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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!

 葛利毛織の3PLY!完成しました!
 都内では梅雨入り初日から連日雨続きでしたが、その後天気も回復して行楽日和が続いておりますね。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

今年はワールドカップで賑わっておりますが、夏はアクティブにアウトドアや、落ち着いた場所で読書など色々な過ごし方があり、ライフスタイルを満喫できる季節ですね。

これからどんどん日差しも強くなって参りますが、そんな中以前私が仕立てたスーツの仕上がりをお客様いらっしゃいという場をかりてご紹介させていただきます。

仕立ての参考までにご覧頂ければ幸いです。

■ 生地 ■
G9045(葛利毛織社製/グレンチェック/3PLY)

葛利毛織は、現代の高速織機の流れに乗らず、「質」に対してとてもストイックにプライドを持って生地を織る機屋です。
なぜ、高速織機ではなく、ションヘル織機という一日に半反程しか織れない機械を使っているのか... 画像をご覧下さい。
...よく分からないという方がほとんどだと思いますので、ご説明させていただきます。

画像左(ションヘル織機)の経(タテ)糸の上下運動が大きい状態で織られる為、生地に織り上がった時に柔らかい印象になります。
その理由は、横糸を通すときに経(タテ)糸へかかる「テンション」による違いによるもの。
物理的に生地50mを織り上げる際に使用する経(タテ)糸の使用量は、高速織機57m位なのですが、ションヘル織機の場合61mも使用しています。
その50mの内の4m分が上記画像の様に上下運動(柔らかい印象)に反映されています。

葛利毛織ファンが根付いている一つの要因をご紹介させていただきました。

私も葛利ファンの一人として、毎シーズンと言っていいほど葛利毛織でスーツを仕立てているのですが、今回決定した生地はこのグレンチェック柄。

実は、この生地、
葛利毛織の社長に直接イメージを伝えて0から織ってもらった生地なんです。
そりゃ愛着も沸いてきますよね。。。
愛着が沸く生地が多く、財布が心配ですが実際に自分で作ってお客様に良さを伝えていけば報われる!とポジティブに考えてお仕立てしました。

今回仕立てた生地はこちら。
G9045(葛利毛織社製/グレンチェック/3PLY 目付400g)
春夏生地で目付400g?!...と思われた方は、生地に詳しい方です。
実際、春夏物は240g前後が主流ですが、3PLYといことで糸自体が太くなっています。

ただ、多孔性織りということで、とても通気性が良い素材となっておりますから非常に夏向きな素材ですから、一度手にとってその冷ややかな質感と清涼感をお試し下さい。

■ デザイン ■
今回は、久しぶりに夏物スリーピースにて仕立ててみました。
入社後初めて仕立てた春夏物スーツは三揃いで仕立てたものの...なかなか着用することが無かったため、夏物ではあまりベストを仕立てていませんでした。
ただ、夏以外の春・秋を中心に着回す為にと思い、今回思い切ってスリーピースにて仕立ててみました。
それでは、デザインのご紹介です。
【ジャケット】
・フロント 3つボタン中掛け
・衿型
ノッチドラペル(ハイゴージ/衿幅8.5センチ)
・ベント
サイドベンツ
・脇ポケット ナナメハッキング(±1.5センチ)チェンジポケット付き
・胸ポケット バルカポケット
・見返し 総裏/一枚台場
・袖ボタン 本切羽/4つボタンくっつき
・備考  ビルドアップショルダー
【ベスト】
・フロント 衿付きシングル6つボタン
・Vゾーン 高め
・尾錠 あり
【スラックス】
・タック ノータック
・脇ポケット ナナメ
・ピスポケット 左ポケット無し
・裾口 ダブル4.5センチ幅
・備考  脇尾錠付き、ベルトループ無し

以上が、仕立てた際の生地・デザインですが、今回のポイントは、何といってもブリティッシュスタイルを意識したデザイン、生地です。

まずは、ジャケット&ベストをご覧下さい。。




部分的ではありますが、こちらが、ベストとジャケットの画像です。
スリーピースの肝としては、ジャケットのボタンをしめた場合、どのくらいベストが顔を覗かせるか、ですよね。
私自身でスリーピーススタイルが好きなこともあってか、何回も仕立てて最終的に今のバランスが気に入っています。
どちらかというと、ベストのボタン位置を上げてVゾーンを狭くしています。



この辺りは、お好みによってベストのVゾーンを狭く、広くと修正できますので、お好みがありましたらお気軽にご相談下さい。
(基本的には、標準的なVゾーンでよろしいとおもいます。)

そこで、一息。
いかがですか?葛利毛織の生地
スーツになると非常にボリューム感のある仕立て映えの良いスーツに仕上がるんです。
この雰囲気の良さが葛利毛織社の虜になる一つの要因だと思っています。
それでは、今回のオーダーのポイントであるブリティッシュスタイルのディティールをもう少し掘り下げてご紹介させていただきます。

■ 肩線 ■
【ビルドアップショルダー】
こちらもブリティッシュスタイルでオススメデザインのビルドアップショルダーです。
首の付け根からなだらかに肩先へ向かい、袖付け部分でボリュームをだした肩線で、スクエアなショルダーラインは、しっかりとした印象を与えてくれます。
袖周りのボリュームは、高級感も出ますから、少しオーダーにマンネリ化してきた方にはオススメしたいディティールです。

■ 脇ポケット ■
【ナナメハッキング&チェンジポケット】
英国調スーツの代名詞でもある、このナナメハッキング+チェンジポケットではないでしょうか?
もともと乗馬する際に手を上着の脇ポケットに入れやすいようにナナメにしたデザインですが、現在であればバイクや自転車に乗る人に適しているかもしれません!
(あまり洋服に物は入れて欲しくないというのが本心ですが...)
見た目の印象としては、ナナメにすることによって、視覚的に分散され、すっきりとした印象に仕上がります。
こちらもマンネリ化防止デザインの一つです。

■ 袖口 ■
【4つボタン本切羽】
袖口のボタン形状については大まかにボタンを重ねるか、重ねないかの選択肢になるのですが、英国調としては重ねないクラシックなデザインをオススメします。
重ねボタン=遊び心になりますから、エッセンスとして加えても良いですから、この辺りはアレンジしてみてはいかがでしょうか?

■ スラックス ■
【脇尾錠付き(ベルトループ無し)・左ピスポケット無し】
当社でもブリティッシュスタイルが大好きなMD玉岡氏の影響か、ブリティッシュスタイルが流行っています。
実際にイギリスからいらっしゃったお客様もこのベルトループ無し、脇尾錠付きスタイルにされてました。
クラシックかつ雰囲気の良い仕上がりになりますね。
ピスポケット(後ろのポケット)の左側を無しにして、オーダーらしさと英国調な雰囲気を更に掘り下げたデザインです。

如何でしたか?
最近、マイブームであるブリティッシュスタイルですが、色々と奥が深くて楽しいです。

今回オーダーしたブリティッシュスタイルのデザインの元は、私自身勉強した部分以上に、リアリティーな情報であるスタッフの知識、お客様からのソースが大きいです。

色々なお客さんのお好みやスタイルを吸収していって、このような場でご紹介すると共に、接客の際にもご提案させていただきたいと思っています。

やはり、写真取り慣れていないので、不自然ですね...(笑
お客さんに「顔引きつってましたよ」と言われる高岡ですが、めげずにアップしていきます!