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ウエストをギリギリまで絞ると・・・
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女性はもちろん男性もどこか憧れますよね〜。 でも、実際には男性の場合は 内ポケットに物を入れるニーズが強く、適度なゆとりを作らなければならなかったり、そもそも男性はウエストをそこまで絞れるほどお腹が細くなかったりという理由でこれって現実的には『 憧れ 』で終わるものです。 さて、先月ご紹介したKさんは30代後半というご年齢にも関わらず、中年太りとは全くの無縁 非常に筋肉質で脂肪の少ない体型の方でした。 そんなKさんがお求めになられたのは出来る限りウエストの絞りを強調した『シルエット最重視』のスーツ。 詳細はこちらをご覧頂くとして、ご依頼の内容はレディースのパターンを使ってでもウエストラインを綺麗に見せて欲しいとのことでした。 ちなみに当初お持ち込みになられた見本服はこんな上着です。 ウエストがぐっと引き締まっているでしょ! でもご注文がまとまるまで色々とすったもんだがありました。 ■ Kさんのご希望 ■
◆ 現実(当社の仕様)では ◆
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・・・最終的には1.3.を優先して、メンズのパターンを使用した上でギリギリまでウエストを絞るということでお仕立てをすることになりました。 さて、そんなシルエットへのこだわりを持つKさんのご注文を、中年太りに悩み 細身のシルエットに縁遠い私がどこまでお仕立できたのでしょうか? どうぞご覧下さい。 まずは前から見て簡単にデザインをご紹介しますと・・・ ■基本デザイン■ >>>シングル1つボタンピーク襟 ■特徴 ■ >>> 真夏のフォーマルを意識したデザイン。 ピーク襟にしたのはフォーマル度をUPのため。 そしてボタンをくるみボタンの拝みボタンにしたのはタキシードライクな雰囲気を出すため。 着丈も通常よりは2センチほど長くして、ウエストの絞りをヒップの張りで更に強調したデザイン。(ご本人の弁では「グラマラスクラシコイタリア風」)といった感じでした。 どうですか?ご本人が気にされていたレディースレディースしていないというか、しっかりメンズの仕立てになってますよね。
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どうですか、皆さん全体をご覧になられて・・・ なかなかここまで引き締まったボディーの方はそうはいないと思いますが、絞りが強烈に効いているでしょ。 皆さんも是非一番右の画像と、ご自身のスーツの脇部分を比較してみてください。 赤の部分と黄色の部分の長さの差である程度ウエストの絞りが分かるかと思いますが、このスーツではこの部分の絞りが尋常ではありません。 (もちろん、ウエストの絞りはこの部分だけで作るわけではありませんから、あくまでWebで分かる範囲で説明しています。) これには出来上がりを試着したKさんも鏡を見ながらご満悦。 いや〜っ 良かった良かった。(←私の感想) 仕立て上がりはKさんがご来店される前にもちろん私の方で検品しましたが、それはあくまでボディーに着せる程度の話。 ボディーはあくまで標準体型に近いですから、なかなか着用姿までを想像して検品は出来ないのです。 ですからご試着の時ってホント緊張しますよね。。。 無事試着が終わり世間話をしながらホッと一息を入れていると...Kさんが・・・ 『ヨシムラさん、それじゃ次のデザインの相談なんですが・・・』と切り出しました。 (実はこの時私は別のお客様の接客中で本当は荒井君が接客していたのですが・・・) .... で、次の内容はというとこんな感じ ↓↓↓
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■ | 基本的に今回のシルエットでOK |
■ | ただしまだウエストを絞れるのでもうちょっと絞りをキツくして欲しい。 更に!前回のお客様いらっしゃい(後半部分)をご覧になり、メンズ工場のプリンセスライン付きが出来ることが分かったので... |
■ | 今回はプリンセスライン付きで... |
・・・といった感じになりました。 (つまりレディースでは失敗作でガチガチに見えるものでもメンズならむしろこちらの方が良いと言うことです。) >>> ふ〜っ一難去ってまた一難?!また宿題をもらいましたが、画像の「メンズ工場プリンセスラインつき仕立て」(モデル東京店三谷さん)を直接お見せした上での話ですので、『これでしたらOK!』とお返事してご注文は終了。 Kさんもホッとしてお帰りになられたことと思います。 そして、その晩、接客をした荒井君と私、そして工場との窓口である大橋氏と3人で妖しげに協議をしていると・・・
