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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!

 ミリタリーの誘惑・完成編
今年も残すところあと1ヶ月程ですが、12月は衆院選や都知事選と何やら選挙、選挙で慌ただしくなり、アッという間に新年を迎えそうです。
歳を重ねる毎に、時が過ぎるのを早く感じるようになりましたが、もう少しスローライフにしたいですね。

でも此処に「まだか?まだか?」 と時間が経つのを遅〜く感じていた方が一人。
そうです!Sさんです。
Sさんとは?1ヶ月ほど前に仮縫いを済ませて、首を長くして仕上がりを待っていたその人です。
先日ようやく心待ちにしていたミリタリージャケット が完成しました。

なかなかとした顔に出来上がったでしょう?
生地のブラックとボタンのシルバーとのツートーンでコーディネイトした効果もあってフォーマルの雰囲気すら漂う上品な味のミリタリージャケットに仕上がりました。

早速、このジャケットのポイントをご紹介したいと思いますが、その前にもう一度オーダーの内容をご案内します。

□ミリタリージャケット仕様□
 生地 G4061 ヨシムラオリジナル 黒無地
【ジャケット】
 前ボタン
シングル4つボタン4つ掛け カスタム仕様
 衿型
ノッチラペル
 ベント
センターベント
 胸ポケット パッチ&フラップ付きボタン留め ボックスプリーツ付き カスタム仕様
 腰ポケット パッチ&フラップ付きボタン留め プリーツ無し カスタム仕様
 袖仕様 ターンアップカフス・ボタン無し カスタム仕様
 前カット カッタウェイ
 裏仕様 総裏
 裏地 Z494-13 ネイビー無地
 ボタン 艶消しシルバーメタル
※他に肩章付き

このオーダーでSさんが特に拘ったのは4つのディテールでした。

1.前身
選んだ生地が黒、ボタンがシルバーのメタルボタンなのでどこぞの学制服にならないようにボタン位置に配慮し、ボタン間を短く胸回りに寄せて前裾を長くカッタウェイにすることで、スポーティーな雰囲気にしました。

2.ポケット
4パッチポケットと言うことで、主張が強くフロントデザインに占める印象が強いためそれぞれのポケットサイズとデザインに拘りました。
サイズは仮縫い時に型紙でシミュレーションしてバランスを取り、デザインは胸ポケットにボックスプリーツを入れ、腰ポケットはプレーンな壷型にしてそれぞれの大きさとデザインのバランスを良くしてみました。

3.カフス
全体はタイトでコンパクトなフォルムにしたので、Sさんの大柄な体型にあわせてカフスをターンナップにして立体感を加え、巾を15cmとかなり長めにとってデフォルメして力強さをアピールしてみました。

4.肩章
ミリタリーアウターには必ずと言っていいほど付いているディテールですが、Sさんの希望は飾りではなく、機能を持たせたデザインとしてボタンを開け閉め出来る“本開き”にしてみました。


以上、拘りの4つのポイントでした。

こうしてSさんの拘り通りにジャケットが仕上がってきてホットする前に...
実は、出来上がりのお渡しが予定より1週間遅れていたのです。
「Sさん、すみませんでした。」
予定通りに一旦は仕上がってきたのですが、検品をしている内どうにもこうにも胸ポケットのバランスに違和感を覚え、“これじゃお渡しできない”と思い、Sさんに連絡をしたところ、
「遅れても構いませんよ、楽しみは後に取っておきましょう。」と返ってきた言葉はとても優しいモノでした。

早速、仮縫いを担当した中島氏に連絡、三久服装の吉井工場長に相談した結果、1週間で仕上げてくれるとの事でSさんにも改めて報告して安心してもらいました。

1週間後、今度は完璧に仕上がってきました。
取り急ぎSさんに仕上がり連絡をメールすると、直ちに、翌朝一番で来店する旨の連絡が入り、出来上がりを待ちこがれていたSさんの気持が再確認出来た次第です。

来店予定の日、思った通り約束の時間より早めに来店したSさん、レザーブルゾンに程良く洗いの掛かったデニムにレザーブーツの合わせがとてもクールでした。
特にレザーブルゾンの素材やデザインが気になったので尋ねたところ、革はホースレザー(上等なラムのように見えました)で、何でもフロントがファスナーではなく珍しいボタン留めのデザインになっていて、それが気に入ったそうですが、袖の長さが短いのが玉に瑕だそうです。

身長184cm、手足も長く、バストもヒップも100cm超のSさん、なかなか自分の躰に合うサイズで気に入った服が見つからないからオーダーをしたのですが、果たしてこのミリタリージャケットはフィットするでしょうか?緊張の試着シーンです。

仮縫い服の着せ付け時には、袖が短かったり、腰回りの収まりが悪かったりで補正をしていますが、やはりご本人が着用しなければ良し悪しは確認できません。

果たして試着の結果は???
Sさん「ピッタリですよ!!!ありがとうございます」
私「やぁ、良かったです、お待たせしてすみませんでした。」

Sさんの “ありがとう” は、中島氏や吉井工場長始め工場スタッフへの大事な贈り物です。
試着時もお見送りの時もSさんからは “満面の笑み” を頂きました。

「Sさん、こちらこそありがとうございました。」