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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 〜大阪編〜 夏の終わりに 
朝夕はめっきり過ごしやすくなってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
天高く馬肥ゆる季節ももうすぐで、当店ではつい先日秋物の店頭配備を完了し、皆様のご来店を今や遅しと待っています。

...と言うところで、今月は本来であれば秋物の出来上がりを皆さんにご紹介したいところですがさすがにまだ冬物の仕上がりがないため、今回は今夏シーズンの締めくくりとして、@セールの最後にご注文頂いたAさんのスーツ2着の出来上がりをご紹介したいと思います。

ご注文の詳細は前編のお客さまいらっしゃ〜いをご覧頂くとして、今回のご注文は基本的にはデザインをはじめ全て私にお任せということでのご依頼でしたが、唯一出されたご希望が「どこかにさりげなく可愛さを取り入れる」ということでした。
これには、Aさんのお仕事が女性相手の仕事が多いため、少しでも女性受けするように可愛さを持たせたいというの狙いがあったのことですが、これが意外と難しかった!!
「可愛く...」なんて言葉は私にはこれほど似合わない言葉はありませんから、この点では大いに悩みました。(^^;)

果たして「可愛らしさ」をスーツで上手く表現させ、Aさんご本人にもご満足いただけたのでしょうか?
百聞は一見に如かずです。皆さんご自身の目で出来上がりをご確認の上ジャッジして下さい。

1着目・・・ゼニアシルクウールのジャケット
 まずは全体像 
いかがですか?画像からも高級シルク独特のしなやかさと光沢感が直に伝わってきそうですね。
パステルカラーで見た目にも見る人をハッとさせ、クールビズ(=ビジネス用)にはちょっと贅沢すぎるかな?と思いますが、Aさんのご職業は女性の目を意識しますので、見た目のゴージャス感も重要なポイントです。
ライトグリーンの地色に飴色のボタン、それに白シャツを合わせると、さながら地中海のリゾートっぽいイメージに仕上がったかなと、私ひとりで悦に入っています。
そして、表のセレブ感とはうって変わり、内側は今回のキーワード「可愛さ」を取り込んでみました。
表地がグリーンですので、内ポケットの玉縁を同じ花柄でもピンク系でキュートにあしらってみました。
イメージとしては「夏の夜空にパッと咲いた花火」ですが、いかがでしょうか?

 その他のこだわりのディテールは? 
こちらは「可愛さ」と言うよりは、ちょい遊び心とオーダーらしさのコラボということで、逆切羽仕様 にトライです。
こちらはもちろんAさんに内緒でのサプライズの一環ですが、遊び心タップリですし袖先のボタンが見えないため見た目にスッキリでお洒落です。
ちなみに、こちらは開けてナンボですので、わざとボタンをはずしての着用をお心掛け下さい。

:逆切羽とは、通常の本切羽では袖ボタンが外を向いているのに対し、袖の内側にボタンが来るようにした当社オリジナルの仕立て。
袖先にボタンがないため同じ太さの袖でも見た目にスッキリ見えるのが特徴です。

またステッチもカジュアル素材では半ばお約束(つまりステッチひとつで遊び心を表現します)の5ミリのピックステッチ、ポケットもパッチ&フラップとクールビズのお手本のような仕様です。

2着目・・・ロロピアーナSPORTS FABRICS コットンベージュ
 まずは全体の出来上がり 
ドライ感のあるコットン素材はさながら軍服を彷彿させるような男っぽいイメージに仕上がりました。
これはこれで想定内ですが、ディテールでいかに「可愛さ」を表現できるか?これこそがプロの腕前の見せ所です。

 気になるディテールは 
そして、肝心のディテールですが...
基本形は3ツボタンの中掛け、ハイゴージBにハッキングポケットとオーソドックスですが、その他にもこのようなカジュアルの定番をラインナップしてみました。
衿とフロントはコバと8ミリのダブルステッチ
>>> 良いアクセントになっていますね。
袖は1ツボタンでボタンホールはナナメに。
>>> つまり袖ボタンは数が多い程ドレッシーになるということです。

裏地は表地との相性と可愛さ重視
>>>・・・ということで、Z507-2タッターソールをセレクトしてみました。
表地が無地な時、裏地に柄物を使うと小洒落た感じが出ます。

そして極めつけが、印象を左右する肝心の内ポケットの玉縁です。
コチラのコットンはでビシッとキメてみました。
はっきりとしたコントラストが全体を引き締め、予想以上にカッコよく仕上がっていると思います。
...が、可愛さと言う点ではやや劣るかな?と思いますので、この辺りはAさんのお気にいって頂けるか、う〜ん悩ましいところです。

また、ポイントステッチも同じく赤にとも考えましたが、熟慮の末ややしつこくなるので今回は入れない選択としました。



★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
仕上がりは残念ながらAさんのお仕事がお忙しく、ご来店、ご試着、お引き取り...とならず直接Aさんからご感想を伺えず残念でしたが果たしてAさんにご満足頂けたのでしょうか...?
その後ちょっと連絡が途絶えてしまったため、「私へのお任せがひょっとして失敗?...」と少々心配になりましたが、待つことしばし、数日後Aさんより嬉しいことに次の秋冬物のサンプル依頼を頂戴しました。

...と言うことは、Aさんにご満足頂いたものと勝手に解釈し、「可愛さ」「おまかせ」作戦はひとまず成功だったようです。
私もない知恵を絞った甲斐がありました。
いずれも去りゆく夏物の掉尾を飾るにふさわしい華やかな素材と仕様になったのではと自信の2作になりました。

ちなみに口うるさいレディス担当の藤本に「可愛らしさはどう?」と聞けば『まぁ、レディスでも有りかな...』と合格点らしき雰囲気でした。
本音としてはもう少し弾けた仕様でも大丈夫かなと思いましたが、何せお任せだけにあまり行き過ぎもどうか?と多少押さえ気味な箇所もありました。

こんな関西のにぎやかお好み焼き風バージョンもお任せ頂ければ承りますので、こういう系のお好きな方はぜひお申し出下さい。

ただし、、、サプライズは承った担当のセンスによりますので、悪しからず。
それでは次回秋物をご紹介いたします!