そうです、私たちイージーオーダーではデザイン的なパターンの他にサイズ的なパターンがあって今回の三谷さんの試作はあくまでレディースサイズでのパターンでしたので男性のKさんのサイズまでパターンを広げられなかったのです。 (例えて言えば現行のイージーオーダーでは子供のスーツが出来ないのと同じです。) 翌朝、工場への念のため確認すると・・・工場もやはりNGということで... 『あっちゃ〜、困ったな〜』 でも、Kさんには期待されているだけに真実を伝えなければ・・・ということでこんなメールを出しました。
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スミマセン。問題が発生しました。 | |
Kさん おはようございます。オーダースーツのヨシムラ(吉村)です。 梅雨空ながらも比較的涼しい日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか? 昨日はわざわざご試着にお越し頂き有り難うございました。(予想以上に上手く仕上がっていてホッといたしました。) さて、 ご来店の際にお受けした次のご注文の件なのですが職出しをして、これで万全と思っていたのですが 予期せぬ所で思わぬ事態に陥ってしまい、お詫びかたがたメールいたします。 実は先日のご注文で、メンズ工場&プリンセスラインでお伺いする話で工場に持っていったのですが工場が只今開発中のレディースパターンがレディースサイズの肩幅でしたら既にOKなのですが、そのアレンジとしてのメンズ体型サイズの肩幅まで、まだ対応しきれていないことが判明してしまいました。 これは私どもも正直想定外の思わぬ落とし穴だったのですがよくよく考えてみれば、レディースを本格稼働する今の時期にそこまでアレンジを利かせるのも、仮に出来たとしてもかなり無理のあることですし、また、このことを察することが出来なかった当社に責任があると思います。 以上の通りで大変申し訳ないのですが、今回のご注文メンズ工場&プリンセスライン付きが再度ダメになりました。 Kさんには、またもご期待に添えない形となりお詫びの言葉もございません。 何卒お許し頂きたく、そして今後の対応についてご指示いただきたくご案内いたしました。 何卒よろしくお願いいたします。 オーダースーツのヨシムラ 東京SHOPMASTER 吉 村 雅 隆 |
するとすぐさまKさんからもお返事を頂きました。
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Re: スミマセン。問題が発生しました。 | |
オーダースーツのヨシムラ(吉村) さん なるほど、まだメンズサイズに対応出来ない段階なのですね。 そのような事情でしたら残念ですが今回は、プリンセスライン入りは諦めざるを得ないでしょう。 了解しました。 では今回オーダーしたミッドナイトブルーのスーツは前回同様、「プリンセスライン無しで出来るかぎりシェイプを入れる」、と言う形でお願いします。 (先日出来上がったブラックフォーマルは着丈長めのスクウェアカットとあいまってとても好みのラインに仕上がっていましたので、渋々妥協と言うわけではありませんから御安心を。) ただ技術的に可能なら、上着のウエストを総寸で1〜2cm絞って下さい。 今回のオーダは生地の質感(光沢やドレープ感)が良いこともあり、出来上がりが愉しみです。 |
★☆★東京SHOPMASTERより一言★☆★ | |
は〜っ、助かった。(というか、助けてもらった。) 私もこの世界で生きている者としてそれなりの経験を持っていますがやはりレアなケースでは『当たって砕けてしまう』ことも多々あります。 言い訳になりますが、私自身は本来は完璧にお客様をリードする立場ですが、ある部分では、こうやってお客様と一緒になってチャレンジして、場合によっては一緒に砕け散ることも悪いことではないのかな?と(個人的には)思っています。 それだけ、オーダーというのは奥が深いものですし、個別性の高いことだからです。 こんな私(当社)は無責任なのでしょうか? それでは次回もまたお楽しみに〜! |
★☆★ おまけ ★☆★ | |||||||||||||
全くプライベートな話ですが、Kさんと世間話をしていて思わず盛り上がったことを少々。 Kさんは画像の雰囲気からもお分かりかと思いますがちょっと業界人っぽい方です。
いや〜、久しぶりに盛り上がりました!!楽しかったです。 |