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ちょっぴり大変だった2人のお客様
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今年もあと2ヶ月になりましたが皆さんお元気でしょうか? そろそろ朝晩冷え込むようになり、私達ファッション業界もようやく秋冬シーズンのピークを迎えるようになりました。 あと半月もすればコートなどの重衣料やマフラーなどが欲しくなってきますね。 さて そんな佳境を迎えた秋冬シーズンですが、お店の方もお陰様でご注文が続々と入り、同時に仕上がりも沢山上がってきましたので今回はその出来上がりをご紹介したいと思います。 そこで今月ご紹介するお客様はこちらのお2人 今回はお客様ありがとう2回分を1つにまとめてご紹介です!
どちらも、それぞれ見応えあるご注文でしたので早速その概要と出来上がりをご紹介しますとこんな感じでした。 |
■まずは1人目のHさん デフォルメ:〜○○風は難しい〜のお客様 ■ | |
Hさんは1930年代風のスーツをご希望で採寸の出来ない遠地にお住まい(提携店すら見つからず、やむなく見本服採寸) イメージの30'Sというと衿幅が巨大&ウエスト絞りが強烈というのが特徴(結構お顔立ちや微妙なタイトさ加減が難しいデザインなのですが・・・ 、、、お送りいただいた見本服はどうみても寸胴でこれをどこまで絞るの?といった感じのスーツ どうしまひょ?! 正直これでサイズを割り出しても30'Sのシルエットには近づけそうにありません。 勝手に見本服以上のことをするのはマズイし...。 そこで、、、 担当していた大阪店南浦君と『ここまではイケルかな?』と頭をひねり仕立てたのがこのスーツ。 いかがでしょうか? 見本服と並べてウエストの絞り具合や肩の雰囲気の違いがお分かりになりますか? |
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ボディーではねぇ〜、、、という声も聞こえそうですので、Hさんにお断りしてお納め前に一足早く袖を通させて頂きました。
モデルは・・・私と大阪店南浦君。 私(左)が来ているのがお仕立したスーツ。 南浦君(右)が着ているのが見本服です。 |
どうでしょうか?
本来は私より南浦君の方がスラッと痩せているのですがそう思えないぐらい私(右)のスーツもスマートに見えますよね 絞れるだけ絞りましたから・・・ 加えて、30'Sスタイルはコンケープドショルダー(肩先に向かって緩やかにカーブしつつ肩先が高くなっているシルエット)でしたから肩線もコンケープド風にしてみました。(厳密なコンケープドショルダーは現状イージーオーダーでは不可です。) 仕上がったスーツと見本服とを肩の部分だけアップにして画像を撮るとこんな感じに違います。 左がお仕立したコンケープド風、右が見本服。 |
さすがに厳密なコンケープドショルダーと比べると肩先の立ち上がり具合はほどほどですが、それでも見本服はむしろナチュラルショルダー気味ですから、まぁこれでも合格点といった所ではないでしょうか?
