服地の本場大阪谷町で生まれ、東京神田の生地屋街で育ち...はや

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オーダースーツのヨシムラ >> お客様ありがとう >> 和装用コートのご注文です。

お客様ありがとう

2017年2月7日更新

和装用コートのご注文です。

2月に入り、街のショウウィンドウは春の装いとなってきましたが、 皆様如何お過ごしでしょうか?
オーダースーツのヨシムラでも只今、春夏生地を準備しておりますので、是非お楽しみにして下さい。

さて、今回ご紹介させて頂きますのは、「和装用コート」のご注文です。

現代社会において、洋服やスーツの着用が多く、和装用コートとは?と思われる方々もいらっしゃるかと思いますが、明治時代から大正、昭和初期に着用されていたコートというとイメージしやすいかと思います。
太宰治が着用していた「二重廻し」、もしくは見た目のイメージとしては、シャーロックホームズが着用していたコート(インバネスコート)というイメージです。

太宰治とシャーロックホームズ!?

と、和と洋がごちゃまぜになってしまいそうですが、もともとは西洋文化(スコットランドのインバネス地方)から来たもので、日本では明治に伝わり、現代では、「とんび」「二重廻し」、そして「インバネスコート」と呼ばれていますが、どの呼び方がどのデザインなのか、正直断言はできません。

ただ、
情報をまとめてみると、下記のような定義づけがよくされているようです。

インバネスコート・・・袖のあるマント状(ケープ)のものが背中まで付いているコート。
二重廻し・・・袖は無く、マント状(ケープ)のものが背中までぐるりと一周しており、背中が二重になっているもの。
とんび・・・袖が無く、マント状(ケープ)のものが背の脇から前にかけて付いているもの。

と、区分することが多いようです。

和装用の袖が無いものは「二重回し」や、「とんび」などと呼ばれることが多いようで、洋装用の袖があるものが「インバネスコート」と呼ばれることが一般的のようです。

当社では、和服の上から着られるような角袖(スーツで言うところの脇の下が、随分下まできているもの)にするか、袖を付けるか、衿の形はどうするか、というように、用途に合わせてカスタマイズすることが多いです。

「インバネスコート」の由来は、スコットランドのインバネス地方からきているようで、伝統楽器のバグパイプ(スコットランドの楽器)をマントの部分で雨から守るデザインになっているそうです。

そして、今回ご注文頂きました「和装用コート」は、日頃からご愛顧頂いているH様は茶道をされていることもあり、お茶席に招かれ出席される際にお着物を着られているため、このお着物の上からご着用出来るコートを、と言うことで今回の「和装用コート」のオーダーを頂きました。
ただ、H様曰く、使用頻度として現実的にはスーツの上に着ることの方が多くなるとお考えのようで、お着物とスーツの両方のコーディネートに活躍させるとのことです。

出来上がり
和装用コート
それでは、完成した「和装用コート」をご覧ください!
スーツスタイルにあわせたコーディネートがこちらです!!!

如何でしょう!?
スーツスタイルにあわせ、大正ロマンが漂うクラシカルなコーディネートで素晴らしい出来上がりです。袖が無く、背中までマント状(ケープ)のものがぐるりと一周し、背中が二重になっており、二重廻しとなっております。

帽子が全体のコーディネートにアクセントを加え、良い雰囲気を加速させております。 そして、さりげないオシャレとして取り入れた、上衿の黒色ベルベットがオリジナリティ溢れる他にはない、拘りの1着に仕立て上がりました。

本革製のトランクケースも見事にマッチしていますね。
裏地
そして裏地はこちら!!!

マントの部分が風になびいた際に、裏地がチラリと見え、オシャレ度アップ!!!
既製品でも調べてみると販売されているようですが、このような色遣いの裏地は絶対にないでしょうね。
これぞ、オリジナリティ。
バック
バックスタイルも素敵です。上衿のベルベットがさりげないアクセントとなっております。

なにより、このフレア感(ドレープ感)という生地が重力に逆らわず、
自然と下に落ちていく「たわみ」も最高にかっこいいです。

「男は黙って背中で語る。」まさにこの言葉がピッタリです。
こちらは袖の形状です!
マントをめくるとこのようになっております!

皆様如何でしょうか?クラシカルな雰囲気が漂い、オーダーメードならではの「和装用コート」。
皆様も是非、クラシカルなコートをお仕立てしてみては如何でしょうか。

また、あまり見えてはおりませんが、スーツの袖も、和装の袖も通す角袖。
和と洋をどちらもすんなり着用できる重要なポイントです。

それでは、気になるデザインの詳細はこちらです。

デザイン
ディテールの紹介

■使用生地:葛利毛織 / G7089 / スーパー140‘s フランネルチャコールグレー
■ケープ1周
■ノッチドラペル(通常セミステンの襟が多いと思われますがH様の拘りポイントとして、ノッチドラペルになりました。)
■比翼仕立て3つ釦(力釦付き)
■斜めポケット
■内P付き テケP付き
■センターベント
■上衿別生地使用(ベルベット/黒)
■裏地:LI-1508(カルゼ / エンジ)

最近では、お茶席でも男性の中には、スーツ姿の方々が多くなって来ているそうで、H様は着物文化を大切にされていらっしゃり、これからも日本の文化である着物を衰退させないためにも、着物姿で出席されているそうです。

今回のご注文にあたり、以前仕立てていたテーラーが引退しており、ネットで検索したらヨシムラの記事があったため、今回のお仕立てに繋がりました。
また、H様には過去に何度もヨシムラにてスーツ等をお仕立て頂いたことがあったため、早速オーダーを決意されたそうです。

今回のご注文にあたり、記事として出すことを快く了承して頂き、顔出しOKで、何ならコメントも書きますよと心強い返事を頂きましたので、この度ご紹介させて頂きました。

出来上がりをご着用頂き、生地の質感、色味等もやわらかく非常に雰囲気良くお似合いで、H様にも大変気に入って頂け、私共はじめ、工場の職人も大変嬉しく思いました。
H様、是非末永く大切にご活用下さい。

なお、今回和装を題材としたこれまでの「洋服」とは少し異なる内容です。
執筆に際し、色々と調べた上でご紹介させていただきましたが、内容に何か不適切な言葉や説明がありましたら、ご教示いただければ幸いです。(後学のためにもどうぞよろしくお願いいたします。)

東京店:安藤執筆

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