2021年10月22日更新
皆さんこんにちは。 今回、初めて「お客様ありがとう」にてお客様のお仕立てをご紹介させて頂きます東京店の河本です。 初めてではございますが、皆さんに楽しんで頂けるよう書かせて頂きましたので、 是非ご覧頂けると幸いです。よろしくお願いいたします。 さて、今回の『お客様ありがとう』でご紹介させて頂くお客様は結婚式用のスーツを作りたいとご注文頂いたご新規様のO様です。 結婚式と言えば、最近ではファンシータキシードといったフォーマルな装いを着崩したスタイルが流行っていますよね。 しかし、今回ご紹介させて頂くのは《ベースがカジュアル》といった結婚式の新郎様の装いとしては少し変わった面白いスーツとなっておりますので、是非楽しんで見て頂けたらと思います。 それではご覧ください‼
このようなメールを事前に頂き、ご来店された新郎様のO様。 「グルカパンツか~。」 なんといっても結婚式という晴れ舞台に着用されるスーツですので、O様のご期待にはお応えしたい!ところだったのですが、吉村では、グルカパンツのお仕立てが出来ないんです。 せっかくご来店頂きましたが申し訳ない気持ちでいっぱいでした。 しかし、このことをお伝えすると、
と、O様はすぐに切り替え、また一から別のデザインを考え直して下さいました。 (ありがとうございます泣) 次こそは、O様の期待に応えなくては‼と私も気合を入れて、 また一緒にデザインを考えることに。 そこから、なかなか良いデザインに巡り合わない時間が続きましたが、 ようやく、納得されるベースのデザインが決まり、ここからO様のこだわりの仕様を詰め込んでいくところまで来ました。 (完成したものは後ほどたっぷりご紹介しますね☆) さて、デザインのベースが決まりましたので次は生地です。 お考えの色柄を聞いてみると、 明るい色目のアースカラーで無地をご検討とのこと。 実際にO様がお求めの色を写真で見せて頂くと、これまた絶妙な色合い。 これは難しいな~。と思いながら、色々な生地をご提案しましたが、やはりなかなかO様の納得いく生地をご提案できず。 するとO様から、
との希望が。 これを聞いて、私はある1つの生地が頭に浮かんだので、早速O様にお見せすることに。 すると、
ようやくO様が首を縦に振って下さいました‼ こうして決まった生地がこちらです。
今回O様がお選びなられたのは、今年のAWより新加入しましたPURE COTTONのカーキです。 まず見た目からしてカジュアル感の強いスーツが出来るなとは予想できますよね。 しかし、このPURE COTTONは、ただカジュアル雰囲気に仕上がるというわけではないんです。O様も仰っていた通り、結婚式の新郎様ですのでカジュアルなスタイルといえど、どこかビシッと決まる印象にしたいですよね。 これを実現できる生地こそが、PURE COTTONなんです‼ 目付が重く出来上がっていることからハリ感があり、また立体的に仕立て上がることで生まれる程よい光沢感が、カジュアルな雰囲気の中にもどこかビシッと引き締めてくれる。 そんな今回のお仕立てにはベストマッチともいえる生地は一体どのような形に変身したのでしょうか。 さて、生地が決まりましたので、ここからが本番です‼ ここからは実際に完成したスーツをご覧頂きながら、デザインのご紹介をしていきます。O様のこだわりが詰まった非常に粋なスーツになっておりますので、どうぞご期待ください‼ 特に力の入れたスラックスは必見です!
