服地の本場大阪谷町で生まれ、東京神田の生地屋街で育ち...はや年

一見、単なるビジネスカジュアル対応ネイビージャケットといった感じですが、これがあくまで今回のF様のコンセプト。
普通に見えて、よくよく見れば“あれっ!?”と思わせるサプライズ。
これもオーダーの醍醐味と申しますか、楽しみの一つであるかと思います。
以下、そのサプライズを感じさせる仕様をご紹介しましょう。

こちらが唯一F様のご要望に応えることの出来なかった仕様です。 本来は通常の本切羽で、袖先から入るスリット上部から肘付近まで約10cmのコンシールファスナーを取り付け、簡単に袖がロールアップ出来るようにしたかったのですが、工場の担当者からスリット上部の裏側の始末とファスナーの取り付けが構造上どうしても併用出来ないとの回答であった為、泣く泣く本切羽はキャンセル、袖のロールアップを優先せざるを得ませんでした。 画像を御覧頂ければお分かり頂けるかと思いますが、通常の本切羽との始末と比べれば、若干チープな仕上がり感は否めません。 この部分の始末はF様を大きく落胆させることとなりました。 ただ、こちらは今後工場担当者との協議を続け、別の改善策を見つけたいと考えております。

自転車に乗っている際に前裾がひらつくのを防止するために考えられたこちらの仕様。
ロールアップすることで風が通り易くなりますので、運転時でも快適にお召し頂けるかと思います。
また今回の生地は通気性の良いフレスコ地。
その効能を生かす為、裏仕様は数ある仕様の中で最も軽量で、涼しい半裏仕立を採用し、且つ副素材の芯地も薄手の物を一枚のみとしております。


以上のような仕上がり具合となりまして、早速、F様の元へとお送りしましたところ、下記のメールと画像をお送り頂けました。

南浦様 Ｉ県のＦです。 無事にジャケットが届きました。 色々とお世話になりました。 南浦様が言われる通り、「概ね良い感じ」です(笑) 本切羽にならず、かつファスナーが袖先から始まるのは正直ガックリでした。 それとダミーのボタンホールの縫いが、糸の盛り感もなく、 簡素な感じになっているのも落胆です。 もちろんクレームではなく、私自身の今後の課題・・・といったところです。 次にサイクリスト・ジャケットを作るとしたら、その袖の縫製の方法も細かく図入りで説明させて頂く事にします。 また背中については、添付した画像ような作りで、前傾姿勢に対する肩部の余裕を持たせたいと思います。 その折には、また相談に乗って下さい。 着用した画像も添付します。 ラフに着こなしても、剣襟と芯材のおかげでとてもエロサバ(笑)に見えて素敵です。 マニカ・カミーチャの袖付け、襟のドレープ、丈の長さ、フロントカットの形状、どれをとっても想像していた通り。 大変素晴らしく、お気に入りです。 袖についても、コンシールファスナーの持ち手金具がチラチラと動くので、それが話題になりそうで、逆に面白いかも。 また南浦様を頼って、無理難題を持って推参します(笑) 宜しくお願いいたします。 ありがとうございました。

F様、忌憚なきご意見、ありがとうございます。
お送り頂いた着用画像も程良くカジュアル感が出て、良い雰囲気に仕上がっているので、袖仕様については残念でなりませんが、次回への課題としてお受け取り頂き、私自身も“次こそは!!”と闘争心に火が付きました。
秋冬物でもご検討頂いているご様子ですので、そちらでは満点の評価を頂けるように頑張りたいと思います。
またその際にはF様、ご協力お願いします！