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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 春の装いが仕上がりました 
3月になって俗に言う「寒の戻り」でしょうか 、春はすぐそこと言い始めてから、見えど届かずで、まだ春物を着るには厳しい気温の毎日ですね。

とはいえ、あちこちからは桜の開花もちらほらと聞こえ始めているだけに、洋服ダンスの入れ替えや半年使い込んだスーツのメンテナンスはどちら様も手抜かりなく、どうぞお早めに準備下さい。

そこで今春物第一発目のご紹介はオープニングをかざるに相応しく、前回の「お客様いらっしゃ〜い」でご紹介した春らしい色目のスーツが仕上がってきましたので、ここに画像と併せてご紹介致します。
前回の詳しい内容はどうぞこちらをご覧下さい。

□ 今回のポイント □
今回の原稿のポイントとして掲げたのは、
<春らしい明るい色目のご注文はそんなに多くは無い>ということ

つまり、季節感が春になってもなかなか春を感じさせる色目のご注文が多くないのが昨今の実状で、
そんなところへやっと春物らしい明るい色目でご注文いただいたTさんとHさんを前回ご紹介したという訳です。

それでは早速仕上がりのご紹介を...

□ 1着目のTさんの仕上がりは? □
仕上がりをご案内すると、早速ご来店の上試着となりました。
フィッティングルームから出るなり「これは明るいなあ!」とさすがのTさんも、ひと足早く春を飛び越え、トロピカルムード満点の夏のスタイルに感嘆されたご様子でした。


ネクタイやシャツもこの撮影用にコーディネートしていただき、この色目を選んだ動機などを改めて聞かせていただきました。

試着の後、3月とは言え外は「戻り寒波」の真っ最中、「このまま着て帰りますので」とかねて用意の分厚いコートを羽織って 、寒気厳しい街へ飛び出してゆかれました。
スゴイ!若さが羨ましいですね、私などはとてもとても、いまだ冬物で震えてますから...

□ 少々いきさつがありまして。。。 □
実は、今回TさんHさんにご協力頂いてWEBでご紹介したところ、この生地を求めるに至った動機をTさんからわざわざ仕上がり前にメールで頂戴しました。

我々がこの生地をセレクトする際、「ちょっと明るすぎない?」などと、やや懸念を持ちながらもサンプル帳へ掲載した経緯もあり、非常に勇気づけられた内容でしたので、是非ご紹介します。

画像は4色ですが、同素材は左側3色で、紺、チャコール、に今回ご紹介のライトグレーをご用意しています。

070319 件名:スーツの受け取りについて
20日にスーツを受け取る予定になっているTです。
先日は遅くまで、懇切丁寧なご指導を頂きありがとうございます。
 (中略)
そして添付ファイルにその思いを込めて頂きました。

鹿児島県の奄美大島特産の大島紬を連想させるような、清涼感のある色目で日本古来の絣(かすり)にも通じる「シャリ感」のあるこの生地は、高温多湿の日本の夏に最適だと思います。
従来日本のサラリーマン達は、リネンやコットン等の素材やカラーリングを楽しんでいたはずで、この手の生地も定番であったと聞いています。


それがいつの間にか季節を問わず没個性の象徴のようなねずみ色(コンクリート色)のスーツに身を包むというか「身を隠す」ようになったのは寂しいことだと思います。
温暖化してきたとはいえ日本の気候は季節感に富んでおり、四季それぞれを象徴する鮮やかな色があります(例えば春であれば
桜色で夏は、秋はもみじので冬はなど)。
日本人独特の細やかな感性を活かしてもっとカラーリングや素材を楽しむべきだと思います。

当然自分の置かれたTPOの制約の中において、自分がどういった印象を相手方に与えるかを考慮して、戦略的にカラーリングや素材を考えていきたいものです。
そういったバックグラウンドもあってこのテイストの生地を選択しました。