注:コンケープドショルダーは例えばなで肩の人には似合わないなど、着る人の体型によっても見え方が随分と変わります。 なかなか良い感じに仕上がりましたね。 |
■ 続いて2人目はモード色強いスーツをお求めのOさん ■ | |
続いてご紹介するOさんはどんなシルエットをお求めかというと、モード色の強いグラマラスシルエットをご希望。 でも、色々伺っていると奇遇なことにOさんもコンケープドショルダーが良いとのこと。 う〜ん、D&Gのシルエット + コンケープドショルダーか、、、 加えて、ウエスト絞りを強烈に!というご要望でしたからこれまた手強いお客様でした。 イメージされているシルエット(特にウエストの絞り)は画像のような感じ。 もの凄いタイトシルエットで背中が逆三角形です。 また着丈が短く凄く今風ですね。 ご注文は丁度私がお休みの日にOさんが来店されたため自身ではお受けできませんでしたが、後から報告を受けるとOさんの実際の身体も想像以上に細身でした。 まとめてみるとお仕立のポイントは・・・ タイトシルエットのため衿幅も細ければ、胸ポケットの口幅から腰ポケットの口幅まで細くスッキリと! もちろん袖も細くするし、着丈もベリーショート 更にはスッキリ感を強く見せるためVゾーンは思いっきり深く! |
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私は仕様書の数値だけしか見れないため想像力を働かせて仕上がりを予想しましたが、かなり好き者の人のスーツになると思います。 そして、その仕上がりがコレ! いかがでしょうか? 先程ご紹介(1人目Hさん)と比べて、見た感じご体型の関係からかOさんの方が肩のラインのコンケープ具合がより鮮明に出ていますね♪ また、シルエットも脇の隙間が非常に大きく、いかにこの上着が細いかが分かるでしょ。 |
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そして、これだけ絞ると、今度は衿幅やポケットの口幅などが通常通りだとちょっと違和感を感じさせますのでこれも細くしてみました。 どうですか? 胸ポケの口幅が細くスッキリしているでしょ! タイトシルエット、、、と言っても単にウエストや衿幅を絞るだけでなく事細かに意識するとこういったディテールまで細くしなくてはいけません。 この点でOさんのスーツは上手く仕上がりました。 |
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ところで、、、この上着を着る方パンツってどんなシルエット?って読者の皆さんはお思いになりませんか? そうですよね、上着がこれだけタイトですから・・・ボトムも合わせないと。 そこで、折角ですからボトムもご紹介。 何とメジャーを当てたヒザの部分で19.0cmです!(普通は25〜27cm位です) 裾口も細いですがヒザが細すぎフレアーに感じさえしますね。 もちろんノータックですが、ボトムの方もなかなか格好良く仕上がりました。 |
■ ご感想をご紹介 ■ | ||
こうしてお2人それぞれお納めしたのですが、さてさてご満足いただけたのでしょうか? 私としてはご注文時よりも仕上がり時の感想の方が気になります。 きっと読者の皆さんもそうでしょう。 そこで頂いたご感想をご紹介
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いかがですか? Hさんの喜び具合。どこまでどこまでデフォルメするか?どこまで絞るか?今回はひたすら想像力を働かせたご注文でしたが、これもWebで紹介できない(しきれない)部分で、細々とHさんとやり取りをした賜物だと思っています。 メールでのオーダーはお店にとっても確かに面倒ですし、不安な側面もあります。 でも、これはお店以上にお客様の方が不安で面倒ですから、これを嫌がっては前には進みません。 今回のご注文ではHさんにも色々と負担をかけましたが、良い物がお納めできて一安心です。 良い仕事をして最後に趣味の釣りの話なんかが出来るなんて、私も幸せです。 Hさん!また次も宜しくお願いします! |
そして2人目のOさんは・・・こちらは直接ご来店いただきご試着いただきました。 その時の画像がコレ! Vゾーンが深く、スラッとした印象です。 しかし、仕立てた自分が言うのも何ですが、よくぞまぁ、あの細いスーツを着れるもののですね。 画像は、Oさんとのお約束でお顔を出すことが出来ませんが、Oさんはなかなかのビジュアル系でスタイリッシュな方でした。 だからこそ、あのシルエット、あのモード感が似合うのではないでしょうか? 皆さんも、ボディーに着せた↑のスーツがキチンとフィットするなんて信じられないでしょ?! ・・・ということで、お陰様で今回も無事スーツ2着をお納めすることが出来ました。 どちらもなかなか手強い?お客様でしたので大変でしたがご満足頂けて、ホッと一安心の吉村でした。 |
ところで、今回たまたま『お客様いらっしゃ〜い』にご登場いただいたお二人分が同時に仕上がりましたが、2つに共通していることがありました。
これまでクラシコイタリアの流れから肩のシルエットはマニカカミーチャを筆頭に肩パッドを薄く、あまり強い印象を与えないシルエットが中心でしたが、ここへ来てブリティッシュの流れ(肩がやや構築的)からか、カチッとした肩のラインを構築するスタイルも人気が出てきました。 肩がカチッとするとその分、男らしさ・力強さが表現されます。 この先にあるのがコンケープドショルダーなのでしょうか? これがトレンドになるかまだ見極めが必要ですが、そろそろ私達のオーダーでもコンケープド風ではなく完全なコンケープドショルダーのパターンを作らなくてはなりそうです。 |