2020年3月27日更新
最近の話題はもっぱらコロナ一色 1ヶ月前は割と楽観的であったのが、今やオリンピックの中止までささやかれる程にまで影響が大きくなるとは一体誰が予想したことでしょう。 新幹線はガラガラ、百貨店も閑散、インバウンドの聖地とも言える?心斎橋筋商店街に至っては自転車で走り抜ける人がいる始末,,,,, 確かに感染者数は右肩上がりで増えていますが、その反面回復している方もいらっしゃる訳で ヨーロッパで爆発的に感染者が増えているのは手洗い習慣が無いから、とドクターのお客さんの談 ということは感染を防ぐのは手洗いうがいをキチンとするのが最も効果的ということ 最後は免疫力次第、と先のドクターも仰っておられたので、しっかり栄養と睡眠を取ってコロナに打ち勝ちたいですね。
さて、今回は前々回の更新でご紹介しました私自身の着用、リラックススーツがようやく仕上がってきましたので、そちらをご紹介したいと思います。
そもそも今回このリラックススーツを仕立てようと思った経緯ですが、まずは単純に休日に着ていても違和感の無いカジュアルに、楽に着れるスーツって持って無いよな?ということが1点 そしてもう1点はビジネスシーンでは未だタイトシルエットが主流であるのは間違いありませんが、生まれて初めてスーツを着た時代がバブル全盛期であった1970年生まれの私にとって、スーツの原点は当時流行していたソフトスーツなんですね。 当時のサイズ感のスーツを今の時代に着るのは流石にナンセンスですが、タイトシルエットもかなり裾野まで広がったので、ここらで一丁新たなシルエットを提案しようじゃないかと思い至った次第です。
早速、仕上がり画像をご覧頂きたいところではありますが、その前に改めて今回のオーダー内容をご紹介したいと思います。
市松柄とバーズアイの様な織柄とヘリンボーンが交互に入っている非常に凝った生地。 脂が抜けてシルク特有の光沢感は失われておりますが、程良くぬめり感は残ってます。 コンセプト的にはコットンでもOKでしたが、コットンスーツに良い思い出が無いので、今回はヴィンテージクロスの中から見つけたコチラで
それではお待たせいたしました! 今回のリラックススーツはこんな感じで仕上がりました-
いかがでしょうか? ゆる~く、爽やかに仕上がっていると思いませんか? 50目前の男が爽やかもへったくれもありませんが笑、白×ネイビーの組み合わせは鉄板ですね。 それでは各ポイントとなる箇所の画像を交えてご説明してまいりますね。
今回のリラックススーツ、最大のポイントはゆったりとしたサイジングです。 ただやみくもにサイズだけを大きくすれば、結果だらしないスーツになってしまいますから、ゆとりがあるように見せる工夫が必要となります。 通常のビジネススーツの場合、前身頃バスト下から腰ポケットまで垂直にダーツを入れます。 これを入れることによりバストとウエストの高低差(ドロップ)を付けることが出来るので、身体のラインに沿ったタイトシルエットを表現するには必須となりますが、今回はこのダーツを省き、脇の下から裾まで垂直にストンと落ちるようなサイジングを施しました。
続いてはスーツの顔となるラペルデザインです。 まずは私のバストサイズから割り出される標準値のラペル巾(8cm)より-0.5cm細く7.5cmとし、且つゴージポイントを1cm下げ、高級仕立ての代名詞の1つであるピックステッチを省いております。 ピックステッチ(別名AMFステッチ)は表地と中の芯地を縫い留めることによりラペル全体をピシっと綺麗に仕上げますが、今回のようなスーツの場合、綺麗過ぎてカジュアルなイメージと相反してしまうんですね。 画像を御覧頂ければ入れないことにより優しい感じが出ているのがお分かり頂けるかと思います。
先述の通り未だタイトシルエットが主流であるので、タックの仕様もノータックがオーダー全体の約6割を占めておりますが、徐々にプリーツ付きが復活しつつあるのも事実です。 プリーツを入れることにより下腹部廻りにゆとりが生じますので、履き心地が楽になると同時にエレガントさも増しますが、それはサイジングが合っていることが大前提 実寸を無視したサイジングを施すとプリーツが開いてしまい、サイズが合っていない印象を与えるので注意が必要です。 また画像では分かりづらいかもしれませんが、今回の股上はこれまでの物(22.5cm)と比べ2cm深く(24.5cm)しております。 バブル期のソフトスーツを経験した者としては股上が深いとやはり落ち着きますね笑 20代、30代の方は物心付いた頃にはローライズパンツが主流だったかと思いますので、逆に股上の深いパンツは違和感をお感じになるでしょう。 股上サイズのお好みは個人差が有りますし、お直しが出来ない箇所でもあるので、採寸でジャストの位置にバシッと合わせることがオーダーする意味があるとも言えるでしょう。
以上、今回私がオーダーしたリラックススーツのご紹介となります。 これまでのキャリアの中で散々スーツを作ったはいいが、全く着なかったり、完全な失敗作も多々ありましたが、今回のスーツはこの夏、かなりハードユースしそうな予感がします。 ストイックなタイトシルエットもいいですが、たまにはリラックス出来る(楽な)スーツも良いもんですよ。