ヨシムラさんにはビジネス的には難しいのかもしれませんが、幅広い提案をしていただきたいと思います。
これには顧客側からの提案も必要ですね。 京都府 T 


 ★☆★ 大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

Tさん、ありがとうございます。
ここまでおっしゃっていただくと私の出番が無いのですが、まさしく正論、おっしゃるとおり、我が意を得たり(くどい!)私共の言いたいことをそのまま代弁していただき誠に恐縮です。
その時代にあわせて色や柄がフレキシブルに変わってゆくのも仕方のないところですが、いつの時代にも流されないものは特にメンズの世界ではより見直されるべきかと思います。

ただこのあたりは供給者側としての揺るぎない自信とお勧めする責任も大きいですね。
よく読むと、さりげない文章の中にもそのあたりも込められているようで考えさせられました、ちょっぴり反省です。



そして次にご紹介するお客さまは前回ゼニアのブルーのジャケットをご注文頂いたHさん...なのですが、残念ながらフルオーダーの仮縫い付きでご注文頂いただけに、仕上がりが今回にはもう一歩間に合わず ご覧いただけません。

折角ゼニアのブルージャケットの仕上がりをいち早くお届けと思ったのですが、スミマセン機を見てご紹介しますので次回以降をお楽しみに。

そこで代わりと言ってはなんですが、しゃしゃり出て参りましたのが、私のスーツです。
題して、毎度お馴染み
この春のスタイル 〜大阪 shopmaster編〜 07バージョン

この東西両shopmasterの人気(??)シリーズもはや足かけ5年、数々の色柄やスタイルをご紹介して参りました。
そこで、今回は制作するにあたり、素材感やデザインよりブランドのイメージで行こう!と生地やテイストをセレクトしてみました。

そこでズバリ、私が挑んだブランドはお馴染み「ブルックスブラザーズ」ルックです。
「ブルックス〜」と言えば言わずと知れたアメトラの本家、その100年の歴史はアメリカのスーツの歴史と言って差し支えないでしょう。
とは言え、今やブルックス兄弟が志も高く経営にあたった当時とはかなり事情が違い、その後はM&Aの波に洗われ、オーナーは二転三転、現在はイタリア人がオーナーと聞きます。
そのお陰か、アウトレットばかりに力が入って...とこれは裏話。

それはともかく、果たしてブルックスをイメージするのは成功したでしょうか?
まずは画像と併せ、素材から順にご紹介します。
□ G3119 ジョンフォスター社 □

ミディアムグレー地に2センチ幅のピンストライプ。
(本稿の主旨に沿わず、あまり明るくなくてスイマセン)
なんら変哲もないのですが、それがアメトラの特徴をよく表していると気に入りました。


但し、織りはTさんとおなじくトロピカル織りで、日本の夏にも活躍してくれそうな軽くてソフトでおまけに通気性も良さそうと、三拍子揃った風合いです。
□ ディティール □

○2ツボタン
>>> 3ツボタン段返りの手もあったのですが、やはり今はこちらですね、2ツボタンに軍配が上がりました。

○センターベント
>>> 今のブルックスはサイドベンツも多いのですが、あえてよりクラシックにこだわりました。

○衿のステッチはコバのミシンステッチ
>>> 前回のEさんのIVYスーツと同じく、ミシンでアメリカンっぽく意識しました。
衿幅も9センチと、トレンドのナローな雰囲気とはひと味違います。

○ボタン
>>> こちらもEさんのケースと同じく、つや消しの黒が定番です。

○パンツはノータック
>>> ワンタックで?とも悩みましたが、フロントのスッキリ感が決め手となりました。

○ベルトレス
>>> こちらは以前からオススメしていましたお腹回りが気になる方へのアイデアです。
両サイドへ尾錠付きもブルックスなら面白かったのですが、どうしても横へのふくれ加減が気になり取りやめました。

○フルオーダー仕様
>>> 今回も吉井工場長をはじめ職人の技が堪能出来そうです。

...というところで、第1回目の春物のご紹介はこのへんで終わりにします。
今後は続々と魅力的な仕上がりをご紹介しますので、乞うご期待下さい。

次はどれにするか、ウ〜ン悩ましい!