2024年7月5日更新
こんにちは。東京店大嶋です。 今年は例年に比べ、梅雨入りが後ろ倒しとなり、梅雨の時期が延びていかないことを切に願う毎日を過ごしておりますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。 さて、今回の「お客様ありがとう」は紺ジャケットというご要望から承りましたYさんの「新モデル【コンフォートジャケット】」が完成しましたので、お渡しの様子と新モデルの仕上がりをご紹介させていただきます! 改めてご注文に至るまでの経緯のおさらいからまいりましょう。
今回のYさんのご来店予約でのご要望は以下の3点です。
まず①の「紺色のジャケット」については、紺色といっても案外様々な色がありまして、②の「何にでも使える」という点と合わせて、色合わせやコーディネートの組みやすさから「濃紺」に絞り、提案の準備をしました。 ③春夏に着られるものについては、やはり「通気性」と、気温や湿度から、「シワの入りにくいもの、シワの戻りがいいもの」という「扱いやすさ」に重きを置いていくつか生地をピックアップさせていただきました。
実際に生地をご覧いただき、中でもYさんの反応が1番良かった生地がハリコシがあり、通気性に優れた「葛利毛織 DOMINX 濃紺無地」でした。
スーツでもジャケットでも春夏大本命の「葛利毛織 DOMINX 濃紺無地」 これで決まるかと思った矢先、Yさんから2点、こんなお声をいただきました。
「生地の重さ」と、「透け感」 やっぱりそう思うよね、と言ってしまいました。(もちろん心の中ですよ!) この2点、Yさんがご心配されるのは至極当然と言いますか、、、 なにを隠そう、この「葛利毛織 DOMINX 濃紺無地」生地のハリコシからシワになりにくく、通気性にも優れておりますが、その分、オーソドックスな春夏生地と比べ、糸の密度が大変高く、生地に「重さ」があります。
また写真のように下の色が透けてしまうほどの通気性(目の粗さ)が特徴の生地なんです。(目が粗い組織間のあるような生地の方がジャケット素材としてオススメです。) そのため、心配されるのも無理ないというところでしたが、ここからの提案も準備してありました。 まずは「重さ」について、従来のお仕立てから、一層芯や副素材を取り除き、「軽さ」を突き詰めた【コンフォートジャケット】をオススメさせていただき、 また、「透け感」については、Yさんのこれまでのデータから、体に沿うようなピッタリのサイズ感ではなく、程よいゆとりを入れていることを確認しておりましたので、これでならお仕立てには全く問題ないことをお伝えしたところ、最軽量の【コンフォートジャケット】を「葛利毛織 DOMINX 濃紺無地」でお仕立ていただくことにきまりました。 自信満々に啖呵を切ったものの、新モデルでのお仕立てはYさんが初めてだったため、いつも以上に慎重に確認をしながら採寸表を完成させ、工場への発注を行いました。 さて、その他詳しいご来店予約からご注文に至るまでの流れにつきましては「新モデルコンフォートジャケットをお仕立ていただきました」にございます。 なお、「新モデル【コンフォートジャケット】」については、魅力をよりお伝えできるページもご用意しております。お仕立てご検討の方はぜひ1度ご覧ください。
それでは、完成しました【Yさんのコンフォートジャケット】どうぞご覧ください! ご来店予約から来店日当日でいただきましたご要望にお応えできたのかどうか、果たして、、、 最軽量【コンフォートジャケット】
いかがでしょうか。 ①紺色のジャケット やはり「葛利毛織 DOMINX 濃紺無地」に間違いないですね。 ②奇をてらうことのない何にでも使えるもの
どんなものにも合うデザインでお仕立ていただきましたので、ここもクリアできているのではないでしょうか。 腰ポケットはジャケットらしく、「アウトポケット」。胸ポケットはビジネスでのご使用も考え、「箱ポケット」です。 「オンオフ兼用のジャケット」をお考えの方にはぜひおすすめしたいデザインです。 よりカジュアルなスタイルには「スリーパッチ」と呼ばれる、胸ポケットもアウトポケットにする仕様も試してみてはいかがでしょう!
