オーダースーツのヨシムラ >> お客様ありがとう >> フロックコートの完成です!
2017年6月27日更新
6月も終わりに近づいておりますが皆様如何お過ごしでしょうか? |
〜茜色の夕日が眩しい午後〜
「いらっしゃいませ!!!」 店内に響き渡る声 I様「フロックコートを仕立てて頂きたいのですが・・・」 私「フロックコートですね。ご結婚式などでのご着用でしょうか?」 ・・・と伺いながらも、若々しい容貌でしたので自分が発した言葉を疑いつつ尋ねると・・・ I様「いえいえ、日常着用に本格フロックコートを考えております。」 !!?? 私「本格的なフロックコートですね!?普段着としてですね!? I様「はい!ホームページを見て、ヨシムラさんにお願いしたく参りました!」 私「本格的なフロックコートの場合は、ハンドメイド工場にて仮縫い付きフルオーダーとなり、基本お仕立て代+フルオーダー工賃+特殊デザイン料が加算され、合計で約150,000円程となりますが、よろしいでしょうか?」 I様「はい!アルバイトで頑張ってきましたので是非、お願いします!」 |
日常着として本格フロックコートをお仕立てするとはどうゆう思いでお仕立てを希望なのか尋ねてみますと、I様はなんでも「シャーロックホームズ」がとてもお好きな様で、小さい頃からお父様の影響もありドラマや映画を見ていたとのことです。
当時のファッションに憧れを抱いており、その時の服装を身に付けたい為に、いつかはフロックコートが欲しいと願っていたそうです。
過去にも多くのお客様から、シャーロックホームズの服装をテーマに、ハンチングジャケットや、インバネスコート、ベストなどのお仕立てを承っておりましたので、今回この様なお話があり、改めてシャーロックホームズの影響力は凄いなと感じました。
さて、そんなI様は、いつかはハットから靴まで全身オーダーで仕立てた洋服を身に纏いたいということで、第一弾としてフロックコートのお仕立てを頂戴しました。
これからは、ハットやシャツ、ベストにパンツ、靴のオーダーも考えているとのことです。
それでは早速、下記にて今回お仕立て頂きましたフロックコートの仕様をご紹介させて頂きます。
と、その前に、そもそもフロックコートとは・・・
フロックコートの歴史は、遡ること16世紀頃、農民の作業着や軍服としての仕事着として幅広く着用されていた最もポピュラーな服装だったと言われております。 現代では、最上格の礼服として着用されることが多いですが、歴史を遡ると日常着に辿り着く点では、普段何気なく着ているスーツも同様で面白いですね。スーツの原型であるラウンジスーツ、そのまた原型がフロックコートなど、 時代に合わせて進化している点では、今着用しているスーツも、時代のニーズに合わせて今後形を変えて着用される時代が来るのでしょうか・・・ そして、1800年代中頃から1900年代初頭頃にかけて、次第に昼間の男性用礼装として着用されていたと言われております。 正式としてのディテールはダブルブレストで、丈は膝まであり、腰に切り返しがあります。 そこから下が広がるデザインになっております。 後ろはセンターベントのようになっており、背中にはダーツがカーブして縫われており、シャツと、ベスト、パンツ、ネクタイ一揃いで着用されていたそうです。 |
それでは、今回ご注文頂きました本格フロックコートの仕様を下記にてご紹介をさせて頂きます。
約1か月半の歳月を得てようやく仕上がって参りましたフロックコートがこちら!!!
逆光の様で暗くて見難いですが、ご了承ください・・・
写真が好きでカメラでの撮影が趣味の一つでもある私ですが、長年カメラに触れておりますが、全く上手く撮れません。。。
話が逸れましたが、程よく絞られたウエストライン、柔らかな雰囲気の肩周りはI様の人柄が表れております。
フロントボタンは留めないことを前提としたサイズ感にてお仕立てをしており、
この点もI様の拘りポイントです。
今回完成したフロックコートの受け取りに早速ご来店頂きました。
お受け取りにご来店頂いた際もシャツ、ベスト、パンツをご着用してきて下さり、満面な笑みでご試着頂き、大変喜ばれておりました。
I様のご満足頂けた様子は、縫製職人、フィッター等、今回こちらのフロックコートの作成に携わった者全てに伝えさせて頂き、職人共々一安心しておりました。
現代では本格フロックコートのご注文が減り、その一方で型紙を作成する職人、仕立てられる職人が限られてきております。
特殊な技術を用いて仕立てられるフロックコートはこれから先、縫製出来なくなることも考えられます。
I様、是非末長く大切にご着用して頂けましたら幸いです。