2023年9月22日更新
9月も中旬に入り、やっと心地よくて快適な『秋』を過ごせると、楽しみにしていたのに、しつこいほど続くこの残暑は一体なんなのでしょうか。 日本のいいところは『四季が感じられる』ところかと思うのですが、年々夏の季節(暑い時期)が伸びてきて、秋が短くなっているように感じますね。嫌だな。。。 暦の上では秋で、秋物への衣替えを皆さんに推していますが、今回のお客様ありがとうは、少し季節を夏に戻して、オーダーでもなかなかお目にかかれない、Aさんの個性あふれる《ハーフパンツセットアップ》が完成しましたので、ご紹介します。 それでは、早速Aさんにお披露目していただきましょう、、、の前に、レアオーダーでもある今回のハーフパンツセットアップのポイントを振り返っていきましょう。
※ご注文までの詳しい経緯は【2023/8/18更新 夏のハーフパンツセットアップをご紹介します。】
いつもオーダーを自由な発想で上手に楽しんでいただいているAさん。 一般的なオーダーのイメージは、カッチリしたテーラードスーツ(ビジネス感強め)のお仕立てをすることが強いように感じますよね。 でも実は、デザインの幅も広く、そして素材の幅も、組み合わせも自由度が高く、スーツと言うアイテムに捕らわれる事なく、純粋に洋服を作ることができるのも、オーダーの楽しいところなんです。 それを体現しているのがAさんでして、今回の『ハーフパンツのセットアップ』なんて、この原稿を書いている私でさえ思いつきません。(まいりました!!!) オーダーでハーフパンツを作ろう!って読者の皆さんもなかなか思いつきませんよね。 さて、そんなAさんの《ハーフパンツのセットアップ》のイメージはどんな感じかと言うと、、、
画像のように、《海外セレブがリゾートで優雅に着るハーフパンツのセットアップ》でした。 このイメージを具現化するためにはクリアしなければならないポイントがたくさんあるのですが、その中でも特に重要なポイントをまとめましたのでご覧ください。
ただでさえ普段オーダーの入らない、ハーフパンツのお仕立て、そしていつも頭を悩ませる?Aさんならではの凝りに凝ったデザインを具現化するには、非常に難易度が高く楽しい苦労が絶えません。(あくまでも楽しんでいますからね。) 私たちのモットーは、私たち工場を含めて、《頑張ったら何とか実現できるんじゃないか、という事に関しては最大限努力し実現したい。》ですから、腕の見せ所という感じです。 さて、そんなAさんの《ハーフパンツのセットアップ》は一体どこまで再現できたのでしょうか。 ドキドキの完成品を実際Aさんに着ていただきお披露目していただきましょう。 それでは、Aさん、見せつけてやってください!
皆さんいかがですか?《優雅なセットアップ》の雰囲気を醸し出しているように感じますよね。イメージ画を先にご紹介しておりましたが、ほぼイメージ通りに出来ていますね! オーダー=テーラードスーツというイメージを覆せる渾身の出来ではないでしょうか。 こんなお仕立ても楽しめるところがオーダーのいいところです。 また、厚手のデニム生地で仕立てることによって仕立て映えも良く、懸念材料だった既製服のチープ感やハイブランドのいやらしさも感じませんね。 生地もさることながら、オーダーの醍醐味でもあるサイジング&シルエットを好みに調整できる点もイメージを具現化するうえでポイントです。 さて、全体像を見ていただいたところで、続いては今回のデザインや細かいポイントなどを、ご紹介していきたいと思います。