O様は、ご来店頂く前からジャケットはダブルにする‼と決められていたそうです。クラス感やドレスな洒落感を持つダブルジャケットを、コットン生地、アウトポケット等のディテール、また見え隠れするバングルといったカジュアルなスタイルに落とし込んだこのミックス感がたまらないですね。これぞカジュアルウエディングスタイルです‼ また、基本的には見えない部分ですが、チラッと見えた際には2度見してしまいそうな遊び心溢れる裏地はインパクト抜群ですね‼ さて、それでは☆印にもなっている、今回ジャケットデザインの中でも特にこだわられたボタンについてご紹介したいと思います。
さて、お待たせしました。今回のお仕立ての中で一番こだわられたスラックスをどうぞご覧ください! 一眼見て、普通のスラックスではありませんよね⁉ 一からデザインを考えられたO様の個性溢れる非常にシャレオツなスラックスが出来上がりました☆ しかし、このスラックスはただデザイン性だけを重視したスラックスというわけではないんです。結婚式から二次会、三次会とストレスなく過ごすことができるようにと考えて、腰回りを 一工夫しております。この腰回り、太もも周りのデザインこそが今回のスラックスの肝なんです。 それでは、☆印にもなっている今回の肝、腰回り、太もも周りのデザインについてのこだわりポイントをご紹介したいと思います。
さて、このデザインこそがこのスラックスを語る上で外せない、デザイン性と機能性を兼ね備えたハイブリットデザインです。 まず、このタック、普通ではありませんよね?あまり見られないタックだと思いますが、こちらはBOX +一本タックと言って、向きの違う折山(インタックとアウトタック)が向かい合うような形になったBOXタックというものにプラスでもう一本横にタックが入るといった、複雑な構成をしているタックのことです。 このデザインにすることで、なかなか既製のスラックスでは見られないようなオーダーらしい洗礼されたスラックスになりましたね。 また、合計で3本のタックが入っていることにより、太もも周りやヒップ周りにゆとりが適度な ゆとりが生まれます。その為、結婚式から二次会、三次会の立つ、座るの上下運動にも窮屈さを 感じさせず、ストレスなく長時間楽しんで頂けるようになっています 先程ゆとりが付くと言いましたが、決して太もも周りががぶかぶかになっているというわけではなく、シルエットはしっかりとO様のご希望に合わせて、スタイリッシュなシルエットに仕上げています。
持ち出し長っ‼。そう、このデザインは本来O様がご希望されておりましたグルカパンツの腰回りデザインになるべく近づけた仕様となっております。グルカパンツの最大の特徴ともいえるのが、持ち出しが長く、そのままウエストバンドで腰回りのゆとりを調節できるところ。 ですが、生憎このような仕様でのお仕立てが出来なかった為、現代風のデザインにアレンジしみました。 今回のデザインの特徴は、バランスを見ながら極限までに伸ばした持ち出しと2つの持ち出しボタン。 (通常の持ち出しの長さは約5.0cmなのに対し今回は長さ16cmです) ジャケット同様の白の焼き加工ボタンが良いアクセントになっていますね。 また、〈調節できる〉というウエストバンドの特徴を、【サイド尾錠】で表現しました。 ここで、さらにO様は一癖ある仕様を追加。 それは、前身に左右一本ずつ付いているベルトループです。通常、長く伸びた持ち出しに通すベルトループを1本入れた仕様はよく見ますが、「なんか、バランス悪くないですか?」とO様はこの仕様に違和感があったそうです。 そこで、O様から「左右均等の位置に計2本のループをつけましょう‼」とのご提案が。 私もどのようなものになるか見てみたい気持ちがあったので、この仕様でお仕立てしました。 そして、出来上がったものを見ると、確かに左右のバランスの統一感が増し、ありそうでなかった新しいデザインが生まれていました! O様、ナイスアイディアでしたね‼
さて、O様のこだわりが沢山詰まったカジュアルウエディングスーツについてご紹介させて頂きましたが、みなさんいかがでしたか⁉ O様、この度はご注文頂きまして本当にありがとうござました。 このO様の思いやこだわりが沢山詰まったスーツで、結婚式という最高の1日を 過ごして頂けると幸いです。 今回、直接お渡しが出来なく非常に残念でしたが、笑顔でお受け取り頂いた聞き、 私もホッとしました。 次回は、完全プライベート用でのスラックスが欲しいとのお話もされておりましたので、 是非、 機会がございましたらまたご来店ください‼ その際は、結婚式の話も聞かせてくださいね☆