お渡し当日、カットソー&ジーンズ&スニーカーというカジュアルなスタイルでご来店いただけましたので、休日のスタイリングでの相性も確認できました!
いかがでしょう。 「カジュアル」から一転、「ドレス」へ ジーンズ、チノパン、スラックスまで、幅広くコーディネートが想像できます。まさに「何にでも使える紺ジャケット」になっているのではないでしょうか!
さあ、肝心な「重さ」です。果たしてこちらは、、、
よしっ!と思わずガッツポーズ。(これももちろん心の中です。) 心配点1つ目はこれにてクリアです。 残る心配点がもう一つ。
心配点2つ目の「透け感」はどうでしょう。 後ろ姿をパシャリ。
芯を最大限取り除くことで、体になじみやすくなりこれまで出ていなかったシワが入ってしまうケースや、肩先が落ちてしまうケースがありますが、(芯や副素材をなくすとどうしても出てしまうものもあります)今回は素敵な後ろ姿に仕上がりました! いやぁ、安心です。ご案内しながらそっと胸をなでおろしました。
今回の奇をてらうことのないジャケットですが、「オーダー要素」も組み込ませていただきました! それが「胴裏仕様」と「袖付けの仕様」です。
標準の胴裏仕様とYさんのお仕立てを比べると、、、
どうでしょうか。 Yさんお仕立ての【コンフォートジャケット】は見ためから、「軽く」「涼しそうな」仕様になっていませんか。 通常は背抜きor総裏(上記写真は総裏)が標準仕様ですが、今回有料オプションの「大見返し」にしていただくことで、生地の風合いを一層楽しんでいただける仕立てとなりました! 普段東京店ではお仕立て紹介の際は、外の鏡の前で写真を取らせていただくことが多いのですが、今回は敢えて店内で撮影することで、「見た目カッチリ」「中身軽やかに、着楽に(気楽)」という点を表現させていただきました!
また、袖付けの部分では、通常の袖付けと違い、袖が肩の下に入り込むシャツの袖付けのような仕立て、「マニカカミーチャ仕様」にすることで、ハリコシのある生地感でも肩回りを楽に軽やかに着ていただけるようお仕立ていたしました!
さて、いかがでしたでしょうか。 オーダーというと、仕立てをよくするために「構築的で、カッチリ感のあるもの」という考え方もありますが、YOSHIMURA&SONSでは、オーダーらしいこだわりをいれつつ、現代の流行に合う仕様を追求していただくことができます。 見た目はカッチリ、機能性もバッチリという「至れり尽くせりな仕様」から、「カジュアルに振り切ったスタイル」など幅広くご要望に対応可能です。 また今回のYさんのように、軽くて薄くて春夏にぴったりな生地感も、透けちゃうのはちょっと、、、という方、カッチリとした生地感のアイテム、スタイリングがいいけど、「楽に着たい」という方。案外いらっしゃるのではないでしょうか。 最近はどんなアイテムも「通気性」がよくて、「ストレッチ性」があってと、「扱いやすさ」は長けていても、そればかりとなると悩みものですよね。(カジュアルすぎる、生地の表情がいまいち、etc、、、) オーダーであれば、スーツ生地でのお仕立てから、ストレッチ性のあるものまで、生地から選んで、好みのサイズやデザインでお仕立ていただけるという利点がございます。 「スーツ屋だから。」とご来店されたことがない方いらっしゃいましたら、ぜひ1度遊びにいらしてください。普段のファッションアイテムへのお悩みが、オーダーで解決するやもしれませんよ。 改めて、【コンフォートジャケット】の魅力を再確認することができ、私自身大変勉強になりました。 Yさんにお伝えした通り、この【コンフォートジャケット】は春夏に限らず、秋冬でもぜひともおすすめなモデルとなっております。 「年中着楽に」そんなアイテムが1つあるだけで、毎日が快適になるはずです。 ぜひお仕立ての参考になりますと幸いです。
以上、今回はYさんの【コンフォートジャケット】についてご紹介させていただきました! ご愛読いただきましてありがとうございます。 そして最後に、今回ご注文からHP掲載のご協力についてもご快諾いただきました、Yさん。 誠にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。