デザインはほとんど特殊。凝りに凝ったデザインとなっています。(汗) 色々と書き出していますが、細かな点は出来上がりの画像を見ていただけたらと。(投げやりになっている訳じゃないですからね。) ベルトレス仕様に始まり、ピスポケット(お尻のポケット)を片方なくしてデザインしたり、前立てをチャックにしないで、ボタンフライにしたりなど、表立って目立ちはしませんが、芸が細かい仕様を楽しめるのはオーダーらしいところですね。 消しタック(消しダーツ)なんか、本当にツウです。タックを入れてのボリューム感ではなく、程よいユトリ感を演出する時に使用します。普段あまり使わない仕様です。 特に今回は生地がストライプという事もあり、消しダーツを入れている部分が、末広がり開きデザイン性も高くなっている点がポイントです。 自分の好きを落とし込んで、どこにも売っていないオンリーワンなパンツに仕上げています。
細かなこだわりデザインも大切ですが、《優雅なセットアップ》を演出するのに大切な要素は、デザインよりも《サイジング&シルエット》です。 足を出し過ぎもアクティブ過ぎるし、セレブ感がない。逆もしかりで、長すぎるとどうも不格好ですし、どの程度の太さ(シルエット)にするのかが重要な要素です。 しかも今回はデニム生地を使用していることもあり、洗濯後の縮みも考慮しなければなりません。 同じデニム生地でシャツを作り2cm縮んだ私の経験をもとに、膝がちょっと出るくらいに設定しました。ここからどういう風に縮んでいくか、これが吉と出るか凶と出るかそれは洗ってからのお楽しみで。 ですが、今の時点でもシルエットも含めいい感じではないでしょうか。
シルエットに関して補足しますと、通常のパンツ(長い)はワタリ(モモ)ヒザ、裾と、3点が繋がりシルエットを作っていきますので、大体の形(シルエット)が想像しやすいのですが、ハーフパンツはヒザ位置を設定しませんので、このシルエットを表現するのに苦労しました。 それでもいい感じのルーズさが表現できたかなと。
Aさん、お気遣い本当にありがとうございます。 実際にAさんからどれくらい縮んだのか、連絡をもらいましたので、それは最後にお披露目しますね。 さて、パンツばかりに目がいきがちですが、今回は《セットアップ》ですから、最後の仕上げ、上物(プルオーバーシャツ)をご紹介していきます。
リゾート感のある優雅なセットアップを目指すには、これしかない!という感じの半袖プルオーバーシャツ。 パンツ同様に通常のシャツにはない、非常に凝ったデザインがポイントで、基本デザインに記載してあるように、あまりにも複雑すぎて工場に伝わらないので、デザイン別紙を自分で書いた(それでも実は何回か工場から問い合わせがきましたが。。。)というAさん渾身のシャツです。 フロントポケット3つのバランスや、プルオーバーシャツの開きまである程度計算した、ボタン間のバランス(スーツ用の大きなボタンだったのでバランスを取るのが難しいです。) 等、パンツ同様にとにかく芸が細かいシャツに仕上がりました。
さて、以上ハーフパンツセットアップの出来上がりを紹介してきましたが、色々なこだわりが詰まった《ハーフパンツのセットアップ》その出来栄えは、Aさんいかがでしたでしょうか?
嬉しいお言葉をもらえて、ホッと一安心。なかなかハードルの高いオーダーでしたからね。 正直完成品を着てもらうまで少し不安だったのですが、実は着る前の出来上がりをお披露目した時のちAさんの喜んでいる姿を見て、ちょっと自信はあったり。。。
とにかく、完成品を着た時に笑顔になってもらえることが一番のゴールですので、それが今回も叶ったかなと思います。 そうそう、《サイジング&シルエットのこだわり》のご紹介でどれくらい縮みがあったのかAさんから画像付きでご連絡をいただきましたので、最後にご紹介します。
AさんからのLINE※一部抜粋しています。
狙い通り縮みは2cmほど。良かったぁ~と胸をなでおろしました。 縮みを考えてのサイジングも成功かなと。 Aさん、このセットアップを着てリゾート気分を味わいながら是非飲みに行きましょうね!ありがとうございました。 今回はなかなか特殊なオーダーでしたが、『オーダーでここまでできるんだ!』と自由な発想で楽しめることを、Aさんのオーダーを通して伝わったなら嬉しいです。 読者の皆さんも、こんなのできないかな?となにかアイデアがあれば、お気軽にご相談くださいね。