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ライナー付きコート完成です!
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11月は大したこと無かった寒さも12月になるとそろそろ寒さも厳しくなってきましたね。 皆さんのお住まいの所ではいかがですか? さて、今月は北海道にお住まいのWさんのコートの出来上がりをご紹介したいと思います。 北海道と言うことで本州にお住まいの方よりはやはり寒さには敏感、その上使い勝手は東京辺りではお洒落着としてのコートでもあちらでは実際の需要に根付いたもの。 そんな札幌のWさんのコートどんな風になったでしょうか? 北海道ならではの仕様も入っていますので、寒がりな人 あるいは真冬外出がちな方は是非ご覧下さいね。 |
ご注文の内容はこんな感じでした >>> 詳細は先月のお客さまいらっしゃいまで |
■ 生地は >>> イタリアのロロピアーナ社製 ロロピアーナというとスーツ地を想像しますが実は生地関係全般を取り扱っているのでジャケット地やコート地なども得意です。 今回の生地は目付で540グラムというかなり重量はありますがその分しっかりとした生地でのご注文でした。 |
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★☆★ ちょっと一言・・・ ★☆★ | |
〜どうしてロロのジャケット地があまり流通していないか?〜 スーツとしてはロロピアーナの知名度はスゴイ人気がありますが意外と同社がジャケット地やコート地を出していることはあまり知られていません。 <どうしてなのでしょうか?> これは「メーカーの問題」ではなく『国内オーダー業界の弱さの問題』です。 というのは、当社も正にそうなのですが、実の所ジャケット地というのはスーツと比べると需要が絶対的に少なく、しかも売れる時でもスーツと違いパンツは売れませんから使用する生地も短かくなかなか完売するまでに至りません。 このため、テーラーや生地屋もリスクを張って在庫を持ってもそれを売り切る自信がない。 だから仕入をしない。ということの現れなのです。 当社でもこの点は全く同じで、ようやく最近夏場のコットンやリネン、冬のカシミヤ入りジャケットなどお客さまが増えてきたので何とか今回新柄を10マークほど入れましたが、仕入れる側としてはリスクが高いにも関わらず儲けが少ないため見送るケースが多いのです。 お寿司屋さんなんかでも言えますが繁盛しているお店は新鮮で良いネタを使いますが、逆に繁盛していないお店のネタは古いですよね。 テーラーで生地の鮮度を確かめるなら 『洒落たジャケット(地)ってない?』って聞くのが一番ではないでしょうか? |
■ 基本デザイン >>> ラグランスリーブのバルカラー(比翼仕立て) ある種外見的には一番使い勝手がよく、とてもオーソドックスなデザインです。 バルカラーの襟にしたのは、ノッチの襟(通常のスーツのような襟)は今年流行ではあるのですが、北海道ではこれでは胸の開きが大きくなるため防寒対策上の問題でしょうか? ■ コート丈 >>>107センチ 身長が180センチを越えるWさんのコート丈は107センチ。カジュアルコートとしてはやや長めです。 この辺お話は伺えませんでしたが、今年のコートのトレンドが7分丈でややショートであるにも関わらず長めにしているのは北海道ならではで実用重視にしたのかもしれません。 オーソドックスなデザインですが丈が長い分防寒性はバッチリです。 ■ キルティングのライナー付き 防寒性がバッチリという点ではコレに勝るものはありません。 何といっても脱着可能なライナーを付けたのが今回最大の特徴。 色も生地がベージュ(ブラウン)系ですのでこちらもライナーもベージュ系で。 生地そのものは当社の倉庫をひっくり返して探して見つけた正に掘り出し物です。 いかがでしょうか?画像をご覧頂いて・・・ □ 全体の雰囲気 □ 身長180センチ以上のWさんのコートを172センチの私がモデルになっているためかなりオーバーサイズですがなかなか良い雰囲気でしょ。 比翼仕立てでボタンが見えないため、すっきりして見えますね。 生地がなんか昔のシャーロックホームズのイメージがありますのでこの生地って意外とインバネスコートなどにしたら良さげなそんな雰囲気がありますね。(当社ではインバネスはお仕立不可です。) □ 気になるライナーは・・・□ こちらの方もちょっと薄手のキルティングだったのですが程々の長さで色の違和感もありません。 私的にはちょっと大急ぎでキルティングを探さなければならなかったため妥協した感があり、個人的には大満足では無かったのですが、一応合格 カナ? □ ライナーのディテール □ よく見えないと思いますのでアップの写真も入れました。 ライナーはヒモ(チー)とボタンで留める形になります。 一度こういったライナー付きを仕立てれば後から別の生地でライナーだけ仕立てることも可能ですので、もし本当に極寒の地でしたらカシミヤの生地でライナーを作ったり、 あるいは逆に全くのお洒落着として脱着可能な裏地代わりに何枚か作るのも気分転換に良いかも知れません。 □□ その他のディテール □ 「お客さまいらっしゃ〜い」では本文が長すぎ割愛したのですが、ご注文時に実はWさんから 『コートのポケットをファスナーで出来ないか?』とのご依頼を頂いていました。 そこでファスナーでお仕立したのがコレ。 個人的にはコートにはファスナーを付けるような貴重品は入れないので、必要性はあまり感じないのですがたってのご希望でしたのでお付けしてみました。 Wさん何を入れるんでしょうね。。。 ... と、まぁ〜、写真付きでご紹介しましたが皆さんいかがでしたでしょうか? そして後日Wさんからはこんなご感想のメールを頂戴いたしましたのでご紹介します。 |
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★☆★ 後日談 ★☆★ SHOPMASTER的に気に入らなかったこと | |
ホントのことを申しますと 今回の出来上がり私としてはちょっと(というか、かなり)気に入りませんでした。 どこがダメかというと、Wさんからもご指摘がありましたが、そう、キルティングなんです。 今回のご注文では「キルティングをつける」というのが必要条件で、その素材感や色などは「お任せ」でした。 ですから、当社としては仮にWさんからお気に召さないと言われても、だからといってどうにも出来ない(これ以上コストを掛けられない)事です。 ですが、今回はWさんがこれまでご愛顧頂いていたリピーターであったと言うこと、そしてたまに東京出張の際にはわざわざ忙しいスケジュールを押してまでご来店頂ける方ということもあって、私としても出来る限りのことをしたい! いざとなったらキルティング(ライナー)を作り替える位の気持ちでいましたので、実は検品の段階でライナーの型紙を残しておきました。 それで↑↑↑のようなご感想(きっとご不満だったのでしょう、)を頂いてしまったので、私としてもいても立ってもいられずライナーの作り直しをする事にしました。 ただし、これは例外中の例外の対応です。 こんなことをしていたら商売が上がったりになりますから。 ホントは、こんなことをWebに出すと、「Webに出す人だけ特別扱いして。。。」とか「Webの人で作り直しをしたのだから自分にもして...」とご批判される危険性があるのですが、「お客さまいらっしゃ〜い」「ありがとう」では良い結果が見え見えの情報だけ出すのではなく、悪い情報(失敗例)も素直に公表すべきと思い敢えてディスクローズ優先で掲載いたしました。 ... と、いうことでWさんのライナーは只今代替生地の見立て中です! |