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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 こんな礼服に仕上がりました。 
さすがに3月の声を聞きますと朝晩の冷え込みもぐっと緩やかになり、日差しも長くなってきたようです。
おりしも南国からは桜の便りもちらほらと聞こえるようになってきましたが、今月から4月に掛けては文字通り春のイベントラッシュ
入学式や卒業式、入社式に退社式(これはないか)結婚式等々、フォーマルスーツもタンスでひと休みする間もないほどの出番が目白押しです。

さてさて、今回は前回のいらっしゃ〜いでご紹介しました0さんの礼服が仕上がってきましたので、早速ご紹介してみたいと思います。
「ありきたりの礼服ではもうひとつ...」と言う方に、こだわりの礼服のヒントになればと思いますので、どうぞご覧下さい。(4月のご着用なら今からのお仕立てでもまだ何とか間に合います。)

その前に今回Oさんがオーダーに至った経緯をお話ししますと、、、
Oさんは高校の教員をされておられるのですが、3月に卒業式があるのでその時のための礼服をオーダーされました。
もちろん、ご職業柄礼服は既にお持ちなのですが、今年の卒業式はOさんにとって今まで以上に思い入れの深い式なんだとか。
と言うのも、今年初めて3年生を受け持ち、その生徒さんを送り出すということでちょっとでも生徒さんの思い出に残る卒業式を...ということのようなんです。
もちろん初めて生徒を送り出すと言うことで感慨もひとしおなのは分かりますが、その為にわざわざ礼服、それもちょっと変わったのを...とは、よほど生徒さん達に思い入れがおありなのかも知れません。
そう思われる生徒さんも幸せですね、ちょっぴり私の高校時代を思い出しながら羨ましく思いました。

それでは、BGMは武田鉄也の歌う贈る言葉で、以下をご覧下さい。
暮れ〜なずむ街の〜光と影の中 去り往く貴方へ贈る言葉〜
スタイル・・・

上着が丈長め&ボンタン風パンツでイメージはそう、ガクランです。
前ボタン・・・4つボタンでくるみボタンに
ピークドラペル
フロントカット・・・学生服風にスクウェアカット
腰ポケット・・・ゆるめのハッキング
センターベント・・・深めの30センチ
パンツ・・・おとなし目(?)のボンタン仕様
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★
いかがですか?なかなか不良っぽい(?)礼服の仕上がり具合となりました。
試着されたOさんは『昔を思い出すなぁ〜』と、先生にあるまじきお言葉(?)で喜んで頂けました。
私は軟派でしたのでイマイチピンときませんが、そういえば昔の校庭の隅にこういう真っ黒な一団がいましたっけ。
なぜか関西のお客様にはこのタイプの受けがよろしいようで、お話を伺うといつの場合もあ〜だこ〜だと盛り上がる事間違いなしです。

それでは折角ですのでいくつかOさんがこだわられた箇所をご紹介したいと思います。

■ こだわりの見せ所の数々 ■
□ くるみボタンは金属の台を表地で丸く包んでできた、主にモーニングやタキシードに多く用いられるソシアルな雰囲気を醸し出すアイテムです。
ピークドラペルもここへ来て今やトレンドタイプには欠かせないアイテムとなり、特に若い方には新鮮なデザインと映るようですが、元々はクラシックなイメージを持つデザインです。
いずれもスーツ全体が不良っぽいイメージの中、あえてオーセンティックなデザインにこだわってご提案してみました。
裏地は黒地とのコーディネートにおいては半ばお約束の、ワインレッドをお見立てし、より高級感を演出。
表地がかなり深みのある黒色ですのでよりコントラストが鮮やかに映ります。
(でも、Oさん本当は竜虎の裏地がご希望なんでしょうね)
式が終われば87センチの上着丈を短めにカットして、通常の礼服として使用できるようにボタン位置やポケット位置を設定。(この辺りが私の熟年の腕の見せ所)

Oさんの体型をご希望通りにいかに細身にスマートに見せるか(すいません)苦心しましたが、苦労した甲斐あってピッタリ目の仕上げです。

上着もさることながらパンツにもご注目を!
ウエストサイズが94センチでおまけに2タックにも関わらず、裾口幅は21センチと一気に細くなり、大阪では評判の良いお馴染みのボンタン仕様の完成です。
(ただ、Oさんのお話では現役の頃は裾幅が14センチのパンツもあったようで、脱ぐのに一苦労で座り込んで裏返して脱いだそうです。それから見ればこれでもまだまだ太い?)

★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★
なんとか3月1日の卒業式までに間に合いました。
ちなみにこのスーツの足元は、体育館での式ゆえスニーカー着用だそうで、余計に目立ちそうです。
話を伺うとO先生のクラスでは、この不況下にも関わらず卒業生の就職率も100%との事。
O先生はおそらく剣道にも熱心なその口振りから、熱血先生と拝見しました。
今時の生徒さんの事ですから、なんやそのスーツは?と言われるのかなと、Oさんも生徒の反応を楽しみにお持ち帰りいただきました。(案外父兄の評判が良かったりして。。。)

「せめて最初に送り出す生徒だけでも思い出に残るような式にしたい」とのご希望で、ありきたりの礼服は着たくないというOさんの願いに、どうやらお手伝いができたようで、ホッと一安心
このスーツを着ての卒業式は、生徒さんにどんな評判を呼んだのか興味津々です。