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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 〜大阪編〜 仮縫いのついでにもう一着 
一雨毎に春の気配が...と言いたい所ですが、行きつ戻りつしながら季節は移ろっていきます。
しかし春の訪れはもうすぐそこ、「こんなのもあったな〜」とタンスの中の春物への衣替えも楽しみのひとつです。

当店でも、既に分厚い冬物から軽やかな春夏物にお色直しを済ませ、今や遅しとご注文をお待ちしている所です。
ところが、ちょうど今の時期はたくさん頂いた秋冬物のセールの仕上がり品が溢れ、(皆さんありがとうございます!)ご注文よりはお渡しの方が忙しい時期に当たります。

そんなたくさんの仕上がりの中一際目を引いたのはリピーターのHさんのジャケット&ベストでした。

使用した生地は、今までにもWebで何度も取り上げているお馴染みのハリスツイードですが、ジャケット&ベストのセットにベルト付きのスタイルは今回が初めてです。

そこで、ウオームビズにはやや遅まきですが、クールビズにはまだ充分間に合うとばかり皆さんにもご紹介してみたいと思います。

生地 ・・・ HT7815

>>> もっともハリスツイードらしいと評判の茶色とグリーンミックスのガンクラブチェックです。
ガンクラブとは読んで字の如し、狩猟を目的としたクラブの制服として用いられた為にこの名があります。
(実は先日社員旅行先のグアムで鉄砲を撃ってきましたので、この辺りやや実感がこもります)
つまりハリスツイード本来の山野を駆け巡る、実用に即したヘビーデューティーな素材である事が これを持ってしてもわかるというものです。

特徴的なデザイン

ウエストベルト付き
>>> これが今回の一番ポイントです。
レディスでは今や売れ筋でお馴染みのスタイルですが、メンズではコートは別としてジャケットでは初めてです。
ベルトは5センチ幅で、バックルにはピンを付けてグイッと締める本格仕様になりました。
また、ベルトを止める腰の左右のベルトループの巾は横4cm縦6cmと大きく、これ自体がひとつのアクセントになっています。
Webでお馴染みのノーフォーク仕様の背バンド付きはこれが簡略された仕様で、本来は実際にこのようにベルトで止めていました。

衿元はタブ付き
>>> スロートタブと専門的に呼びますが 、上衿の端にタブが付いています。
本来は片側にボタンが付き衿を立てて着るためのデザインですが、今は単なる装飾化しています。

ポケットは胸と左右の腰ポケットいずれもパッチ&フラップのボタン止め
>>> 本来の目的は狩猟の際に弾丸や食料を入れるためで、マチ付きで収納力たっぷり。
又それらがこぼれないようにボタンで止められています。
このデザインはWebでは4年前が初出でしたが、今やカジュアルアイテムの定番と言える存在です。

ちなみに、画像は4年前の東京ショップマスターと三谷女史の若かりし頃の(失礼!!)ですが、4年経った今でもカジュアルな雰囲気はこのタイプが断然goodですね。

ボタンは全て革ボタンを使用
>>> ボタンひとつでお手軽に通っぽいカジュアルさを表現できますから、ここはハリスに限らずぜひお試し下さい。

極め付きはベスト付き
>>> 背中にも表地を使用したあったか仕様です。
オッドベストとしても汎用性の高い、冬の定番アイテムとなること間違いなしです。

...と、Hさんのハリスツィードの出来上がりはこのような感じでしたが、所詮洋服は人が着てなんぼの世界です。
ですので、本当はHさん本人の着用姿を掲載したかったのですが、何分Hさんもご多忙故にあいにく原稿の締め切り期限に間に合わず、今回は残念ながらボディに着せた状態での写真撮影となりました。

ところで、Hさんの今回のオーダーのそもそもの経緯はと言うと...

実はHさん先日開催したフルオーダー受注会の仮縫いにお越しいただき、その際に何気なくめくった本の中の写真を見て、これだ!とばかりのハリスのご注文となりました。
(著作の関係があろうかと思いますが絶版本で許諾請求できず一部を切り抜き掲載してみました。)

恐らく半世紀以上前の映画のワンシーンでしょうが、真ん中の人物のスポーツジャケットが実はネタ元でした。
もちろん以前からぜひハリスをとご希望のHさんでしたが、デザインとしては英国風の正統派のスポーツジャケットを所望されていました。
ただ、昨今そんなタイプはどこを探しても見あたらず、具体的なイメージを探されていた所でした。
そして本を前にして具体的なデザインをご相談しましたが、胸前の縦に入ったベルト風の切り替えがなんとしても難しく、それらは簡略化しつつも英国風のカントリージャケットのイメージはぜひ残して欲しいとのご希望で、今回のような仕様をお勧めした次第です。
そしてこだわりは遂に共地でベストまでと相成りました。
ちなみのその本によれば、ハリスツイードのボトムはフランネルのパンツが最適との事で、Hさんにも仕上がりの際にフランネルのブラウンをお勧めしてみようと思います。

★☆★ 大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

ついでに上着と合わせた足元はこんな場合どうするの?とのお悩みにご提案をひとつ。
お勧めはModel.9006:ダブルモンクで、色もダークブラウン。
カジュアル感とドレッシーさ、フィールドとアーバンさが微妙にマッチして上着をより引き立たせること請け合いです。
足元ついでですが、靴下もアーガイル柄で合わせるとトータルな雰囲気の演出に役立ちます、お試し下さい。

ちなみに、Hさんのフルオーダーはこんな感じでした。

Hさんの今回のジャケット&ベストの着用姿は残念ながら写真に納めることができませんでしたので、代わりと言っては何ですが、先に仕上がり無事フィッティングも終わったHさんのフルオーダースーツ の着用画像を簡単にご紹介したいと思います。

生地:G1158 John foster(英)
>>> ベーシックな紺無地ですが、クリアな表面感を持つ近頃珍しいマットウースという織り方です。
今や少なくなりましたが、以前は秋冬物の代名詞と言われるほど、もっとも英国物らしい雰囲気を持つといっても過言ではない素材です。

仮縫い&仕上がり状況
>>> ここはHさんの仮縫いに当たった吉井工場長のコメントをどうぞ!
Hさんの体型は、猫背気味でなおかつ前肩と日本人に多い体型ですが、お若い方ですので少し肩先を上げ、またカマ(アームホール)を浅くして全体をシャープなイメージに仕上げました。
この辺りは仮縫いの際に具体的に「これ位ですか?」とご相談しながら修正していきますので、フルオーダーの最も得意とする所かと思います。

ただ、生地は英国製らしくかっちりと織られていますので、仕立てる側としてはイタリア物の細番手に比べて楽でした。(笑)

しかしこのようなプレーンな無地ほど仕上がりには善し悪しが目に付きますので、仕上げのプレスなどにはかなり気を遣う素材です。
いずれにしましても、しっかりと織り込まれた生地に加え、しっかりと縫製してありますので、末永くお召しいただける物と確信をしております、どうぞご愛用下さい。

★☆★ 大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

ハリスとJOHN FOSTER、いずれも英国が共通のキーワードの2つの素材ですが、生地と仕立て方、ビジネスのONとOFFと用途別にも分かれ、Hさんのワードローブに彩りも加わったかと思います。

Hさん、厚かましいようですが次回はぜひ春夏物でフルオーダーとジャケットを宜しくお願い致します。