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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!

 2012年春夏ネイビーJK完成
皆さん、GWはいかがお過ごしでしたか?
祝日など関係なくずっとお仕事の方も多かったようですし、私の知る中では11連休!なんて方もいらっしゃいました。

こちら大阪店は3連休・1日出勤・4連休と少し変則スケジュールでしたが、タップリとお休みを頂き、スッキリとrefreshした大阪店ShopMaster南浦でございます。

refreshはしましたが、遊び過ぎで身体はヘトヘト、財布はカラッポとGW明け早々からマイナススタート(泣)
既にアタマの中はお盆休みの事でいっぱいです(早っっっ!!!)

さて、今回は連休前の更新でご紹介したKさんお二方それぞれのネイビーJKが仕上がってまいりましたので、そちらをご覧頂きたいと思います。

前回ドーメルアマデウスの仕上がりは着用画像を皆さんにご紹介出来なかったので、今回こそは、と思い、それぞれのKさんにはご無理を言って、お忙しい中ご来店頂きました。(Kさん、ありがとうございました!)

それではまずビジネスユースのKさんから、、、、
【ジャケット】
 生地
伊CANONICO Super100's WOOL×Super Fine Kid Mohair(番外商品)
 基本デザイン
シングル2B
 フロントカット 
カッタウェイ 1cm外振り
 袖仕様 本切羽4Bキッシング ボタンホール細目
 ステッチ ピックコバ総ステッチ
 ボタン 伊製グレーshell調ポリボタン
 衿型 ピークドラペル
 背裏地  AK3980/65(JKの胴裏と同様)
いかがでしょうか?
得意の陰影を付けた画像です。
太陽光の下と室内での見え方の違いがお分かり頂けるかと思います。

今回のポイントとしては、あくまでビジネスユースですので仕様は控え目にして、素材(シャンブレー)の特性を全面にアピールしました。

とは言え、シルエットには強いコダワリをお持ちのKさんですから、要所でアレンジを加えております。
それは肩のラインとフロントカット、ボタンホールです。

肩のラインについてはネックポイントを1cm上げてノボリをキツく、
フロントカットも一番Rが大きい箇所で1cm外に振り、
ボタンホールは細く華奢な感じで仕上げました。

特にネックポイントから第一ボタンを中心に裾までのバランスが綺麗に50:50に納まっているところが、ただでさえ長身でスタイルの良いKさんの特徴を引き立たせています。
またボタンホールの仕上がりとshell調ボタンのバランスも秀逸。

イメージとしては生地、シルエット共にナポリスタイルと意識してみましたが、かなり良い感じに具現化出来たのでは?と自画自賛しております(笑)

続いて、カジュアルユースのKさんを、、、、
【ジャケット】
 生地
伊ZEGNA WOOL&SILK&LINEN(G3146)
 基本デザイン
シングル2B
 フロントカット 
レギュラーカット 1cm外振り
 袖仕様 本切羽5B重ね
 ステッチ ミシン0.5cm巾総ステッチ
 ボタン 伊製ビンテージメタルボタン
いかがでしょうか?
カジュアルユースですが、昨今のクールビズでも十分に使える仕上がりです。

こちらのKさんのJKもネックポイントを1cm上げてノボリをキツくし、且つ肩パットを抜いておりますので、より傾斜角度が急になっていることがお分かり頂けるかと思います。
  袖山を形成しているタレ綿は抜かず、前身頃の芯地は少し改良し、毛芯一枚とバス芯一枚に、しかも胸下までしか入れず、ラペルの返り線から下を軽く仕上げてみました。

通常の芯地は毛芯×2・バス芯・フェルト芯から成っているものが多いのですが、今回は接着芯だけだと薄過ぎてコシの無いJKになってしまい、反面通常の芯地だとカタ過ぎるということで、毛芯一枚とフェルト芯を抜き程良い風合いになるよう意識しました。

フロントカットはKさんお持ちのジャケットのほとんどがカッタウェイ、今回は少しワードローブにアクセントを付けようと、Rの小さいレギュラーカットで1cm外に振ってみました。
外に振らないと、打ち合いと言ってボタン下からの重なる部分が多くなり重い印象のジャケットになります。 前述のKさんのジャケットと比べると、Rは小さいですが、重い印象にはなっていないかと思います。
たかがフロントカットですが、Rの大小や第一ボタンから裾までの振り方で印象が変わります。
この辺りの調整はお客様と我々作り手の間でのイメージの共有が非常に重要です。
ご希望の方は予め画像などをご用意頂くと理想に近い仕上がりになるかと思います。

最後に今回ご紹介したお二人のKさんのジャケットで共通の仕様、それは総ステッチです。
かたやピック、かたやミシン、とそれぞれの性格や見え方は正反対ですが、実はこの総ステッチこそ、最も既製品と差別化出来る仕様であると私は考えてます。

それは何故か、と申しますと、ステッチを入れるには当然専用のミシンが必要です。
通常、当店で標準としてお入れさせて頂いているステッチは左右の前身頃と腰ポケットのフラップのみとなります。
この2つのパーツはそれぞれが完成した後にステッチを入れる工程に入りますので、その後の作業工程はスムーズに進みます。
ですが、総ステッチの場合、上記に加え、肩線、前ダーツ、背中心、袖の縫い線、細腹の縫い線にそれぞれ入ります。
これだけの箇所に入れるには、例えば背中心は後左右の身頃を縫い合わせた後にステッチを入れる工程に入り、その後前身頃と縫い合わせてから肩線にステッチを入れる為に再度戻し、と通常より倍の工程が掛かってしまいます。
シビアな作業効率とコスト設定を求められる既製品の場合、MD側の余程の強いコダワリが無い限り、総ステッチは割に合う仕様では無いのです。
それがオーダーの場合、+2,100円で可能な訳ですから、細かなポイントでの差別化をご希望の方には是非お選び頂きたい仕様でございます。

以上、基本後者のKさんはスタイルやボタン、ディテールなどは全て私にお任せ頂いておりますが、それは常にテストされている事と同じですので、プレッシャーは半端無い!....ですが、今回もほぼ満点を頂戴致しました。

ただ、次は更なる完成度を求められるので喜んでばかりはいられません!
この仕事、どこまでも終わりの無い修行みたいなものですから、、、、
また次回、楽しんで頂けるモノをご紹介したいと思います! では!!