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7Daysオーダーの神髄


前回、英国からの1週間という一時帰国期間中にオーダーされたNさん。

さて、そのご注文、そしてその後の仕上がりはどうだったでしょうか?
今回はそのご注文時のことと仕上がりをご紹介します。

その前にちょっと復習。

Nさんについて・・・
Nさんは英国在住の60代紳士。
HPではお顔を出さないようにしているため読者の皆さんから伺い知ることはできませんが、車はモーガン!英国在住20年、シティーでM&Aを生業にしている等のキャリアを考えると想像つくのではないでしょうか。

そんなNさんからのご要望は・・・英国での夏用のサマージャケットでした。

事前のLINEでのやりとりでは

Nさん
吉村さん
ご返信ありがとうございます。
今のところいわゆるクラシックなネイビーブルーのブレザーを考えています。
春夏用の軽い生地と作りにしたいと思います。適当な生地は在庫にあるでしょうか。ボタンは金である必要はないのではないかとも。

身幅は変わっていませんが、今まで作って頂いたジャケットの身丈が長いような気がしています。
身長は以前と同じです…。後で写真をお送りしますね。
その上でご意見を伺います。

ふむふむ、夏用サマージャケットか!

では紺のスーツ生地からジャケットだけを作るのではなく、ご年齢的なこともあるので少しカジュアルテイストを入れつつ、ビジネスにも使えるようモノが良さそうですね!

あとは、、、ふむふむ、以前お仕立てしたジャケットの着丈が長い?

えぇと・・・確か、Nさん、昔は着丈が長いのがお好みだったのでは?
(日本のトレンドが着丈が短くなる中、着丈を短くすることを頑として受け入れなかったという記憶が、、、)
でもまぁ、人間好みは変わりますからね。
Nさんのご要望を反映させましょう!

そうしていたところ、Nさんから以前当社で仕立てたサーモンピンクのジャケットとマドリッド(スペイン)で購入されたという最近のジャケット(既製服)の比較画像を頂きました。
左が10年ほど前に当社でお仕立てしたジャケット。右が話に出たマドリッドで購入されたというジャケットです。

うん、確かに当社の方が着丈が長いですし、昨今のトレンドからもやはり長いです。
並べてみるともっと分かり易いです。

これは、短くしよう!

そんなことをご来店の前に、LINEでやり取りして、あらかたご要望は伺い済みでした。

そして、いざ6/4のご来店です!
10:00過ぎには店舗でスタンバっておいてお約束通り10:30頃Nさんご来店です!

私: 「いらっしゃいませ!Nさんご無沙汰です!今日はモーガンで来られなかったんですか?」
Nさん: 『日本で乗っていたモーガンは英国に送ったよ!』
私: 「えっ?わざわざコンテナで送ったんですか?Nさん、本当に英国好きですよね。笑」

なんて会話から始まります。

そして、ご注文になると、、、一番の問題は生地の問題

こちらはクラシックなネイビーブルーのブレザーをご希望でしたから、ヘリンボーンの柄やザックリと織りあげた3プライのジャケット地(葛利毛織)、ロロピアーナのシルクウールリネンなどをご用意しましたが、最終的にはこちらになりました。

生地 X23-3328(ノーブランド品)
混紡率 ウール88%、リネン12%
デザイン シンプルな3つボタン中掛けジャケット
腰ポケット ハッキング
ステッチ ピックステッチ(コバ)
袖釦 キッシング4つボタン

そして、採寸。
そうです!Nさんは、英国在住でご来店がなかなか難しいですからね。
このタイミングで、改めてしっかり採寸しておかなくちゃ!

読者の皆さんでもあまりお気づきない方が多いのですが、中高年になると体重の増減が落ち着いてきてサイズは前と同じで大丈夫という方が多いですが、実は、体重は変わらずとも体型は変わることが多々ありますので、久しぶりのご注文の際には、改めて採寸された方が良いですよ。
一般に、お歳を召すと腹が出る代わりに腕や足・お尻などが細くなります。

そんなこんなでご注文も決まりました!

よし!これで採寸表(縫製指示)の方はOKです!

普段はこれでOKですが、今回はちょっと違います。 そう、納期が一番の問題点です!

そこで、今回はその後のタイムスケジュールを記載します。半日単位で変わりますから是非ご覧ください!

DAY1:6/4(初日)11:00  ご注文確定
16:00 ご来店のお客様の合間を縫って仕様書作成
17:30 オーダー内容をWeb発注
DAY2:6/5  深夜 青森工場データ受付(RPAにより夜間型紙作成処理)
 9:00 朝一番で工場在庫から生地裁断
11:00 工場からヨシムラ側へ仕様書の確認メール
13:00 確認後、縫製開始
DAY3~6:6/6~/9 ~縫製作業~
DAY6:6/9 12;00 縫製終了、その後、プレス・最終検品など
17:00 出荷
DAY7:6/10 午前 ヨシムラ店舗へ到着!

どうですか?凄いスケジュールでしょう?
純粋に縫製に要する時間はわずか4日半しかありませんが、実は縫製作業そのものの時間はそれだけあれば、従来と同じ品質の物を提供できるのです。 (スーツの仕立てに時間がかかるのは、段取りに時間がかかり過ぎるからなのです。)

ところで、、、
前編(お客様いらっしゃ~いコーナー)での冒頭で、私は最近社長業が忙しく、、、と申しましたが、実は、社長業の一環でこの週はずっと青森工場に出張しておりました。

ですからNさんのご注文が目の前を流れていくのを見ながらでの出張でしたので、出荷当日の午前中(↑タイムスケジュールの印のところ)でNさんのご注文をパチリ!

一足早く、NさんにLINEで画像を送りました!

吉村
Nさん 本日完成し、青森工場より出荷します。
今は最終プレス中です。
明日まで工場勤務のためお渡しに立ち会えませんがご容赦ください。

そう、私は明日まで出張中のためNさんのフィッティングには立ち会えないのです×××
そこで納品については佐野SHOPMASTER、河本君に任せて、とりあえず、私は出来るだけのことを!ということで工場で検品して出荷です!

そして、翌日、Nさんが無事ご来店され納品です!
あいにくその時には時間がなかったため着用写真など撮影できなかったのですが、その後こんなLINEを頂きました!

Nさん
吉村さん ジャケット引き取りました。大変結構な仕上がりです。
まだシャツなどとちゃんとした合わせ方をしていませんが。
時間内に仕上げて頂き、ありがとうございます。

あ~っ、良かった!間に合った!

Nさん、当初は6/4に入国して、6/11出発ということで、ぎりぎりなら6/11にお渡しすれば良いと思っていたのですが、短い滞在時間に友人知人・仕事関係の人に会うということで、6/10でしかお渡しが出来なかったのです。

つまりお店に届いて1-2時間後にお渡しするというホント厳しいスケジュールでした。

今回のご注文は、例えば冬に雪で運送便が遅れたりしたら間に合わなくなる位の、危険なスケジュールでした。

でも、もろもろ事前にしっかり準備をすれば、何事も突破できるものです。

Nさんには喜んでもらえて本当に嬉しいです。

あぁ、当社のジャケットを着て、緑のモーガンで、英国をドライブする・・・
憧れますね!

最後に、ご帰国になったNさんから着用画像を頂きました。
Nさん、着丈を気になさっていたので正面と横からのお姿です。
なかなかシュッとして素敵ですね!

英国も日本ほどではないですが夏でもそこそこ暑いですが、そんな中でもジャケットを着て紳士に立ち居振る舞いをするNさん!
これからも頑張ってください!


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