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狙い通りの仕上がりでした!
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ずれ込んだ梅雨が明ければ猛暑の8月。 そこでひと言、「 夏来たりなば、秋遠からじ 」 はて?そんなことわざがあったかな?と思われそうですが、ところがあるんですよこの業界には... 8月に入り本格的な夏を迎えますと休む間もなく秋冬物の最後の追い込みに入り、秋冬がもうそこに到来したかのような錯覚にとらわれるという所からそう言われます。 ... とは言っても、秋冬物の仕入れ作業は春まだ寒き3月から始まっていますので、今の時期は集めた生地のサンプル作りの追い込み作業中にもっぱら追われているという訳です。 厳選された生地達が陽の目を見るのもあともう少し、お客さま各位、秋冬物は今しばらくお待ち下さい。 さて、今回ありがとうでご紹介するお客さまは前回のいらっしゃいでご紹介したIさんです。 前回のいらっしゃいをご覧の皆さんはお分かりのように、今回は衿への刺繍と、執念で手に入れられた裏地、この2つのコラボが最大の見どころです。 ごちゃごちゃと説明は後にして、ここは何はともあれ仕上がりをご覧下さい。 百聞は一見に如かず、この画像の前には言葉は無力ですね。 まずは、全体の仕上がりの雰囲気をどうぞ! えっ?普通のブラックスーツっぽいやんって? 確かに、パッと見た感じはフラワーホールに少しアクセントがあるだけの、普通っぽいブラックスーツのように見えますね。 でも、ここから先がなんせスゴイんです!! ...と言う訳で、今回のメインの1つでもある裏地の雰囲気をどうぞ! |
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上着の裏側だけなら、脱ぎさえしなければそう目立たないですが、ベストの背中までこれだとかなりの迫力ですね。 ペイズリーと言うよりは唐草模様に近い柄ですが、さすがは元々某ブランドの表地だっただけにズッシリとした重量感があります。 特にベストの背中は有無を言わせぬ圧倒的な存在感で、予期したとは言え私も参りました。 アームバンドが加われば、さながらイメージはプロのギャンブラーのようです。 ただ、ここで一つ注意点を申し上げると、今回の素材だけに限らず本来裏地用に開発されていない生地を裏地に転用しますと、スベリに難点が出る場合も稀にあります。 つまり、袖口へ腕を通した時にやや引っかかり感があるのです。 具体的には、キュプラ裏地がスーッと通るのに対して、ズズズッと引っかかるといえば分かりやすいでしょうか。 まぁこの辺りは仕上がってから試着して初めて分かることでもありますので、裏地お持ち込みの場合は少々ご注意下さい。 続いてもう1つのメイン、衿の刺繍はこのようになりました。 |
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こちらは某有名ブランドのネクタイの図柄をそのまま衿に刺繍で再現して欲しいとのご希望でした。 「出来なければ諦めますけど...」というIさんのお言葉に、つい年甲斐もなくムラムラと発憤して、方々の刺繍屋さんに当たること数回。 電話口で「1着だけではどうも...」と渋るM刺繍さんに「そこを何とかお願い」と、現物のネクタイと上着を持参の上談判してやっていただきました。 単に刺繍を入れるのではなく、真ん中の図柄は除外して、衿のラインに平行に添って、かつ下衿の立ち上がり迄とうるさい注文をよくぞこなしてくれました。 (M刺繍さんご協力本当にありがとうございました。また機会があればお願いします。) これだけでオプション代は13,000円(税込)と破格ですが、何分にも職人の手仕事の上、Iさん1着だけのスペシャルバージョンのため、少々高いとは納得のいく費用なのではないでしょうか。 |
メインの裏地&刺繍に合わせたその他のデザインもご紹介しますと、このような内容です。 ● シングル2つボタン ● 腰ポケット・・・チェンジハッキング ● サイドベンツ ● 袖口・・・逆本切羽 ● フラワーホールと胸のネーム糸色はお約束の紫 ・・・等々 |
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さて....こうして出来上がったIさんのスーツですが、Iさんご自身も仕上がった刺繍と裏地を見るなり開口一番、「 スッゲー!!! 」のひと言!! このひと言で全てがOKでした。 そして、お持ち帰りの後、改めてこのようなメールを頂戴しました。 |
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お陰様でこんなの出来るかな?シリーズも無事完結。 構想3ヶ月、着手以来1ヶ月半を経て、よう〜やく完成の暁を迎えました。 おまけにこれだけ喜んでいただけると、掛けた苦労も見事に吹っ飛びます。 仕上がりを見て更に創造意欲をかき立てられたとのことで、次回作は「サタデーナイトフィーバー」をイメージした真っ白なスーツになる様子。 (あっ、これは内緒だったかな...) 表地はポリエステル系で決まっているようですが、裏地をどうするかと、これまた構想を練っておられるご様子です。 裏地がついに見つかりました!と駆け込んでこられる日を楽しみにしていますよ、Iさん。 |