕上がりを目指して製作した一品ですが、これをマシンメイド化したのが、LIGHTジャケットです。 今回仕立てた物も皆さんのLIGHTジャケットと全く同じ仕様です。 |
こちらはバーガンディーのJKTとベージュのコットンパンツで合わせてみました。動画はこちらです。
作品4:ビジュアル エフェクト スーツ(ストライプ柄)
こちらは当社生地卸部門のノウハウがあるからこその作品ですが、派手なストライプのこのスーツ、このストライプはインクジェットプリントで印刷したものです。
(普通ストライプは織物の中で、縦糸の色を変えることで組成します。)
でも、実はただの派手な柄のスーツではありません!
このスーツ、生地に単純なプリントを施した訳ではなく、CAD(コンピュータによる自動型紙設計)・CAM(コンピュータによる自動裁断)を駆使して、生地上に型紙を印刷し、その上で決められたパーツごとに柄を印刷するという、生地作りから生地の自動裁断、縫製までを一貫して行ったことにあります。
仕上がったスーツをよくご覧下さい。
派手な柄のストライプですが、実はストライプの幅が肩や腰周りの部分と、ウエスト部分では幅が違っています。
そう、肩やヒップ周りはストライプ幅が太く、ウエストが細いのです。
これが何をもたらすかと言うと、視覚的にウエストを細く見せられると言うこと。
これはファッションクリエーターとしては非常にユニークですし、是非とも活用したい手法です。
これを可能にしたのがこのビジュアルエフェクトスーツなのです。
動画はこちらです。
作品5:ビジュアルエフェクトスーツ(格子柄)
作品4の格子柄版がこちらのスーツ。 |
どうでしょうか?なかなかの見え方ですね。
こちらは動画を撮影し忘れてしまったため、裁断する前に、型紙・柄を印刷した生地をご覧頂きましょう。
(分かりやすくするため作品4の生地画像を掲載します。)
いかがでしょうか?
生地に型紙がこんな風に当てられて、そこに柄が印刷されているなんて面白いですね。
作品4、5はグループ内に生地卸部門があるからこそ出来るユニークな製品です。
さてさて
こんな風にファッションショーでしたが、ショーに併設した自社ブースもお陰さまで大変な反響を頂きました。
紙面の関係で簡単な画像だけご紹介いたしますが、アジア各国、国内のテーラー、関連業界、メディア等々いろんな方がいらっしゃいました。
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そんなマスターテーラーアジア大会ですが、今回はヨシムラグループならではのユニークな商材を、ハンドメイド工場で開発した製品を、青森工場でマシンメイド化、そしてビッグヴィジョンでは北京工場でより廉価に!というストーリーは十分ご来場者の方に伝わったと思います。
ですが、ここまでのお話はあくまでファッション業界の業者間でのお話です。
これからは、ここで培った物作りをいかに消費者の皆さんのご期待に結び付けていくかが最重要です。
吉村グループは、豊かな感性、ユニークさを忘れず、物作りの楽しさを実感し、これをお客様に伝えていくマスターテーラーになりたいと思います。
最後に、私高岡自身、今回は初のプレゼンテーション。
普段大勢の人の前でプレゼンテーションを行う場もなく、緊張した面もありましたが、自身を持って当社のアピールが出来たと思います。
また、お客様からの吸い上げがなければ、このような良いショーやプレゼンテーションは出来なかったと思います。
今後も、工場→当社→お客様のつながりを大事にしていきますので、内容は自社の説明になってしまいましたが、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。