|
|
「オーダースーツのヨシムラ」三段活用・完成編 |
待ち遠しかったゴールデンウィークも、もうそこまでやって来ましたが、皆さんはいかがお過ごしの予定ですか? 桜の頃から青葉が繁るこの頃、私にとって1年を通じ一番好きな季節です。 肌に当たる空気の温かさが程良い気持ちさで、身も心も軽くしてくれます。庭の雑草がグングン伸び出すのもこの頃ですが、戸外に居るのが良くて、「草むしり」がゴールデンウィークの年中行事になっています。 それから、通勤に下げているバッグにたまった本を読み切るのと足りない?睡眠を昼寝で補うのが、ここ数年、私のゴールデンウィークの過ごし方になっています。カッコ良く言えば「晴耕雨読」で、大方は「晴耕雨眠」です(笑)。 さて、今日紹介するお客さまは、ゴールデンウィークにさぞやハッピーな予定が待っているでしょう新婚のYさんです。 Yさんは、某おもちゃメーカーのプロデューサーでとてもイマジネーションの豊かな、ファッショナブルな方です。 「オーダースーツのヨシムラ」を活用する術を良く心得ているYさん、今回のオーダーでもそのクリエイティヴィティを遺憾なく発揮され、三段活用?してくれました。 皆さん、「オーダースーツのヨシムラ」の三段活用ってどんなことかご存知でしょうか? Yさんが今回オーダーしたのは、スタンドカラーのジャケット、襟付きベスト、セミフレアパンツの3点でした。 これら3アイテムの仕立ては、通常フルオーダー工場、またはイージーオーダー工場のどちらか一つの工場でおこないますが、ひとつひとつのアイテムがYさんらしくカスタマイズされていたこと、予算内でコストパフォーマンスを最大限あげようとしたこと、この2点を考えるとどうしても従来のように一つの工場で仕立てるのは無理と判断して、出した答えが、、、三段活用でした。 ニューデザインのジャケットはフルオーダー工場「三久服装」 |
|
襟付きベストはイージーオーダー工場「青森オリテック」(ホームページがリニューアルされ、見やすくなりました) | |
セミフレアパンツはカスタムオーダー工場「アールケイティ」 | |
以上、三段活用とは、オーダーの内容に応じ3つの工場特性を活かして仕立てることだったのです。 |
それでは早速、Yさんのオーダーがどんな内容だったか、ご紹介しますね。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
□スタンドカラージャケット・コーディネイト仕様□
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
メインアイテムは何と言ってもスタンドカラージャケットです。 以前も学生服からアイデアを得た詰め襟バージョンのジャケットをオーダーしたYさん、今回はその型をベースにした、究極タイトのスタンドカラージャケットをご希望で、仮縫いでは更に細く!細く!と名手福田を突っ込みまくりの着せ付けでした。 何処をタイトにしたか?と言いますと... ウエストシェイプは当然ですが、袖巾の細さも全体のシャープ感に大きく影響するので、細くしたいと言う方が多く、イージーオーダーでも調整出来るのですが、今回は「究極」を求めた結果、仮縫いでピンを打っていって何処まで大丈夫か、肘がギリギリ曲がるまで拘ってみました。 その甲斐あってスタイルと機能性のブレークイーブンポイントを極めることが出来ました。 他にも拘りのディテールで、ストレートな腰ポケット、フレアな袖の切り返し、ソフトで流れるようなカッタウェイのフロントカット、衿の高さや長めの着丈は絶妙のサイジングとなりました。 |
|
今回はフルオーダー工場の三久服装で作りましたが、ここまでのディテールとサイジングの拘りを抜きにしたスタンドカラージャケット(通称マオカラージャケット)でしたら、イージーオーダーでも充分お仕立て可能なので、一度試してみてください。 次に、ベストはイージーオーダーで作りました。 このアイテムのカスタマイズはU字形にカットされた前裾です。この型は青森のイージーオーダー工場には従来無かったスタイルで、Yさんが、結婚披露パーティーに着用するためいろいろなベストを見た中からヒントを得て、相談の上作りたモノです。 工場にとっては、正直なところ面倒臭いオーダーだったと思いますが、販売店を中継点として、こうしたお客さまとのキャッチボールによって出来た新しいデザインや技術は、工場の力量をアップさせてくれます。だから、、、 「我が儘」大歓迎です! 3つ目のパンツもイージーオーダー工場で作りましたが、 こちらは直営の青森オリテック工場では無く、アールケイティーと言う協力工場で、フルオーダーで作った型紙を利用して、凝ったデザインや拘りのサイジングをマシンメイドで仕立ててくれるカスタムオーダー工場です。 イージーオーダースーツだとプラス3,000円(税抜き)で、型紙を利用してフルオーダースーツと同じサイジングが可能です。 ただし、ハンドで行うクセ取りやパットや芯地などのパーツも違うのでフルオーダースーツとは少し着用感が異なります。 Yさんのパンツもほぼ完成されたサイジングの型紙だったのですが、股上や腿廻りを更にタイトに修正して、サンローラン顔負けのシャープでスタイリッシュなフォルムのパンツが仕上がりました。 |
|
以上、Yさんのオーダー工場「三段活用」術いかがでしたか? Yさんの様に、自分の考えをファッションに反映させるってとても素晴らしいことだと思います。 得てして日本のビジネスマンのファッションは、ダークカラーのスーツ一辺倒で、ユニフォーム的な印象が強いからです。 作家の曽野綾子さんが著書『人間にとって成熟とは何か』で「目立たない服装がいいということはない。それは、恐怖心の表れであり、無思想の証拠でもあり、自己が未完成という弱さを表していることでもあるだろう。」とも言っています。 自分はこんな考えの人間です、こんな行いをする人間です、ともっともっと「人とここが違うんだ!」とその存在感を主張して良いと思いますよ。 |